てんかんと妊娠:安心して過ごすために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することで発作(けいれんや意識を失うこと)が繰り返し起こる病気です。妊娠中はホルモンの変化や体調の変化により、発作の頻度が変わることがあります。しかし、適切な管理と医療チームのサポートがあれば、多くの女性が健康的な妊娠・出産を迎えられます。
重要な事実
- てんかんのある女性の多くは、健康な赤ちゃんを出産できます。
- 妊娠前に医療チームと計画を立てることが大切です。
- 発作を抑える薬は、妊娠中も継続することが一般的ですが、医師と相談して最適な薬を選びます。
- 葉酸(ビタミンの一種)の摂取が推奨されます。
日本では約100人に1人(約100万人)がてんかんを持つと言われています。妊娠する女性のうち、約250人に1人がてんかんを持つとされています。
てんかんを持つ妊娠可能な年齢の女性すべてが対象です。妊娠を考えている方、すでに妊娠している方が、自分と赤ちゃんの健康のために知っておくべき情報です。
症状
- 発作が5分以上続く(てんかん重積状態の可能性)
- 発作が連続して起こり、意識が戻らない
- 妊娠後期に強いけいれんや激しい頭痛(妊娠高血圧症候群の可能性)
- 発作中に怪我をした、または呼吸が止まった
- ⚠これまでより発作の頻度が明らかに増えた
- ⚠発作の種類が変わった、または新たな症状が出た
- ⚠妊娠中に初めて発作が起こった
- ⚠お腹の赤ちゃんの動きが普段と違うと感じる
一般的な症状
- 意識を失う発作(全身けいれん)
- 一部の体だけがけいれんする発作
- ぼんやりとして反応がなくなる発作
- 異常な感覚(味や臭いの幻覚など)を伴う発作
原因
主な原因
- てんかんの原因は人によって異なりますが、脳の外傷、脳腫瘍、脳卒中、遺伝的要因などが関わることがあります。
- 妊娠自体が直接てんかんを引き起こすわけではありませんが、ホルモンの変化や睡眠不足、ストレスが発作のきっかけになることがあります。
リスク要因
- 妊娠前に発作が十分にコントロールされていないこと
- 抗てんかん薬の血中濃度が妊娠により変化すること
- つわりによる内服薬の嘔吐などで薬の吸収が不安定になること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作の頻度や重症度が急に変わった場合
- 妊娠中に初めて発作が起こった場合
- けいれん以外の異常な症状がある場合(激しい頭痛、視野異常など)
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠を計画している段階で、かかりつけの医師や産科医に相談する
- 妊娠が判明したらすぐに産科と脳神経内科の両方を受診する
- 妊娠中は定期的に産科検診を受け、脳神経内科のフォローも続ける
診断
てんかんの診断は妊娠前に行われていることがほとんどです。妊娠中は診断よりも、発作のコントロール状態と薬の調整が中心になります。
行われる可能性のある検査
- 脳波(EEG)検査:脳の電気活動を調べます
- 血液検査:抗てんかん薬の血中濃度を測定します
- 超音波検査(エコー):お腹の赤ちゃんの成長を確認します
診察で予想されること
妊娠中は、産科医と脳神経内科医が連携して治療にあたります。必要に応じて薬の種類や量を調整しながら、母体と赤ちゃんの両方を守る治療を続けます。定期的な検査と相談が大切です。
治療
てんかんの治療は、発作をなるべく起こさないようにすることを目指します。妊娠中は、薬の種類や量を調整しながら、赤ちゃんへの影響を最小限に抑える治療を行います。自己判断での薬の変更や中断は危険です。
自宅でのセルフケア
- 十分な睡眠をとる(睡眠不足は発作の誘因になります)
- 規則正しい生活リズムを心がける
- 医師の指示に従って薬をきちんと飲む(嘔吐した場合は相談)
- ストレスをためすぎないようにリラックスする時間を作る
医療治療
妊娠中も多くの女性が抗てんかん薬を継続して服用します。薬の種類によって赤ちゃんへの影響が異なるため、医師はリスクとベネフィットを考慮して最適な薬を選びます。妊娠前に薬を変更する場合もありますが、必ず医師と相談してください。また、妊娠中は葉酸(ビタミンB群の一種)を通常より多めに摂ることが推奨されます。
手術が検討される場合
妊娠中にてんかんの手術を行うことは通常ありません。手術が必要な場合は、出産後に改めて検討します。
この病気と共に生きる
妊娠中は、つわりや体調の変化で薬を飲み忘れたり、睡眠不足になったりしやすいです。日記をつけて発作の状態を記録し、医療チームと共有すると安心です。また、家事や仕事の負担を減らし、周囲のサポートを得ることも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 入浴中は発作に備えて家族に声をかけてから入る、またはシャワーにする
- 運転は医師と相談し、必要な場合以外は控える(てんかん発作がある人の運転は法律で制限されることがあります)
- 転倒を防ぐために家の中の整理整頓や、階段には手すりをつけるなどの対策をする
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に葉酸、鉄分、カルシウムを十分に摂りましょう。軽い運動(ウォーキングなど)は血行を良くし、ストレス解消にも役立ちますが、無理は禁物です。激しい運動や転倒のリスクがある運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
妊娠中はホルモンの影響で気分が不安定になりやすく、てんかんがあることでさらに不安を感じる方もいます。つらい気持ちや不安は一人で抱え込まず、パートナーや医療者に相談しましょう。必要に応じて、カウンセリングや精神科のサポートを受けることも有効です。
予防
てんかんそのものを予防することはできませんが、妊娠中の発作を予防することは可能です。適切な薬の服用、規則正しい生活、ストレス管理が大切です。また、妊娠計画を早い段階から医療チームと立てることで、リスクを減らせます。
合併症
治療しない場合
- 発作がコントロールできないと、転倒や外傷のリスクが高まる
- 全身けいれんが長く続くと、赤ちゃんに酸素が届きにくくなる可能性がある
- てんかんのある方は、妊娠高血圧症候群などの合併症のリスクがやや高まる
長期的な見通し
多くのてんかんを持つ女性が、適切な医療管理のもとで健康な赤ちゃんを出産しています。妊娠中は少し注意が必要ですが、希望を持って前向きに過ごしましょう。最新の医療の進歩により、かつてよりもずっと安全に妊娠・出産できるようになっています。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。