高齢者の脂肪肝について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脂肪肝(しぼうかん)は、肝臓に脂肪が過剰にたまった状態です。肝臓は体の中で栄養を処理したり、有害なものを解毒したりする大切な臓器です。脂肪肝になっても、初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると肝臓の炎症や線維化(肝臓が硬くなること)を引き起こし、肝硬変や肝がんのリスクが高まることがあります。高齢者では代謝の変化や生活習慣の影響で発症しやすくなります。
重要な事実
- 脂肪肝は肝臓に中性脂肪がたまる病気で、多くは飲酒が原因ではない非アルコール性脂肪肝(NAFLD)です。
- 高齢者の約3人に1人が脂肪肝といわれ、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)と深く関係しています。
- 初期は症状がなく、健康診断の血液検査や超音波検査で偶然見つかることがほとんどです。
- 適切な食事や運動で改善できる可能性が高い病気です。
はい、高齢者ではとてもよく見られます。特に肥満や糖尿病、脂質異常症の方に多く、日本人の高齢者の約30~40%が脂肪肝を指摘されるというデータもあります。
主に65歳以上の高齢者に多く見られますが、特に肥満気味の方、糖尿病や高血圧、脂質異常症のある方、運動不足の方に発症しやすいです。男性と女性の両方に起こりますが、閉経後の女性ではリスクが高まります。
症状
- 急な強い腹痛やおなかの張りがある
- 吐き気や嘔吐が続く
- 意識がもうろうとする、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)が急に出た
- ⚠尿や便の色がいつもと違う(尿が濃い、便の色が白っぽい)
- ⚠理由のない体重減少が続く
- ⚠長引く疲労感で日常生活に支障が出る
一般的な症状
- 疲れやすい、だるさを感じる
- おなかの右上やみぞおちのあたりに違和感や鈍い痛みがある
- 腹部膨満感(おなかが張る感じ)
高齢者の症状
- 高齢者では自覚症状が乏しく、気づかないことが多い
- 体重減少や食欲不振が現れることもある
- 肝機能検査の数値が軽度上昇する程度で、放置されやすい
原因
主な原因
- 食べ過ぎや高カロリー・高脂肪の食事によって肝臓に脂肪がたまる
- 運動不足でエネルギーが消費されず、脂肪として蓄積される
- インスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンの働きが悪くなる状態)が関与する
リスク要因
- 肥満(特に内臓脂肪が多い)
- 2型糖尿病または糖尿病予備群
- 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)
- 加齢に伴う代謝の低下
- 閉経後の女性ホルモンバランスの変化
- 遺伝的な傾向
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
- 激しい腹痛や黄疸が出たときはすぐに医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で肝機能の数値に異常を指摘されたとき
- 超音波検査などで脂肪肝と言われたとき
- 糖尿病や高血圧、脂質異常症で治療中で、体重が増えたとき
診断
脂肪肝の診断は、血液検査や腹部超音波検査(エコー)が基本です。血液で肝機能の数値(ASTやALTなど)が高めであれば脂肪肝が疑われます。エコーで肝臓に脂肪がたまっているかどうかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能、血糖、脂質など)
- 腹部超音波検査(エコー)
- 必要に応じてCTやMRI、肝生検(肝臓の組織を採って調べる検査)が行われることもある
診察で予想されること
検査は痛みを伴わないものがほとんどです。エコーはおなかの上から機械を当てるだけで、10~15分程度で終わります。血液検査は腕から採血します。結果が出るまで数日かかることがありますが、医師が詳しく説明してくれます。
治療
脂肪肝の治療の中心は、生活習慣の改善です。特別な薬は必要ありませんが、進行した場合には医師の指導のもとで治療が行われます。まずは食事と運動を見直すことが最も大切です。
自宅でのセルフケア
- バランスの良い食事を心がけ、野菜や魚、大豆製品を積極的にとる
- 甘い飲み物やお菓子、揚げ物を控える
- 1日30分程度のウォーキングなど、無理のない運動を週に数回行う
- 適正体重を維持する(特に腹囲を減らす)
- 禁煙し、お酒は控える(または医師と相談する)
医療治療
脂肪肝そのものを直接治す特別な薬はありませんが、背景にある糖尿病や脂質異常症、高血圧の治療が重要です。これらの生活習慣病を適切にコントロールすることで、脂肪肝の改善や進行防止につながります。医師は必要に応じて、血糖や脂質を下げる薬を処方することがあります(具体的な薬名はここでは割愛します)。進行した脂肪肝炎や肝線維症に対しては、厚生労働省のガイドラインに沿った治療方針が検討されます。
手術が検討される場合
脂肪肝の一般的な治療で手術が行われることはほとんどありません。ただし、高度肥満の方で生活習慣の改善が難しい場合、減量手術(バリエトリックサージャリー)が選択肢となることがあります。これは専門医との相談が必要です。
この病気と共に生きる
脂肪肝と診断されても、ほとんどの場合は日常生活に大きな制限はありません。無理なく続けられる範囲で、食事や運動を改善していくことが大切です。定期的に医療機関を受診し、肝機能や体重の変化をチェックしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 週に2~3回、30分程度の有酸素運動(ウォーキングや水中歩行など)
- 筋力トレーニング(スクワットやかかと上げなど)を週2回程度加えると効果的
- 睡眠をしっかりとり、ストレスをためない
- 薬は自己判断せず、医師の指示に従う
食事と運動
食事は1日3食、規則正しく。野菜を多くとり、白米やパンの量を減らして玄米や全粒粉パンに変えるのも良いでしょう。たんぱく質は魚や豆腐、鶏むね肉など脂肪の少ないものを選びます。運動は無理をしないことが長続きのコツです。痛みや息切れがあれば医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気と向き合うことは時に不安やストレスを感じるかもしれません。悲観的になりすぎず、できることから一歩ずつ始めましょう。気持ちがつらいときは、家族や友人、医療スタッフに話すことも大切です。必要であれば心の健康相談窓口(例:各自治体の保健センター)に連絡してみてください。
予防
はい、健康的な生活習慣を続けることで予防や改善が可能です。特にバランスの良い食事と適度な運動が重要です。高齢になっても、無理のない範囲で体を動かし、体重が増えすぎないように気をつけましょう。
検診プログラム
健康診断の血液検査や腹部超音波検査は脂肪肝の早期発見に役立ちます。年に1回は受けることをおすすめします。特に肥満や糖尿病がある方は定期的なチェックが大切です。
合併症
治療しない場合
- 脂肪肝炎(NASH):炎症を起こし、肝細胞が傷つく
- 肝線維症:肝臓が硬くなり、機能が低下する
- 肝硬変:肝臓が高度に硬くなり、肝不全や肝がんのリスクが高まる
- 肝がん:肝硬変から発生することがある
長期的な見通し
脂肪肝は非常に多くの人が持っている状態で、ほとんどの場合は進行しません。適切な生活習慣の改善により、脂肪肝が軽快したり、正常化することも可能です。たとえ進行しても、医師の指導を受けながら治療を続ければ、重い合併症を防ぐことができます。希望を持って、一歩ずつ取り組みましょう。
サポートを探す
地域の団体
- かかりつけ医(内科・消化器内科) · 日本全国
- 地域の保健センターまたは健康相談窓口 · 各市区町村
相談窓口
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。