Gonorrhoea overview
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
淋病(りんびょう)は、淋菌(りんきん)という細菌によって起こる性感染症(性行為でうつる病気)です。主にのど、性器、直腸(こうもんの内側)に感染します。
重要な事実
- 淋病は性行為(オーラルセックス、アナルセックスも含む)でうつる感染症です。
- 症状がないことも多く、気づかないまま他人にうつしてしまうことがあります。
- 治療しないでいると、不妊や関節炎などの重い合併症を起こす可能性があります。
日本では、厚生労働省の報告によると、淋病は若い世代を中心に毎年一定数の患者が報告されている、比較的多い性感染症のひとつです。
性行為をしているすべての年齢の方に起こりますが、特に15~29歳の若い男女に多くみられます。女性の場合は症状が出にくいため、気づかないことがあります。
症状
- 激しい腹痛や骨盤の痛みで動けなくなった場合(女性では子宮外妊娠の可能性もあり、すぐに救急車を呼ぶ必要があります)
- 発熱とともに激しい痛み、めまい、意識がもうろうとする場合
- ⚠排尿がまったくできない、または血尿が出る
- ⚠男性で精巣(睾丸)が急に腫れて激しく痛む
- ⚠女性で下腹部に強い痛みや発熱がある(骨盤内炎症性疾患の可能性)
一般的な症状
- 男性: 尿道から黄色や緑色の膿(うみ)が出る、排尿するときの痛みや焼ける感じ、精巣(睾丸)の腫れや痛み
- 女性: おりものが増える・色が変わる(黄色っぽい)、排尿時の痛み、性器の出血(生理以外での出血)、下腹部の痛み
- のどの感染: のどの痛みや赤みがあることがある(症状がないことも多い)
- 直腸の感染: 肛門のかゆみ、痛み、膿(うみ)や出血があることがある
子供の症状
- 新生児: 出産のときに感染した場合、目の炎症(結膜炎)や目のまわりの腫れが現れることがある。すぐに医師の診察が必要。
高齢者の症状
- 高齢者でも性行為により感染することがある。症状は若い人と同様だが、関節痛やかゆみなど非特異的な症状で現れることもあるため注意が必要。
原因
主な原因
- 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という細菌への感染が原因です。
- 性行為(膣・肛門・口を使うすべての性行為)で感染します。
- 感染している人が症状がなくても、性器やのどから細菌をうつすことがあります。
リスク要因
- コンドームを使わない性行為(オーラルセックスやアナルセックスも含む)
- 複数のパートナーとの性行為
- 以前に他の性感染症にかかったことがある
- 新しいパートナーとのコンドームなしの性行為
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 排尿時の痛みや異常なおりもの(膿)が出た
- のどや肛門に痛みや異常がある
- パートナーが淋病と診断された場合(症状がなくても検査が必要)
定期受診を予約すべき場合:
- 新しいパートナーと性行為をした後は、症状がなくても定期的に性感染症の検査を受けることをおすすめします。
診断
淋病の診断は、医療機関での検査によって行われます。医師が症状や性行為の状況を聞き、必要な部位から検体を取って調べます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査: 最初の尿(排尿し始め)を採取して、淋菌の有無を調べます。
- スワブ検査: 綿棒で性器(尿道や子宮頸管)、のど、直腸から検体を採取して培養検査や遺伝子検査を行います。
- 血液検査: 合併症がないか確認するために行うことがあります。
診察で予想されること
検査は簡単で、痛みを伴うことはほとんどありません。尿道のスワブ検査は一瞬違和感がありますが、すぐに終わります。結果が出るまで数日かかることがあります(迅速検査ではその場でわかることもあります)。検査の前に1~2時間排尿を我慢しておくと尿検査の精度が上がります。
治療
淋病は細菌感染症なので、抗菌薬(抗生物質)による治療が基本です。最近では薬が効かない耐性菌も増えているため、医師が適切な薬を選びます。治療は飲み薬か注射で行われます。治療中は性行為を控え、パートナーも同時に治療・検査を受けることが重要です。
自宅でのセルフケア
- 治療中は性行為を完全に避けてください(コンドームを使っても感染リスクがあるため)。
- 処方された薬は全部飲みきってください(症状が消えても途中でやめないでください)。
- 水分を多めに取り、刺激物(辛いもの、アルコール)は控えめにすると症状が和らぐことがあります。
医療治療
医師は、淋菌の型や耐性の状況に応じて、筋肉注射または経口の抗菌薬を処方します。通常は1回の治療でよくなりますが、症状が続く場合は追加治療が必要なこともあります。治療後は再検査(治癒確認)が推奨されます。
手術が検討される場合
淋病そのものに手術が必要になることは通常ありません。しかし、合併症が起きて精巣や卵巣などに膿がたまった場合などは、症状に応じて外科的処置(切開や排膿など)が必要になることがまれにあります。
この病気と共に生きる
治療中は、ほかの人にうつさないために性行為を控えましょう。治療が終わり、再検査で陰性が確認されるまでは感染のリスクがあります。症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 治療後は、淋病に再感染する可能性があります(免疫がつかないため)。必ずコンドームを使い、安全な性行為を心がけましょう。
- 定期的に性感染症の検査を受ける習慣をつけましょう。
- パートナーと感染の有無について話し合うことが大切です。
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と十分な睡眠をとり、免疫力を高めることが回復に役立ちます。激しい運動は症状が重い間は避け、快復したら徐々に再開して構いません。
精神的健康と心の健康
淋病と診断されると、不安や恥ずかしさ、パートナーへの伝え方に悩むことがあるかもしれません。しかし、淋病はだれにでも起こりうる一般的な感染症です。自分を責めすぎず、早めに治療すればしっかり治ります。メンタル面でのサポートが必要な場合は、医療機関やカウンセリングを利用することも検討してください。
予防
淋病は予防できる病気です。性行為のたびに正しくコンドームを使うことが最も効果的です。オーラルセックスやアナルセックスでもコンドームを使用しましょう。常に新しいパートナーとは検査を受け合うことも予防につながります。
ワクチン
現在、淋病を予防するワクチンは日本では承認されていません。研究は進められています。
検診プログラム
性感染症の検査は、症状がなくても年に1回程度受けることが推奨されています(特に新しいパートナーがいる場合や複数のパートナーがいる場合)。保健所やクリニックで匿名・無料で受けられる検査もあります。
合併症
治療しない場合
- 女性: 骨盤内炎症性疾患(PID)→ 卵管の損傷により不妊や子宮外妊娠のリスク上昇
- 男性: 精巣上体炎(精巣の炎症)→ 不妊の原因になることがある
- 男女共通: 関節炎、皮膚発疹(播種性淋菌感染症)、まれに心内膜炎や髄膜炎
- 新生児: 感染すると目の炎症(淋菌性結膜炎)から失明に至る可能性がある
長期的な見通し
淋病は抗菌薬で治療すれば、ほとんどの場合完全に治ります。早期発見・早期治療が大切です。治療を遅らせると合併症が起きる可能性が高まりますが、適切な治療を受ければ、合併症の多くも改善します。再感染を防ぐために、パートナーも治療し、予防を続ければ、健康な生活を送ることができます。
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- 各自治体の保健所(性感染症の検査・相談) · 日本全国
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月18日
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