特発性肺線維症(IPF)と共に生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
特発性肺線維症(IPF)は、肺の中が傷つき硬くなっていく病気です。肺が硬くなると、酸素を血液に取り込みにくくなり、空気を吸うのが苦しくなります。原因はまだはっきりと分かっておらず、「特発性」とは「原因が不明」という意味です。日本では、厚生労働省が定める難病(指定難病)に含まれています。
重要な事実
- 肺の中が線維(せんい)という硬い組織で置き換わり、肺の伸び縮みが悪くなる病気です。
- ゆっくりと進行し、咳や息切れが続きます。
- 適切な治療と日常生活の工夫で、進行を遅らせたり、症状を和らげたりすることができます。
特発性肺線維症は、まだあまり知られていない病気ですが、決して超まれな病気ではありません。日本では約3万人以上の患者さんがいると言われています。
50歳から70歳くらいの、働き盛りからご高齢の方に多く見られます。特に男性や、喫煙歴がある方に多いという報告があります。
症状
- 急に息ができなくなった
- 唇や顔が紫色になった
- 血の塊のようなたんが出る、または大量に血が出る
- 胸の強い痛みが急に現れた
- 上記の症状がある場合は、ためらわずに119番へ電話してください
- ⚠いつもの息切れがひどくなった
- ⚠38度以上の熱が出た
- ⚠たんの量や色が変わった(黄色や緑色)
- ⚠体の動きが辛いほど咳が続く
一般的な症状
- から咳が続く(特に運動後に出やすい)
- 息切れがする(階段を上る、歩くと苦しい)
- 疲れやすい、体がだるい
- ばち状指(指の先が太く丸くなる)
- 体重が減る、食欲がない
原因
主な原因
- 特発性肺線維症の明確な原因はまだわかっていません。何らかのきっかけで肺に炎症が起き、その傷が治る過程で線維化(硬くなる)が進むと考えられています。
リスク要因
- ご家族に特発性肺線維症の方がいる
- 職業や環境でほこり・粉じん・化学物質を吸い込むことが多い
- 胃食道逆流症(逆食)のある方
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れや咳が急に悪化して日常生活が送れない
- 肺炎のような症状(高熱・たんの増加・呼吸苦)がある
- 血痰(けったん)が見られる
定期受診を予約すべき場合:
- から咳が2ヶ月以上続く
- 階段や坂で息切れを感じるようになった
- 風邪をひいた後に咳や息苦しさが長引く
診断
特発性肺線維症の診断は、呼吸器内科の専門医が行います。お話を聞く、聴診器で肺の音を調べる、画像検査や呼吸機能検査などの結果を組み合わせて総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線検査
- 胸部CT検査(特に高精細なHRCT)
- 呼吸機能検査(肺活量や酸素の取り込みを調べる)
- 血液検査
- 心エコー(心臓の状態を確認するため)
- 場合によっては肺生検(肺の一部を取って顕微鏡で調べる)
診察で予想されること
診断には数週間かかることもあります。呼吸器内科のある病院を紹介され、何回かに分けて検査を受けます。診断がつくまでの間も、無理をせず、症状に合わせて生活することが大切です。
治療
現在のところ、この病気を完全に治す治療法はありません。しかし、進行をゆっくりにしたり、症状を和らげたりする治療法があります。また、日常生活を工夫することで、生活の質を長く保つことができます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙をしましょう。喫煙は症状の悪化や合併症のリスクを高めます。
- インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種で感染症を防ぎましょう。
- 規則正しい生活と休養で、体調を整えましょう。
- 室内の空気を清潔に保ち、ほこりやカビを避けましょう。
- 症状に合わせて無理のない運動を続けましょう。
医療治療
治療には、肺の線維化の進行を抑える「抗線維化薬(こうせんいかやく)」という薬が使われることがあります。その他に、息苦しさを和らげるための酸素療法、肺の機能や日常生活の動作を維持するための呼吸リハビリテーションなどがあります。また、症状が重い場合には、肺移植が選択肢となることもあります。ご自身の状態に合った治療を医師と相談しながら決めましょう。
手術が検討される場合
肺移植は、進行した方に検討される治療法です。適応になるかどうかは、年齢や全身の状態によって専門医療機関で慎重に判断されます。
この病気と共に生きる
無理をしないことが第一です。息切れを感じたら休憩を取りましょう。日々の動作では、動く前に一呼吸置いたり、ゆっくりと動いたりすると楽になります。呼吸法の練習も、生活を楽にしてくれます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙は最も大切です。
- バランスの良い食事をとり、体力を保ちましょう。
- 十分な睡眠と休養を心がけましょう。
- 人混みや感染の流行時期を避け、風邪を予防しましょう。
- 歩くときは急がず、ゆっくり自分のペースで。
食事と運動
食事は、むせやすい場合は固さやとろみを工夫し、ゆっくり食べるようにしましょう。運動は、呼吸リハビリテーションなど専門家の指導のもとで行うことが勧められますが、難しい場合は、自宅で軽いストレッチや足の運動など、無理のない範囲で続けることが大切です。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と向き合うことは、不安やつらさを感じることもあるでしょう。そのような気持ちを一人で抱えず、家族や友人、医療者に話してほしいと思います。大きなつらさを感じる場合は、心療内科や精神科のサポートを受けることも助けになります。ぜひ身近な医療者に相談してください。
予防
特発性肺線維症は、はっきりとした予防方法がわかっていません。ただし、喫煙を避けることや、環境中の有害物質を吸い込まないなどの対策は、発症リスクを下げる可能性があります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌ワクチンは、肺の感染症を防ぐうえで重要です。かかりつけ医や呼吸器科の医師と相談しましょう。
検診プログラム
健康診断の胸部X線検査などで、異常を指摘されることがあります。咳や息切れの症状があれば、早めに医療機関を受診することが早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 呼吸不全(肺の機能が低下し、酸素が十分取り込めなくなる)
- 肺高血圧症(肺の血管の圧力が高くなる)
- 肺がんのリスクが高い
- 急性増悪(急に症状が悪化する発作)
長期的な見通し
特発性肺線維症は進行する病気ですが、経過は人によってさまざまです。最近は、進行を遅らせる治療や呼吸リハビリ、酸素療法などを上手に組み合わせることで、長く日常生活を続けておられる方も多くいます。ご自身の状態を良く知り、医療者と信頼関係を築きながら、前向きに過ごしていくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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