軟骨無形成症とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
軟骨無形成症は、体の骨が十分に大きくなれないために手足が短く、低身長になる生まれつきの病気です。背中の骨(背骨)や骨盤はほぼ普通の大きさで、大きな頭と特徴的な顔つきが見られることもあります。これは骨の成長を調整する遺伝子の変化が原因で起こります。
重要な事実
- まれな病気で、出生の約1万~3万人に1人と報告されています。
- およそ8割は、両親の身長が平均的でも突然変異で起こります。
- 知能や寿命は平均的な人とほとんど変わりませんが、健康上の合併症をきちんと管理することが大切です。
まれな病気ですが、体の成長に関する低身長症の中では最も一般的なタイプです。
男の子でも女の子でも、世界中のどの民族でも起こります。家族に同じ病気の人がいると遺伝する場合がありますが、多くの場合は家族の中にいない新しい遺伝子の変化で起こります。
症状
- 突然の強い頭痛に吐き気やおう吐をともなう場合
- 突然、手足に力が入らない、しゃべりにくいなどの麻痺の症状が出た場合
- 呼吸がふだんより苦しい、息が止まりやすい場合
- けいれん(ひきつけ)が起きた場合
- ⚠寝ている間に呼吸が10秒以上止まることがある、いびきがひどく眠れない
- ⚠強い腰・足の痛みやしびれで歩きにくい
- ⚠乳幼児で、熱がありぐったりしている、首が硬い
- ⚠耳の痛みや聴こえにくさが続く
一般的な症状
- 手足が短く、とくに太ももや上腕が短い
- 頭がやや大きく、額が出ている
- 指が短く、指の間に三つ叉の形のすき間がある
- 腰が反り、背中が曲がった姿勢になりやすい
- 脚がO脚になる
子供の症状
- 首の筋肉が弱く、支えられないことがある
- 運動の発達(ひとり座りや歩くこと)がゆっくりなことがある
- 中耳炎(耳の感染症)をおこしやすい
- 寝ている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸が見られることがある
高齢者の症状
- 腰や背中の痛み、足のしびれを感じることがある
- 手足の関節に痛みや変形が見られることがある
- 体重が増えやすく、肥満や生活習慣病になりやすい
- ふくらはぎや足のしびれ、痛みが出ることがある
原因
主な原因
- 骨の成長に必要な遺伝子(FGFR3という遺伝子)に変化があることが原因です。
- 多くは、精子や卵子がつくられるときに突然起こる新しい遺伝子の変化です。
- まれに、片方の親から遺伝することがあります。
リスク要因
- 家族に軟骨無形成症の人がいると、遺伝する可能性があります。
- 新しい遺伝子の変化は、どの家庭でも起こり得るため、生活習慣や妊娠中の体調などは原因になりません。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 前述した緊急症状(突然の麻痺、呼吸困難、けいれんなど)が見られた場合は、すぐに119番へ通報してください。
- 強い腰や足の痛み、ふらつき、排尿や排便の異変を感じたら、同じ日もしくは翌日には医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 子どもの成長や発達の定期健診
- 聴力検査や視力検査
- 背中や関節の痛みが続く場合
- 睡眠時無呼吸の症状が気になる場合
診断
問診と身体診察、体の各部分の測定、X線(レントゲン)などの画像検査で、典型的な骨の形や長さを確認します。より詳しく調べるために血液検査(遺伝子検査)が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 身体測定(身長、座高、体重、頭囲など)
- X線検査(骨の形や長さを見る)
- 遺伝子検査(血液で原因を確認)
- 場合によっては、脳や背骨のMRI検査
診察で予想されること
診察では、子どもから大人まで骨の成長や神経、耳鼻科、整形外科の専門医が連携して、年齢に合わせたケアを続けます。遺伝カウンセリングを受けられることもあります。
治療
根本的に治す方法はまだありませんが、合併症を予防・管理し、日常生活を快適に送ることが治療の中心です。身長を伸ばすための治療もありますが、健康状態や気持ちを大切にしたうえで検討します。
自宅でのセルフケア
- 適正な体重を維持する(腰や膝への負担を減らす)
- 腰や背中に負担をかける姿勢を避け、正しい姿勢を保つ
- バランスの良い食事と、無理のない運動を続ける
- 定期的に医療機関でチェックを受ける
医療治療
近年、骨の成長を助ける薬が登場していますが、すべての人に使えるわけではなく、専門医の診察と相談が必要です。成長ホルモンなどの薬がありますが、効果や副作用は個人差があるため、必ず医師と話し合って決めましょう。
手術が検討される場合
脚の骨を延長する手術(骨延長術)や、脊柱管狭窄症による下肢のしびれなどが強い場合には、背骨の神経を圧迫している部分を広げる手術が行われることがあります。手術が適切かどうかは、生活の不自由さとリスクを考慮し、専門チームが話し合いながら決定します。
この病気と共に生きる
生活の中では、低い場所のスイッチやカウンターを踏み台で使うなどのちょっとした工夫で、日常生活はずいぶん楽になります。自分に合った道具や支援があれば、学校や仕事もあきらめる必要はありません。
生活習慣のアドバイス
- 水泳や自転車など、関節にやさしく、楽しめる運動を見つける
- 同じ病気を持つ人たちとのつながりを作る
- 気持ちを話せる家族や友人、専門家のサポートを利用する
- 定期的に検診を受け、血圧や血糖値、背骨の状態をチェックする
食事と運動
肥満は背中や足への負担を増やします。野菜やたんぱく質を中心にした食事と、医師の許可を得たうえでの運動を習慣にしましょう。運動は泳ぐ、歩く、自転車こぎなどが安全でおすすめです。
精神的健康と心の健康
見た目が異なるためにいじめや偏見を経験することがあり、心の傷になることもあります。悲しい、不安などの感情があれば無理にしまい込まず、カウンセラーや同じ経験を持つ人に話すことが助けになります。心の健康も大切にしてください。
予防
遺伝子の変化による病気のため、予防する方法はありません。ただし、妊娠を考えている場合には遺伝カウンセリングで家族の発症リスクなどを理解し、医療者と話し合うことができます。
ワクチン
感染症は合併症を悪化させることがあるため、日本で推奨されている定期予防接種は受けましょう。特に呼吸器の感染症にかかると重症化しやすいため、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
定期的な聴力・視力検査、睡眠時無呼吸のスクリーニング(方法は家庭用機器や睡眠ポリグラフ検査)、背骨や関節の画像検査などで、合併症を早めに見つけて治療することができます。
合併症
治療しない場合
- 脊柱管狭窄症による激しい腰痛や足のしびれ・麻痺
- 脳の水がたまる水頭症による頭痛や嘔吐、発達の遅れ
- 睡眠時無呼吸による日中の眠気や心肺への負担
- 肥満による糖尿病や高血圧などの生活習慣病
長期的な見通し
合併症をきちんと管理すれば、多くの方は平均寿命に近い生活を送ることができます。社会的な障壁も、環境調整や心理的サポートで和らげられます。今は治療の選択肢も増え、参加できる社会活動も広がっています。希望を持って、自分らしい生活を計画していきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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