Hiatus hernia
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
食道裂孔ヘルニア(しょくどうれっこうヘルニア)とは、胃の一部が横隔膜(おうかくまく)の食道が通る穴から胸の中に飛び出してしまう病気です。横隔膜は胸とお腹を分ける筋肉の膜で、その穴がゆるむと胃が上に移動します。
重要な事実
- 多くの場合、症状がないか軽いため気づかれないことが多いです。
- 症状があると主に胃酸の逆流(逆流性食道炎)を起こします。
- 治療は生活習慣の改善と薬が中心で、重症の場合のみ手術が検討されます。
はい、比較的よく見られる病気です。特に40歳以上の方に多く、加齢とともに増えます。
主に中高年、特に肥満傾向の方や妊娠中の女性に多く見られます。また、腹圧がかかる仕事(重いものを持つなど)をしている方もリスクが高いです。
症状
- 突然の激しい胸痛(心臓発作の可能性もあるので119番を)
- 吐血(胃や食道から大量出血)または黒いタールのような便
- 呼吸困難(息が苦しくて横になれない)
- ⚠胸やけや痛みがひどくて食事がとれない
- ⚠飲み込みにくさが急に悪化した
- ⚠嘔吐が続いて水分もとれない
一般的な症状
- 胸やけ(胃酸が食道に逆流して胸が焼ける感じ)
- げっぷや酸っぱい液体が口に上がってくる(呑酸:どんさん)
- 胸の痛みや違和感(特に食後や横になったとき)
- 飲み込みにくさ(食べ物がつかえる感じ)
子供の症状
- 赤ちゃんや子どもでは、吐き戻しや嘔吐が多い
- 成長不良(体重が増えにくい)
- 慢性的な咳や喘鳴(ぜんめい:呼吸時のヒューヒュー音)
高齢者の症状
- 高齢者では胸やけの自覚が弱いこともあるが、食後の不快感やげっぷが多い
- 誤嚥(ごえん:食べ物や胃液が気管に入る)による肺炎のリスクが高まる
- 貧血(胃からの小さな出血が続くことで起こる)
原因
主な原因
- 加齢により横隔膜の筋肉が弱くなること
- 腹圧が高くなる状態(肥満、妊娠、便秘、重いものを持ち上げるなど)
- 先天的に横隔膜の穴が大きい場合
リスク要因
- 40歳以上の年齢
- 肥満(特に腹部肥満)
- 慢性的な咳や便秘
- 過去の腹部手術
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(激しい胸痛、吐血など)がある場合は即座に救急車を呼んでください。
- 強い胸やけや痛みで横になれない、食事がまったくできない場合も早めに受診を。
定期受診を予約すべき場合:
- 胸やけやげっぷが週に2回以上ある
- 飲み込みにくさが続く
- 市販の胃薬を飲んでも改善しない
診断
食道裂孔ヘルニアは、主に内視鏡検査(胃カメラ)やバリウムを飲んでのX線検査で見つかります。症状や問診も大切です。
行われる可能性のある検査
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):口から細いカメラを入れて直接胃と食道の境目を観察します。
- バリウム嚥下検査:バリウムという液体を飲んで、食道や胃の形をX線で撮影します。
- 食道内圧検査:食道の筋肉の動きや圧力を調べる検査(必要に応じて)。
診察で予想されること
検査は通常外来で行えます。胃カメラはのどに麻酔をかけて行うため、痛みはほとんどありません。バリウム検査は数分で終わります。結果はその日か後日説明があります。
治療
治療は症状の有無や程度によります。無症状なら経過観察でよい場合もありますが、症状がある場合は生活習慣の改善と薬による治療が基本です。重症で薬が効かない場合に手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 一度にたくさん食べず、少量を回数を分けて食べる
- 食後すぐに横にならない(少なくとも2〜3時間はあける)
- 寝るときは上半身を高くする(枕を高くするかベッドの頭側を上げる)
- 脂肪分の多い食事、辛いもの、カフェイン、アルコールを控える
- 禁煙する
- 締め付けの強い服やベルトを避ける
医療治療
医師は胃酸の分泌を抑える薬や胃の運動を助ける薬、粘膜を保護する薬などを症状に合わせて処方します。薬の種類や飲み方は医師の指示に従ってください。自己判断で量を変えたりやめたりしないでください。
手術が検討される場合
薬で症状がコントロールできない場合や、食道が狭くなるなどの合併症がある場合に手術が検討されます。手術は腹腔鏡(ふくくうきょう)という小さな穴から行う低侵襲手術が一般的です。医師とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
食道裂孔ヘルニアは適切に管理すれば日常生活に大きな支障はありません。症状をコントロールする習慣を身につけることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 食べた後は軽く歩くなどして胃に負担をかけない
- ストレスをためない(ストレスは胃酸分泌を増やす)
- 便秘を予防する(いきみは腹圧を上げる)
食事と運動
食事は脂っこいものや酸味の強いものを避け、バランスよくとりましょう。適度な運動(ウォーキングなど)は体重管理に役立ちますが、重いものを持ち上げるような運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
慢性的な胸やけや痛みは不安やイライラの原因になることがあります。症状が気になる場合は医師に相談し、適切な治療を受けることで精神的な負担も軽減できます。
予防
加齢によるものは完全には防げませんが、肥満を避け、腹圧を上げる動作(重いものを持ち上げる、強いいきみ)を控えることでリスクを減らせます。
検診プログラム
特に集団検診はありませんが、胃カメラの際に偶然見つかることが多いです。症状がある場合は早めに検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 逆流性食道炎(胃酸で食道の粘膜が傷つく)
- 食道狭窄(しょくどうきょうさく:食道が狭くなって飲み込みにくくなる)
- Barrett(バレット)食道(食道の細胞が変化し、まれにがんのリスクが上がる)
- 食道潰瘍や出血
長期的な見通し
ほとんどの方は生活習慣の改善や薬で症状がよくコントロールできます。合併症が起きても適切な治療で対応可能です。手術が必要な場合も成功率は高く、予後は良好です。定期的なフォローアップで安心して生活できます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月17日
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