乳幼児のてんかんとの暮らし
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に異常な電気信号を出すことで起こる病気です。これにより、けいれんや意識を失うなどの発作が繰り返し起こります。乳幼児(0~1歳ごろ)でも発症することがあります。
重要な事実
- 乳幼児のてんかんは、早期に診断・治療することで多くの場合、発作をコントロールできます。
- 発作の種類はさまざまで、全身が硬くなる、ピクピクする、意識が遠くなるなどの症状があります。
- 原因は遺伝的なものや、出産時のトラブル、脳の異常など様々です。
てんかんは小児期に最も多く見られる神経の病気のひとつで、特に乳幼児期に発症することがあります。人口の約1%がてんかんを持つと言われています。
主に生後数か月から1歳までの乳幼児に影響しますが、新生児期(生後28日未満)に起こることもあります。男女差はあまりありません。
症状
- 発作が5分以上続く
- 発作が終わっても意識が戻らない
- 呼吸が止まり、顔色が青白くなる
- けいれんが繰り返し起こり、その間に意識が戻らない
- ⚠熱を伴うけいれんが初めて起こった
- ⚠発作の回数や種類が急に増えた
- ⚠発作後、いつもと様子が違う(ぐったりする、元気がない)
- ⚠頭を打った後に発作が起こった
一般的な症状
- 急に意識を失う
- 全身が硬くなる(強直発作)
- 手足や顔がピクピク動く(間代発作)
- 一点を見つめて反応がなくなる(欠神発作)
- 呼吸が止まるように見える
子供の症状
- 乳幼児では、泣き声が急に止まり、目の焦点が合わなくなる
- 授乳中に突然ミルクを飲むのをやめてしまう
- 頭を急に前に倒す(点頭発作)
- いつもと違う動作を繰り返す(例えば、首を振る、手足をばたつかせる)
原因
主な原因
- 遺伝的な要因(家族にてんかんの人がいる)
- 脳の構造的な異常(脳の形成がうまくいかない)
- 出産時の酸素不足(低酸素性虚血性脳症)
- 脳の感染症(髄膜炎、脳炎)
- 代謝の異常(先天性の代謝疾患)
リスク要因
- 早産や低出生体重
- 出産時のトラブル(へその緒が首に巻きつくなど)
- 重症の新生児黄疸
- 脳の血管異常
- 熱性けいれんの家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 初めてのけいれん発作を起こした
- 発作が長く続く、または頻繁に起こる
- 発作中に呼吸が止まったように見える
- 発作後に意識や動きが戻らない
定期受診を予約すべき場合:
- 医師からてんかんの診断を受け、治療中に経過を見てもらう必要がある
- 発作のパターンが変わった、または薬の副作用が疑われる
- 定期的に脳波検査などフォローアップが必要な場合
診断
医師が発作の様子(いつ、どんなふうに)を詳しく聞き取り、診察をします。脳波検査(脳の電気活動を調べる検査)が診断の中心です。
行われる可能性のある検査
- 脳波検査(EEG):発作がないときでも、てんかん特有の波が見られることがあります。
- 画像検査(MRIやCT):脳の形や異常がないかを調べます。
- 血液検査や尿検査:感染症や代謝の病気を調べることがあります。
- 場合によっては長時間のビデオ脳波モニタリングを行うこともあります。
診察で予想されること
検査は赤ちゃんにとって負担が少ない方法で行われます。脳波検査では、頭に小さなセンサーをつけてしばらく安静にします。MRIは音が大きいですが、保護者がそばにいる場合も多いです。検査前に医師から詳しい説明がありますので、気になることは遠慮なく質問してください。
治療
てんかんの治療の基本は薬(抗てんかん薬)で発作を抑えることです。最初は1種類の薬を少量から始め、効果を見ながら調整します。薬でうまくコントロールできない場合は、ほかの治療法も検討されます。
自宅でのセルフケア
- 発作が起きたときの対応方法を知っておく(横向きに寝かせる、周囲の危険なものを取り除くなど)
- 発作の記録(いつ、どんな様子、長さ)をつけて医師に伝える
- 安全な環境づくり(ベッドの柵、転落防止など)
- 保護者同士で情報交換し、不安を共有する
医療治療
医師が処方する抗てんかん薬で発作を抑える治療が第一選択です。薬の種類や量は赤ちゃんの体重や発作のタイプに合わせて慎重に決められます。副作用に注意しながら、最も効果的な方法を探します。薬が効きにくい場合は、特殊な食事療法(ケトン食療法)が行われることもあります。これは医師や管理栄養士の指導のもとで行います。
手術が検討される場合
薬や食事療法で発作が十分にコントロールできない場合や、脳に手術で取り除ける病巣(てんかんの原因となる部分)がはっきりしている場合に手術が検討されることがあります。手術は専門の医療機関で行われ、適応かどうかは慎重に判断されます。
この病気と共に生きる
てんかんの赤ちゃんと暮らすには、発作に備えた安全対策が大切です。例えば、お風呂や高い場所での事故を防ぐために大人がそばで見守ります。発作が起きたときの対応を家族みんなで覚えておきましょう。また、定期的に医師の診察を受け、薬を忘れずに飲ませることが基本です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとる(睡眠不足は発作の誘因になります)
- 規則正しい生活リズムを守る
- ストレスをためない(赤ちゃんの場合は、保護者のストレスケアも重要)
- 遊びや日常生活はできるだけ普通に、ただし安全に配慮する
食事と運動
基本的には普通の離乳食や授乳で問題ありません。ただし、医師から食事療法が必要と言われた場合は、その指示に従ってください。運動は年齢に応じて安全に行えますが、プールや自転車など危険を伴う活動は、医師と相談の上で行いましょう。
精神的健康と心の健康
てんかんの診断は保護者にとって大きなショックや不安をもたらすことがあります。また、赤ちゃんも発作や検査で疲れたり、成長に影響が出ることもあります。保護者自身の心のケアも大切です。周りの人に助けを求めたり、同じ経験を持つ家族と話すことで気持ちが楽になることがあります。
予防
すべてのてんかんを予防することはできませんが、いくつかの原因は避けられます。例えば、妊娠中の感染予防(風疹など)、出産時の適切な管理、けがの予防(頭部外傷)などが大切です。また、熱性けいれんの予防には熱の管理が役立つこともあります。
ワクチン
ワクチン接種は、脳炎や髄膜炎などてんかんの原因となる感染症を予防するため、推奨されています。ただし、ワクチン接種後に発熱やまれにけいれんを起こすことがありますので、医師と相談の上で接種計画を立てましょう。
検診プログラム
新生児期に代謝異常のスクリーニング検査が行われている場合があります。てんかんの可能性を早期に見つける特別なスクリーニング検査は一般的にはありませんが、発作の症状に気づいたら早めに受診することが重要です。
合併症
治療しない場合
- 発作を繰り返すことで脳の発達に影響が出る可能性がある
- 発作による転落や溺水などの事故
- 長く続く発作(てんかん重積状態)は脳にダメージを与える危険がある
- 学習障害や行動の問題が起こることがある
長期的な見通し
てんかんの赤ちゃんの多くは、適切な治療により発作が抑えられ、普通に成長・発達します。特に乳幼児期に発症するてんかんの一部は、成長とともに自然に治ることもあります。ただし、薬の調整や定期的なフォローが必要な場合もあります。最新の治療法は進歩しており、多くの子どもが良い経過をたどっています。希望を持って治療に取り組みましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。