Faecal incontinence
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
便失禁とは、肛門をコントロールする力が弱まり、意思に反して便やガスが漏れてしまう状態です。ふつうは、便を出すタイミングを自分で決められますが、この力が落ちると、予期せぬ漏れが起こります。
重要な事実
- 便失禁は決して珍しい問題ではありません。多くの人が経験しますが、恥ずかしさから相談しないことが多いです。
- 適切な治療で症状は大きく改善します。自分だけで悩まずに医療機関に相談しましょう。
- 原因は筋肉の弱り、神経の問題、下痢や便秘など様々です。原因を調べることが治療の第一歩です。
はい、便失禁は特に高齢者や出産経験のある女性に多く見られますが、どの年齢でも起こり得ます。厚生労働省の調査では、40歳以上の約5~15%が何らかの便失禁症状を経験していると報告されています。
すべての年代で起こりますが、特に高齢者、複数回出産した女性、糖尿病や脊髄損傷など神経に影響する病気のある方、そして痔の手術後などに多く見られます。
症状
- 急に便失禁が始まり、おなかに強い痛みや出血がある
- 意識がもうろうとしている、または吐き気や嘔吐がある
- 救急車を呼んでください(119番)
- ⚠下痢や便秘に伴う便失禁で、日常生活に支障が出ている
- ⚠お尻から血が出る、または黒色の便がある
- ⚠症状が数日続き、市販薬でよくならない
一般的な症状
- 突然の強い便意を感じてトイレに間に合わない
- 便やガスが無意識に漏れる
- 便の漏れに気づかない(気づかないうちに下着が汚れている)
- お尻の周りがかゆい、ヒリヒリする
子供の症状
- 下着を汚す(大人用おむつや布パンツの汚れ)
- 便秘のあとに少量の便が漏れる「溢流性便失禁」
- トイレに行くのを我慢し続けることでおこる
高齢者の症状
- 加齢による筋力低下で漏れやすくなる
- 下痢や便秘がきっかけで症状が現れる
- 認知症などでトイレの場所を忘れる
原因
主な原因
- 肛門の筋肉(括約筋)の弱りや損傷
- 神経の障害(脊髄損傷、糖尿病、脳卒中など)
- 慢性的な下痢や便秘(溢流性便失禁)
- 出産時の会陰裂傷や骨盤底のダメージ
- 痔の手術後の一時的な影響
リスク要因
- 出産(特に大きな赤ちゃんや吸引分娩)
- 慢性的な便秘や下痢
- 過敏性腸症候群(IBS)などの腸疾患
- 放射線治療の既往
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に便失禁が始まり、おなかに強い痛みや発熱がある場合
- 便に血が混じる、または黒色の便がある場合
- 意識障害やけいれんを伴う場合
定期受診を予約すべき場合:
- 便失禁が数週間以上続いて生活に支障がある
- 下剤や市販薬を使っても改善しない
- 恥ずかしくても、我慢せずにまずはかかりつけ医に相談しましょう
診断
医師が症状の聞き取り(問診)とお腹の診察、肛門の周りのチェックを行います。便失禁のタイプや重症度を評価し、必要に応じて追加検査をすすめます。
行われる可能性のある検査
- 肛門内圧検査(肛門の筋肉の力を測る)
- 肛門超音波検査(筋肉の状態を画像で見る)
- 排便造影検査(便を出す力を見るX線検査)
- 大腸内視鏡(症状に応じて行う場合あり)
診察で予想されること
初回の診察は約15~30分。恥ずかしさはあるかもしれませんが、医師はプライバシーに配慮します。検査は痛みを伴わないものが多く、事前に説明があります。
治療
治療はまず生活習慣の改善と骨盤底筋のトレーニングから始めます。それでも改善しない場合は、薬や医療用の器械を使った治療、手術などの選択肢があります。原因によって最適な治療は異なります。
自宅でのセルフケア
- 食物繊維を多く含む食事(野菜、果物、全粒穀物)と十分な水分をとる
- 排便のリズムをつける(毎日決まった時間にトイレに行く習慣)
- 骨盤底筋体操(肛門を締めたり緩めたりする運動)を毎日続ける
- 下痢や便秘の原因になる食品(辛いもの、脂っこいもの、カフェイン)を控える
- お尻のスキンケア(清潔を保ち、保湿剤を使う)
医療治療
医師の指導のもと、排便を整える便秘薬や下痢止めを使用することがあります。また、お腹の中に挿入して肛門の筋肉を刺激する電気刺激装置を用いた治療や、肛門から小さなバルーンを入れてトレーニングする方法もあります。いずれも医師の診断に基づき選択されます。
手術が検討される場合
保存的治療で効果が不十分な場合に、筋肉の修復手術や人工肛門(ストーマ)の造設などが検討されることがあります。手術が必要かどうかは専門医とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
便失禁とうまく付き合うには、外出時の準備が大切です。携帯用のおしりふきや替えの下着、消臭スプレーを持ち歩くと安心です。公共のトイレの場所を事前に確認しておくのも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 外出前は便を出す習慣をつける(タイミングを調整)
- 自分の症状に合わせた食事と水分バランスを見つける
- ストレス管理(リラックス法、趣味の時間を大切に)
- 必要なら失禁パッドや大人用おむつを恥ずかしがらずに使う
食事と運動
食物繊維を十分にとり(1日20~30gを目安に)、水分は1日1.5~2リットル飲みましょう。ウォーキングや軽い筋トレも腸の動きを整えるのに役立ちます。骨盤底筋体操は毎日数分間続けると効果が期待できます。
精神的健康と心の健康
便失禁は恥ずかしさや孤独感からうつや不安を引き起こすことがあります。「自分だけ」と思わないでください。気持ちがつらいときは、かかりつけ医やカウンセラーに相談することをおすすめします。必要であれば、精神保健の専門家や支援サービスもあります。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、リスクを減らすことはできます。便秘や下痢を放置しない、骨盤底筋体操を習慣にする、出産時のケアを適切に行うなどが予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 肛門周囲の皮膚炎(かぶれ、ただれ)
- 尿路感染症(二次的な感染)
- 社会生活の制限(外出を避ける、人間関係の悪化)
- うつ病や不安障害のリスク上昇
長期的な見通し
便失禁は多くの場合、適切な治療で症状が改善します。生活習慣の見直しや骨盤底筋体操、医療的なサポートを組み合わせることで、ほとんどの人が日常生活を快適に送れるようになります。あきらめずに専門家に相談しましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月17日
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