Fibromyalgia living in older adults
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は、体の広い範囲に慢性的な痛みが続く病気です。痛みに加えて、疲れやすさや睡眠の問題、気分の落ち込みなどが現れることもあります。原因は完全にはわかっていませんが、脳や脊髄での痛みの処理に異常があると考えられています。
重要な事実
- 線維筋痛症は、簡単な検査で診断できる病気ではなく、症状から医師が総合的に判断します。
- 治療は、痛みを和らげる薬、運動療法、生活習慣の改善などを組み合わせて行います。
- 高齢者では特に、ほかの慢性疾患と症状が重なることがあるため、正しい診断が大切です。
線維筋痛症は決して珍しい病気ではありませんが、正しく診断されていないケースも多いと言われています。日本では人口の1~2%程度が影響を受けていると推定されています。
子どもから高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性がありますが、特に40~60代の女性に多いとされています。高齢者では、加齢に伴うほかの病気と間違われやすいため注意が必要です。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや呼吸困難
- 意識を失った場合
- けいれんが止まらない場合
- ⚠痛みが急に悪化して日常生活が困難になった場合
- ⚠転倒などでケガをした場合
- ⚠気分の落ち込みが非常に強く、自殺を考えるなどした場合
一般的な症状
- 全身の広い範囲にわたる慢性的な痛み(3か月以上続く)
- 強い疲労感(だるさ)
- 睡眠の質が悪く、ぐっすり眠れない
- 朝起きたときのこわばり
- 頭痛、過敏性腸症候群(お腹の不快感)
- 気分の落ち込みや不安感
子供の症状
- 子どもの場合は、痛みをうまく言葉で表現できないことがある。
- 学校に行きづらくなったり、活動量が減ったりすることがある。
- 成長に伴い症状が変化することがある。
高齢者の症状
- 高齢者では、関節リウマチや変形性関節症など、ほかの病気と症状が重なることが多い。
- 痛みのために活動量が減り、筋力低下や転倒のリスクが高まることがある。
- 睡眠障害や疲労感が生活の質に大きく影響する。
- 認知機能の低下(いわゆる「線維筋痛症によるブレインフォグ」)を訴えることがある。
原因
主な原因
- 脳や脊髄での痛みの信号を処理する仕組みに異常があると考えられています。
- 遺伝的要因(家族内で発症しやすい傾向があります)
- 感染症やけが、精神的ストレスなどのきっかけで発症することがあります。
リスク要因
- 女性であること
- 40~60歳の年齢
- ほかの慢性痛を伴う病気(関節リウマチなど)
- 強いストレスやトラウマ(心的外傷)の経験
- 睡眠障害があること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状に該当する場合
- 痛みのために寝込んでしまい、食事や水分がとれない場合
- 気分の落ち込みがひどく、日常生活が送れない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 原因不明の全身の痛みが3か月以上続いている場合
- 疲れや睡眠の問題が続いている場合
- 症状が悪化したり、新しい症状が出たりした場合
診断
線維筋痛症の診断は、これといった特定の検査があるわけではなく、医師が問診や身体診察、症状の経過などを総合的に判断して行います。特に、痛みの範囲や期間、ほかの症状の有無を詳しく聞かれます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症反応やほかの病気の有無を調べるため)
- 画像検査(レントゲンやMRIなど、関節や骨の問題を除外するため)
診察で予想されること
診断までに時間がかかることもあります。最初にほかの病気を除外するための検査が行われ、その結果を参考に線維筋痛症の診断が検討されます。診断がはっきりしない場合は、リウマチ科やペインクリニックなど、専門医の紹介を受けることもあります。
治療
線維筋痛症の治療は、痛みを和らげ、日常生活の質を高めることを目的とします。薬物療法と非薬物療法(運動や生活習慣の改善)を組み合わせることが一般的です。治療には時間がかかることがありますが、根気よく続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 軽い運動(ウォーキングや水中運動など)を無理のない範囲で続ける
- 睡眠のリズムを整える(毎日同じ時間に寝起きする)
- ストレスをためない工夫(趣味、リラックス法、人との交流)
- 痛みが強いときは無理をせず、活動量を調整する
- 温熱療法(お風呂やカイロなど)で筋肉をほぐす
医療治療
薬物療法では、痛みを和らげる薬や睡眠を改善する薬、気分を安定させる薬などが使われることがあります。どの薬を使うかは、症状や体質に合わせて医師が慎重に決めます。自己判断で薬を増やしたり、止めたりしないでください。また、認知行動療法や理学療法などの非薬物療法が効果的な場合もあります。
手術が検討される場合
線維筋痛症そのものに対する手術はありません。ただし、ほかの病気(例えば変形性関節症など)のために手術が必要になることはあります。
この病気と共に生きる
線維筋痛症があると、痛みや疲れで毎日の活動が難しく感じることがあります。しかし、自分に合ったペースを見つけ、無理をしすぎず、一方で動けるときには体を動かすことで、症状を管理しやすくなります。日記をつけて痛みのパターンや誘因を把握するのも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠習慣を心がける
- バランスの良い食事をとる(特に栄養の偏りに注意)
- 適度な運動を継続する(医師や理学療法士と相談してプログラムを決める)
- リラックスする時間を作る(深呼吸、瞑想、軽いストレッチなど)
- 周囲の人に自分の状態を伝え、理解を得る努力をする
食事と運動
特別な食事療法はありませんが、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特に抗酸化作用のある野菜や果物、良質なタンパク質を積極的にとるとよいと言われています。運動は、無理のない範囲で週に数回、ウォーキングや水中運動、ヨガなどが推奨されます。始める前に医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みは気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。また、周囲に理解されにくいという悩みを抱える方も少なくありません。そうした場合は、気軽に医師やカウンセラーに相談することが大切です。自分ひとりで抱え込まずに、信頼できる人に話すだけでも気持ちが楽になることがあります。
予防
線維筋痛症の完全な予防方法はわかっていません。しかし、ストレスをためないこと、規則正しい生活、適度な運動を心がけることは、発症リスクを下げる可能性があります。すでに症状がある方も、悪化を防ぐためにこれらの生活習慣が役立ちます。
ワクチン
線維筋痛症を予防する特別なワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎などの予防接種は、ほかの病気のリスクを減らすために検討してもよいでしょう。
検診プログラム
線維筋痛症を早期に見つけるための集団検診はありません。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 慢性的な痛みや疲労が続くことで、日常生活の活動量が減り、筋力の低下や体重増加につながることがある。
- 睡眠障害が悪化し、うつ病や不安障害を合併するリスクが高まる。
- 仕事や家事、対人関係に支障をきたし、社会的な孤立を招くことがある。
長期的な見通し
線維筋痛症は完治が難しい病気ですが、適切な治療と生活管理により症状をコントロールし、多くの方が日常生活を送ることができます。治療には根気が必要ですが、希望を持って取り組むことが大切です。症状の程度には個人差があり、年齢とともに症状が落ち着く方もいます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月27日
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