10代の脂肪肝について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脂肪肝(しぼうかん)とは、肝臓に中性脂肪が過剰にたまった状態のことです。10代の若い人でも、お酒を飲まなくても起こる「非アルコール性脂肪肝」が増えています。これは、肝臓の働きが悪くなったり、炎症(えんしょう)や線維化(せんいか:肝臓が硬くなること)を引き起こす可能性がありますが、早めに気づいて生活を見直せば改善できる病気です。
重要な事実
- 脂肪肝は初期には自覚症状がほとんどありません。
- 10代の肥満や不健康な食生活・運動不足が主な原因です。
- 適切な食事と運動で肝臓の脂肪は減らせます。
- 放置すると肝臓の炎症や線維化が進むことがあります。
近年、10代の脂肪肝は世界中で増えています。日本でも肥満傾向の子どもや10代で多いと報告されています。
主に、肥満(特に腹部肥満)がある10代、甘い飲み物や高カロリー食品をよく摂る人、運動不足の人に多く見られます。家族歴(家族に脂肪肝や糖尿病、高血圧がある人)もリスクを高めます。
症状
- 急激な右上腹部の激しい痛み
- 意識がもうろうとする
- 吐き気やおう吐が止まらない
- 急に黄疸(皮膚や目が黄色くなる)が出た
- ⚠長く続く原因不明の疲れやだるさ
- ⚠皮膚がかゆい、あざができやすい
- ⚠おなかが張ってきて服がきつくなる
- ⚠学校の健康診断で肝機能の数値が高いと言われた
一般的な症状
- 自覚症状がないことがほとんどです。
- ときに右上腹部(右わき腹のあたり)の重苦しさや不快感。
- 疲れやすい、だるい。
子供の症状
- 10代でも特に幼い子どもでは症状がほとんど見られません。学校検診などで偶然見つかることが多いです。
高齢者の症状
- 高齢者の脂肪肝は、飲酒や薬の影響、他の病気(糖尿病や高脂血症など)が原因となることもあります。10代とは原因が異なる場合があります。
原因
主な原因
- 過剰なカロリー摂取(特に糖質や脂質が多い食事)
- 運動不足
- 肥満(とくに内臓脂肪の蓄積)
リスク要因
- インスタント食品やファストフード、甘い飲み物をよく飲む
- テレビやゲーム、スマートフォンに長時間座っている
- 家族に肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症の人がいる
- 睡眠不足や不規則な生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上腹部の強い痛みがある
- 黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色い)に気づいた
- 急に体重が減った
定期受診を予約すべき場合:
- 学校の健康診断で肝機能の値が高かった場合(要精密検査と言われたら)
- 肥満の状態が続き、生活習慣を改善しても効果がないと感じるとき
- 疲れやすさやだるさが続くとき
診断
脂肪肝の診断は、まず問診(生活習慣や症状の聞き取り)と血液検査で肝機能(AST, ALTなどの値)を調べ、次に腹部超音波(エコー)検査で肝臓に脂肪がたまっているかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能や血糖、脂質を調べる)
- 腹部超音波(エコー)検査
- 必要に応じて、肝臓の硬さを測る検査(フィブロスキャン)や、肝生検(針で組織をとる検査)を行うこともあります
診察で予想されること
検査は痛みを伴わないものがほとんどです。腹部エコーはおなかの上にゼリーを塗って機械を当てるだけです。結果はすぐにわかることが多く、医師から説明があります。特に問題がなければ、生活指導や経過観察で終わることがほとんどです。
治療
脂肪肝の治療の基本は、肥満を改善するための生活習慣の見直しです。薬物療法は原則としてありませんが、他の病気(糖尿病や高脂血症)を合併している場合はその治療が優先されます。
自宅でのセルフケア
- バランスの良い食事を心がける(野菜中心、揚げ物や甘いものを控える)
- 週に150分以上の有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)
- 体重を現在の5〜10%減らすことを目標にする(急激な減量は逆効果)
- お酒は飲まない(10代では法律でも禁止されています)
- 規則正しい生活と十分な睡眠
医療治療
医師が必要と判断した場合、糖尿病や高脂血症の治療薬が処方されることがあります。ただし、脂肪肝そのものに効くと認められた特別な薬は現時点ではありません。新しい治療法の研究が進んでいます。
手術が検討される場合
通常、脂肪肝に対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、高度な肥満で生活習慣の改善が難しい場合は、減量手術(バリエトリック手術)が検討されることがありますが、10代では慎重に判断されます。
この病気と共に生きる
脂肪肝があっても、多くの場合は日常生活に大きな制限はありません。健康診断などで見つかっても、生活習慣を改善すれば元の健康な肝臓に戻ることができます。焦らず、少しずつ続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 食事は野菜や魚、大豆製品を積極的に取り入れる
- 間食や清涼飲料水は控えめに
- 週に3〜5回、30分程度の運動をする(部活や通学の歩きもOK)
- ゲームやスマホの時間を決め、夜更かししない
- ストレスをためず、好きなことやリラックスする時間も大切に
食事と運動
バランスの良い食事と適度な運動が基本です。食事は、糖質や脂質を減らし、食物繊維やたんぱく質をしっかりとるようにしましょう。運動は無理せず続けられるものがベスト。脂肪肝の改善には体重を減らすことが効果的ですが、急な減量は肝臓に負担をかけるので、医師や栄養士と相談しながら進めましょう。
精神的健康と心の健康
「脂肪肝」と診断されると、不安になるかもしれません。しかし、ほとんどの場合は生活習慣の改善で良くなる病気です。自分を責めすぎず、できることから始めましょう。もし気分が落ち込んだり、眠れないなどの症状があれば、一人で悩まずに医師やカウンセラーに相談してください。
予防
はい、脂肪肝は予防できる病気です。幼い頃からバランスの良い食習慣と適度な運動を身につけることで、肥満や脂肪肝のリスクを大きく減らせます。
検診プログラム
定期健康診断(学校や職場)で肝機能の血液検査を受けることが、早期発見につながります。特に肥満気味の人や家族に生活習慣病の人がいる場合は、意識して検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 非アルコール性脂肪肝炎(NASH):肝臓に炎症が起こる
- 肝線維症(肝臓が硬くなる)
- 肝硬変(肝臓が重度に傷つく)
- 肝がんのリスク上昇(稀ですが注意が必要)
- 糖尿病や高血圧、脂質異常症の悪化
長期的な見通し
脂肪肝は早期に発見し、生活習慣を改善すれば、多くの場合は完全に治ります。10代のうちに健康的な生活を身につければ、大人になっても肝臓の健康を守ることができます。希望を持って、一歩ずつ取り組みましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月30日
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