肝移植後の生活
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肝移植とは、病気で傷んだ肝臓を、健康な肝臓に置き換える手術です。肝移植後は、新しい肝臓を長く良い状態で保つために、体の管理を続けていく必要があります。日本の移植医療は厚生労働省の指針に基づいて行われています。ここでは、肝移植を受けた後の生活で大切なことを説明します。
重要な事実
- 肝移植を受けると、肝臓の働きが大きく改善することが期待できます。
- 移植後は、拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤という薬を飲み続ける必要があります。
- 定期的な通院と検査で、新しい肝臓の状態を確認することが大切です。
- 感染症にかかりやすいので、手洗いや予防接種などで対策をします。
- 医師や看護師、栄養士などのチームと一緒に、長い目で健康を守ります。
日本では毎年、多くの肝移植が行われていますが、すべての肝臓の病気に対して行われる治療ではありません。肝移植は、ほかの治療では回復が難しい重度の肝臓病の患者さんにとって、重要な選択肢のひとつです。
肝移植は、肝硬変や肝がん、急性肝不全など、命に関わる肝臓の病気を持つ子どもから大人まで必要なことがあります。大人ではウイルス性肝炎やアルコール性肝障害、子どもでは胆道閉鎖症などが主な原因になります。
症状
- 突然の高熱(38度以上)
- 激しい腹痛や吐き続ける場合
- 血を吐く、または黒い便が出る
- 呼吸が苦しくなる
- 意識が遠くなる、または呼びかけに反応が鈍い
- 重度の黄疸(皮膚や白目がはっきり黄色くなる)
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番で救急車を呼んでください。
- ⚠38度前後の熱が続く
- ⚠悪寒や震えがある
- ⚠おなかの痛みが強くなる
- ⚠移植した部分に痛みや腫れがある
- ⚠下痢や嘔吐が続く
- ⚠インフルエンザのような症状
一般的な症状
- だるさや疲れやすさ
- 微熱(37度台の熱)
- 食欲がない、吐き気
- おなかの張りや痛み
- 皮膚や目が黄色くなる(黄疸)
- 尿の色が濃くなる
子供の症状
- 哺乳量が減る、ミルクを飲まない
- 体重が増えない、成長が遅れる
- 機嫌が悪い、ぐずる
- おなかが張る
高齢者の症状
- 意識がもうろうとする、混乱する
- 転びやすくなる
- 感染症にかかりやすい
- 薬の飲み忘れが起こりやすい
原因
主な原因
- 肝移植が必要になる主な原因は、肝硬変(肝臓が硬くなり機能が低下する病気)、肝がん、急性肝不全(急に肝臓の働きが悪くなる病気)です。
- 子どもでは、胆道閉鎖症(胆汁の通り道が生まれつき詰まる病気)が最も多い原因です。
- そのほか、代謝性の病気や自己免疫性肝炎などでも移植が必要になることがあります。
リスク要因
- 慢性肝炎(B型・C型肝炎など)
- 過度の飲酒
- 脂肪肝(特に進行して肝硬変になった場合)
- 肝臓がんの進行
- 薬の副作用による肝障害
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 熱が続く、または高熱がある
- おなかの痛み、吐き気、嘔吐がひどい
- 皮膚や目が黄色い
- 便の色が黒い、または血が混じる
- 尿の量が減る、または色が濃い
定期受診を予約すべき場合:
- 決められた通院日を守り、血液検査や画像検査を定期的に受ける
- 免疫抑制剤の量が適切かどうかを確認する
- 感染症の予防接種について医師と相談する
- 生活習慣について栄養士や看護師に相談する
診断
肝移植後の健康状態は、定期的な通院での血液検査や画像検査によって調べます。新しい肝臓が正常に働いているか、拒絶反応や感染症の兆候がないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能、腎機能、免疫抑制剤の濃度など)
- 超音波検査(おなかの臓器を画像で見る検査)
- CT・MRI(詳しい断面画像で肝臓の状態を確認)
- 肝生検(肝臓の組織を一部採取して顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
定期検査は、まずは移植後1年間は頻繁に行われ、その後は状態が安定してくると間隔があきます。検査には時間がかかることもありますが、新しい肝臓を守るために大切なものです。
治療
肝移植後の治療の中心は、拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤の服用です。また、感染症の予防、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の管理も重要です。治療は移植チームの指示に従って長期間続けられます。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬を決まった時間に飲み忘れないようにする
- 手洗い・うがいを徹底し、人混みを避けるなど感染症対策をする
- 体温を毎日測り、体調の変化を記録する
- 規則正しい生活と十分な休息をとる
- アルコールを控える
医療治療
移植後は、免疫抑制剤を使って体の免疫反応を抑えます。また、感染症を予防するための抗生物質や抗ウイルス薬が処方されることもあります。これらの薬は医師の指示に従って使用し、勝手にやめたり量を変えたりしないことが大切です。
手術が検討される場合
肝移植そのものが外科手術です。移植後は通常、集中治療室で数日間過ごし、その後一般病床に移ります。手術後の経過は人によって異なりますが、多くの患者さんは数週間の入院後、自宅で生活を始められます。
この病気と共に生きる
移植後は、薬の服用と定期通院が生活の中心になります。一般的に、退院後は仕事や学校に戻ることも可能ですが、感染症に注意しながら無理のないペースで過ごすことが大切です。体調に合わせて活動量を調整しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の服薬を習慣にする(薬手帳を活用する)
- 体温・体重・尿の色などを記録する
- 身の回りの清潔を保つ
- 十分な睡眠をとる
- 禁煙し、アルコールを控える
- かかりつけの移植チームとの連絡手段を確認しておく
食事と運動
食事は、肝臓に負担をかけないバランスの良い食事を心がけましょう。塩分や脂肪を控えめにし、質の良いタンパク質や野菜を十分に摂ります。運動は、医師の許可を得てから軽いウォーキングなどから始めると良いでしょう。体重管理も大切です。
精神的健康と心の健康
移植後は、「新しい臓器を失うかもしれない」という不安や、体調が安定しないことによるストレスを感じることがあります。精神的なつらさは一人で抱えず、医師や看護師、臨床心理士などの専門家に相談してください。
予防
肝移植後の合併症は、完全に防ぐことはできませんが、定期検査と薬の正しい服用、感染症対策によってリスクを大きく減らせます。
ワクチン
移植後は感染症のリスクが高いため、医師が推奨するワクチン接種を受けることが大切です。ワクチンの種類や接種時期は、免疫抑制剤の影響を考慮して医師が判断します。
検診プログラム
定期検査として、血液検査や画像検査を予定どおり受けることが合併症の早期発見につながります。また、歯科検診や眼科検診も受けておきましょう。
合併症
治療しない場合
- 急性拒絶反応(移植した肝臓を体が攻撃する反応)
- 感染症(免疫力が低下しているため、細菌やウイルスにかかりやすくなる)
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病
- 胆管の合併症(胆汁の流れが悪くなる)
- 移植した肝臓の機能が低下する(慢性拒絶反応)
長期的な見通し
肝移植は、重い肝臓病に対する治療の中で、とても大きな効果をもたらします。移植後の薬や生活管理をしっかり続けることで、多くの人が元気に日常生活を送っています。体調の変化には早めに対応し、医療チームと協力しながら、穏やかで前向きな気持ちを大切にしましょう。
サポートを探す
地域の団体
- 厚生労働省 ↗ · 日本(全国)
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。