Eosinophilic oesophagitis
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
好酸球性食道炎(こうさんきゅうせいしょくどうえん)は、食道(食べ物が通る管)に好酸球(アレルギー反応に関わる白血球の一種)がたくさん集まり、炎症を起こして腫れる病気です。これにより食べ物が飲み込みにくくなったり、詰まったりすることがあります。
重要な事実
- 食べ物や環境中のアレルゲン(アレルギーの原因物質)に対するアレルギー反応が関係しています。
- 男女問わず子どもから大人まで発症しますが、特に男性に多いとされています。
- 症状が胃食道逆流症(逆流性食道炎)と似ているため、誤診されることがあります。
- 診断には内視鏡検査(口からカメラを入れて食道を観察する検査)と組織検査(組織の一部を採取して調べる検査)が必要です。
以前はまれな病気と考えられていましたが、最近は診断技術の向上などにより、発見される方が増えています。日本の厚生労働省も注目している病気の一つです。
どの年齢でも起こりえますが、特に30~50歳の男性に多いとされています。また、もともとアレルギー性鼻炎やぜんそく、アトピー性皮膚炎などを持つ方に多く見られます。
症状
- 食べ物が完全に詰まって、のどや胸に激しい痛みがある
- よだれが止まらず、水も飲めない
- 呼吸が苦しい、ゼーゼーする
- ⚠食べ物が詰まった状態が1時間以上続いている
- ⚠胸の痛みが強く、食事ができない
- ⚠飲み込みにくさが突然悪化した
- ⚠血を吐いた、または黒い便が出た
一般的な症状
- 飲み込みにくい(食べ物が喉や胸のあたりでつかえる感じがする)
- 食べ物が食道に詰まった感じがする(食物陥頓:しょくもつかんとん)
- 胸やけや胸の痛み(特に食事中)
- 胃酸が上がってくるような感じ(ただし、典型的な逆流症状とは異なることもある)
子供の症状
- 哺乳や離乳食のときに嫌がる、吐き戻す
- 体重増加が悪い
- お腹が痛いと言う
- 食べ物をうまく飲み込めずにむせる
高齢者の症状
- 加齢による飲み込みの変化と間違われやすい
- 食べ物が詰まるエピソードが増える
- 少しずつ食事時間が長くなる
- むせや肺炎をくり返す(誤嚥性肺炎のリスク)
原因
主な原因
- 食物アレルゲン(特に牛乳、卵、小麦、大豆、ナッツ類、魚介類など)に対するアレルギー反応が食道に炎症を起こす
- 環境アレルゲン(花粉、ダニ、カビなど)が原因になることもある
- 遺伝的な体質(アレルギーを起こしやすい体質)も関係している
リスク要因
- 男性である
- アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている
- 家族にアレルギー疾患や好酸球性食道炎の人がいる
- 幼いころからアトピー性皮膚炎や食物アレルギーがあった
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 食べ物が食道に詰まって、水も飲めず、痛みが強い
- 呼吸が苦しい
- 血を吐く
- 黒い便が出る(消化管出血の可能性)
定期受診を予約すべき場合:
- 数週間以上、飲み込みにくさや胸やけが続く
- 食べ物が時々詰まる感じがする
- 胃酸を抑える薬(市販薬)を飲んでも症状が改善しない
- 子どもが食事を嫌がったり、体重が増えない
診断
診断には、内視鏡検査(胃カメラ)で食道の状態を直接観察し、同時に組織の一部を採取して(生検:せいけん)、顕微鏡で好酸球の数を調べる必要があります。
行われる可能性のある検査
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):口から細いカメラを入れ、食道の粘膜の状態を確認します。
- 生検(組織検査):内視鏡の時に、食道の粘膜を数か所から採取し、好酸球という細胞が一定数以上いるかどうかを調べます。
- 血液検査:アレルギー体質や好酸球の増加がないかを確認します。
- アレルギー検査(プリックテストやパッチテストなど):原因となる食物アレルゲンを特定するために行うことがあります。
診察で予想されること
内視鏡検査は通常、鎮静剤を使って眠っている間に受けられます。検査自体は10~15分程度で終わります。検査後はのどに違和感があることがありますが、数時間で落ち着きます。組織検査の結果が出るまでには数日から1週間ほどかかります。
治療
治療の基本は、原因となるアレルゲン(主に食物)を避けることと、炎症を抑える薬を使うことです。症状の程度や原因物質に合わせて、医師が個別に治療計画を立てます。
自宅でのセルフケア
- 原因となる食物を特定するために、食事日記をつける
- ゆっくりよく噛んで食べる
- 食事中は水分を一緒に取る
- 寝る前の食事を避ける(少なくとも就寝2~3時間前までに食べ終える)
- 症状を悪化させる食品(辛いもの、酸っぱいもの、硬いものなど)を控える
医療治療
主な治療法は、飲み込むタイプのステロイド薬(炎症を抑えるお薬)を一定期間使う方法です。これは吸入タイプのステロイド薬を食道に届くように調合したもので、内服薬ではありません。また、胃酸を抑える薬も症状の改善に使われることがあります。治療は数週間から数か月続き、症状が落ち着いたら減量・中止することもあります。必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
食道が狭くなってしまい、内視鏡での拡張術(風船のように広げる処置)で改善しない場合は、手術を検討することがあります。しかし、ほとんどの方は薬物療法や食事療法で十分にコントロールできます。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、原因となる食物を避けながら、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。食事の際はゆっくり食べ、必要に応じて食べ物を細かく刻んだり、やわらかく調理するなどの工夫をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 食事は少量ずつ、回数を分けて食べる
- 食べた後はすぐに横にならず、しばらく座っているか歩く
- ストレスをためないようにする(ストレスで症状が悪化することがあります)
- 禁煙、節酒(タバコとアルコールは症状を悪化させる可能性があります)
- 定期的に医師の診察を受ける
食事と運動
食事は、原因となる食物を除去したうえで、栄養バランスを考えた献立を栄養士に相談するとよいでしょう。運動は特に制限はありませんが、食後すぐの激しい運動は避けてください。適度な運動は全身の健康に役立ちます。
精神的健康と心の健康
食べることに対する不安や、症状によるストレスで気分が落ち込むこともあります。特に、人と食事をするのが怖くなったり、外食を避けるようになることがあります。そうした気持ちは珍しいことではありません。一人で悩まず、医療者や家族、同じ病気を持つ仲間に相談しましょう。
予防
完全に予防することは難しいですが、原因となるアレルゲンを特定し、それを避けることで発症や再発を防ぐことができます。特に、家族にアレルギー体質がある場合は、早期に医師に相談することが大切です。
ワクチン
該当するワクチンはありません。
検診プログラム
特に推奨される定期的な検診はありませんが、飲み込みにくさなどの症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 食道の慢性的な炎症が続くと、食道が硬く狭くなることがあります(食道狭窄:しょくどうきょうさく)
- 食べ物が詰まる頻度が増え、緊急処置が必要になることがある
- 食道の粘膜が傷つき、出血することがある
- 長期間放置すると、食べる楽しみや栄養状態に影響が出る
長期的な見通し
適切な治療を行えば、多くの方で症状は改善し、通常の生活を送ることができます。治療は長期にわたることもありますが、食事や薬を上手にコントロールすれば、合併症のリスクを大きく減らせます。希望を持って、医師と一緒に治療に取り組みましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月17日
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