高齢者の白血病治療:治療の流れと生活の工夫
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
白血病は、血液のもとになる細胞ががん化して、正常な血液が作られなくなる病気です。高齢者の場合、進行がゆっくりなタイプの白血病も多く、治療は「完治」だけを目指すのではなく、症状を抑えながら生活の質を保つことも大切な目標になります。
重要な事実
- 白血病は血液のがんの一種で、種類によって進行の速さが異なります。
- 高齢者では、体への負担が少ない治療を選ぶことがあります。
- 白血病は不治の病ではなく、治療しながら長く安定して過ごせる方も多くいます。
- 治療方針は年齢だけでなく、全身の状態や本人の希望を尊重して決められます。
白血病はまれな病気ですが、特に60歳以上で診断される方は増えています。すべての年齢を合わせた患者さんの約半数以上が高齢者というデータもあります。
高齢者では、慢性リンパ性白血病や骨髄異形成症候群から移行する急性骨髄性白血病などが比較的多く見られます。しかし、誰にでも起こりうる病気です。
症状
- 高熱が続く、または悪寒を伴う発熱
- 息をしていても酸素が足りず、唇が紫色になる
- 意識がぼんやりする、呼びかけに反応しない
- 止まらない出血(鼻血、歯ぐき、下血など)
- 突然の強い頭痛やけいれん
- ⚠熱が38度以上あり、だるさが強く食事がとれない
- ⚠呼吸が少し苦しい
- ⚠あざが急に増える
- ⚠血便や血尿がある
- ⚠強い骨の痛みや胸の痛みがある
一般的な症状
- 疲れやすさ・だるさ
- 顔色が悪い(貧血)
- 微熱が続く
- 体重が減る
- あざができやすい・血が止まりにくい
- 感染症にかかりやすい
子供の症状
- 小児の白血病は高齢者と比べて進行が速いことが多いです。
- 発熱、顔色不良、骨の痛み、おなかの張りなどの症状に気づかれることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では「ただの老化」と思い込まれやすい、だるさや食欲低下が最初の症状になることがあります。
- 息切れやめまい、転びやすさなども白血病の可能性があります。
- 感染症をきっかけに血液検査で見つかることもあります。
原因
主な原因
- 白血病の原因ははっきりしていません。
- 血液を作る細胞の遺伝子に傷がつくことが関係していると考えられています。
- 特定の放射線被ばくや、一部の化学物質への曝露が関係する場合があります。
リスク要因
- 高齢になること
- 過去に強い放射線治療や化学療法を受けた経験
- タバコを長期間吸っていたこと
- 特定の血液の病気をきっかけに発症する場合があること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 原因不明の高熱が続く
- 急に息苦しくなる
- 出血が止まらない
- 強いだるさで日常生活が送れない
定期受診を予約すべき場合:
- 2週間以上、だるさや微熱が続く
- 貧血を指摘されたことがある
- あざや点状の赤い斑点が増えた
- 急に体重が減った
診断
白血病の診断は、まず血液検査で異常な細胞がないかを調べます。その上で、骨髄検査という、骨の中にある血液を作る組織を調べる検査で確定診断を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:赤血球・白血球・血小板の数や形を確認します。
- 血液像検査:顕微鏡で血液の中の細胞を詳しく観察します。
- 骨髄検査:腰の骨などから少量の骨髄を採取し、がん細胞の有無を確認します。
- 遺伝子検査:白血病のタイプや治療の反応を予測するために行います。
- 画像検査:CTや超音波で脾臓やリンパ節の腫れを確認することがあります。
診察で予想されること
骨髄検査は少し痛みを伴いますが、局所麻酔を使って行われ、多くの場合は数分で終わります。検査結果を待つ間は不安が大きいですが、担当医とよく話し合い、疑問をそのままにしないことが大切です。
治療
高齢者の白血病治療は、単に「がんを消す」ことだけを目指すのではなく、「元気に過ごせる期間」と「日常生活のしやすさ」を重視して組み立てます。治療には、抗がん剤治療、分子標的治療、免疫療法、輸血などの支持療法があり、患者さんの状態や希望に合わせて選ばれます。
自宅でのセルフケア
- 感染予防を徹底する(手洗い・うがい・人混みを避ける)
- 体を冷やさず、十分な睡眠をとる
- 口の中の清潔を保つ(歯磨きを優しく行う)
- おかしいなと思ったら早めに医療者に相談する
- 無理をせず、体調に合わせて生活リズムを作る
医療治療
治療には、がん細胞を攻撃する抗がん剤治療、特定の異常に狙いを定める分子標的治療、体の免疫の力を利用する免疫療法などがあります。高齢者の場合は、治療の強さを調整したり、入院期間を短くする工夫をしたりすることもあります。また、貧血や出血のリスクを減らすための輸血や、感染症を防ぐ対策も治療の一部です。治療の選択肢や効果・副作用については、担当医から十分な説明を受けるようにしてください。
手術が検討される場合
白血病では、一般的に手術でがんを取り除くことはできません。白血病は血液の中を流れる病気のため、手術は治療の中心にはなりません。ただし、治療に関連する合併症(例えば、感染した場所の処置など)で手術が必要になることはあります。
この病気と共に生きる
治療中は、体力の変化や感染のリスクに合わせて生活を調整することが必要です。調子の良い日と悪い日の波があることを理解し、予定を詰めすぎないようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日体温を測り、発熱の有無をチェックする
- 外出時はマスクを着用し、人ごみの時間を避ける
- お風呂は湯冷めしないように気をつける
- 十分な水分をとり、便秘や下痢を予防する
- 気分転換は、無理のない範囲で散歩や読書などに行う
食事と運動
食事はバランスよく、特にタンパク質やビタミンを意識しましょう。しかし、食欲がないときは無理に食べず、食べやすいもの・飲み込みやすいものから少しずつでよいです。運動は、医師に相談した上で、散歩やストレッチなど軽いものを体調に合わせて行いましょう。
精神的健康と心の健康
白血病と診断されると、不安や悲しみ、先の見通しへの恐怖を感じるのは自然なことです。また治療による疲労感や、周りの人に迷惑をかけているという気持ちになる方もいます。そうした感情を一人で抱え込まず、医療者や家族に話すことが大切です。
予防
白血病の多くは、はっきりした予防法がわかっていません。ただし、喫煙を避けることや、有害な化学物質への曝露を避けること、健康的な生活習慣を心がけることは、がん全体のリスクを下げるのに役立ちます。
ワクチン
治療中は免疫が低下しているため、インフルエンザや肺炎などのワクチン接種が推奨されることがあります。ただし、生ワクチンと呼ばれる種類は受けられない場合があるため、必ず担当医と相談してください。
検診プログラム
白血病を早期に見つけるための、一般的ながん検診のようなものはありません。血液検査で異常を指摘された場合は、放置せずに血液内科などの専門医を受診することが早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 正常な白血球が減り、重症の感染症を起こすことがあります。
- 血小板が減り、脳出血など命に関わる出血のリスクが高まります。
- 貧血が進行し、心臓に負担がかかって心不全になることがあります。
- がん細胞が他の臓器に広がり、痛みや臓器障害を引き起こすことがあります。
長期的な見通し
高齢者の白血病はかつてより治療の選択肢が広がり、無理のない治療で長く安定した生活を送る方が増えています。完治が難しいタイプでも、症状をやわらげながら日々の生活を大切にすることができます。治療はつらさを伴うこともありますが、医療者と一緒に最善の方法を探すことができます。希望を持って、一歩ずつ進んでいきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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