慢性肉芽腫症の基礎知識と毎日の生活のヒント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
慢性肉芽腫症(まんせいにくげしゅしょう、CGD)は、体の中の免疫細胞が細菌やカビをうまく殺せなくなるまれな遺伝性の病気です。その結果、重症の感染症が繰り返し起こったり、炎症の塊(肉芽腫)が内臓や皮膚などにできたりすることがあります。
重要な事実
- 免疫の働きの一部が生まれつき低下しており、特定の細菌やカビに感染しやすくなります。
- 発症は主に幼少期までですが、大人になってから診断されることもあります。
- 常に感染を予防することと、起こったときに早く治療することが大切です。根治を目指す治療法もあります。
とてもまれな病気です。正確な数は調査によって異なりますが、日本ではおよそ100万人に1人と言われています。
最も多いのはX連鎖遺伝(X染色体の遺伝子の異常)によるタイプで、多くは男性です。両親から受け継ぐのとは違う常染色体劣性遺伝のタイプでは男女とも可能性があります。
症状
- 呼吸が苦しい、ゼーゼーする
- 高熱に加えて意識がもうろうとする、ぐったりする
- 強い腹痛、おなかの張りで触れると激しく痛い
- 突然、片側の手足が動かしにくい、しゃべりにくい
- ⚠38度以上の熱が1日以上続く
- ⚠咳、痰、胸の痛みが強くなってきた
- ⚠皮膚や関節などに赤く腫れて痛む部分が急に広がる
- ⚠便に血が混じる、下痢が長引く
一般的な症状
- 高熱をともなう細菌感染(肺炎、皮膚やリンパ節の膿瘍など)
- 肺、リンパ節、肝臓、脾臓、骨などに炎症の塊(肉芽腫)ができる
- 皮膚の膿瘍(うみのたまり)や深い傷の治りにくさ
- 下痢や腹痛などの消化器の炎症
子供の症状
- 幼い時期から重症の肺炎や皮下の膿瘍を繰り返す
- 成長の遅れ
- 発熱やリンパ節の腫れが治りにくい
高齢者の症状
- 子ども時代に診断されず、成人してからも原因不明の肺炎や膿瘍を繰り返す
- 原因がはっきりしない炎症性のしこりや感染症が長く続くことがきっかけで見つかることもあります
原因
主な原因
- 免疫細胞のNADPHオキシダーゼという酵素のはたらきが生まれつき低下する遺伝子の変化によって起こります。
- 代表的な遺伝子はCYBB遺伝子で、X連鎖遺伝形式をとります。
- そのほかの遺伝子(NCF1、NCF2、NCF4、CYBAなど)の異常でも起こります。
リスク要因
- 家族に慢性肉芽腫症の方がいる
- 近親婚(血縁関係のある人同士の結婚)がある家系
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く、呼吸が苦しい、意識がおかしい場合はためらわずに病院へ、または119番で救急車を呼んでください。
- 感染症の治療をすでに受けているのに1日以上悪化する場合
定期受診を予約すべき場合:
- かかりつけの医師に定期的に診てもらいましょう(少なくとも年に1回)。
- 予防のための薬やワクチンについて相談する
- 手術や歯科治療の前に抗生物質の予防が必要か確認する
診断
血液の免疫機能を調べる検査で診断します。さらに遺伝子検査で原因の遺伝子を特定することもあります。
行われる可能性のある検査
- 好中球機能検査(DHRテスト): 免疫細胞が細菌を殺す力を測定します
- 遺伝子検査
- 血液の炎症や感染の程度を調べる検査
診察で予想されること
診断には数週間かかることがあります。専門の医療機関への紹介が必要になることが多いです。診断がつけば、感染症を予防する治療を始めることで健やかな生活を送る準備ができます。
治療
治療の柱は、感染症の予防、起こってしまった感染症への速やかな治療、そして根治を目指す治療の三つです。具体的な薬は医師があなたの症状や健康状態に合わせて選択します。
自宅でのセルフケア
- 毎日の手洗いを丁寧に行う
- 傷や切り傷はすぐに洗浄し、清潔なばんそうこうで保護する
- 生の肉や魚、土のついた野菜など、細菌やカビが付きやすい食品はきちんと加熱する
- 水のかびや湿気の多い場所を避ける(室内の洗浄や換気も)
医療治療
感染症を予防するための抗生物質や抗真菌薬の内服が一般的です。また、炎症を抑えるお薬や、免疫の働きを調整する治療を行うこともあります。重症の場合は、血縁者などからの造血幹細胞移植(骨髄移植)が根治を目指す選択肢となります。すべての治療は専門医と相談して決めます。
手術が検討される場合
膿瘍(うみのたまり)がたまって針では取りきれない場合や、腸や内臓の狭窄などの合併症に対して手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
慢性肉芽腫症は、感染を防ぐ日頃の生活習慣がとても大切です。発熱や咳、傷の痛みなど、小さな変化も見逃さずに記録し、早めに医療機関へ相談しましょう。学校や職場に病気への理解を求めるときは、主治医の説明書があるとスムーズです。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠とバランスのよい食事を心がける
- 体を清潔に保つ(入浴・シャワーを毎日)
- 定期受診を欠かさない
- ワクチン接種は医師と相談して受ける
食事と運動
栄養バランスのよい食事で体の防御力を高めましょう。免疫力を高める特別な食事はありませんが、新鮮な食材をしっかり加熱して食べる習慣が大切です。運動は医師と相談しながら無理のない範囲で行い、風邪をひいているときは休むことを優先します。
精神的健康と心の健康
慢性の病気は、怒りや不安、孤独感を感じることがあります。自分を責めず、つらい気持ちを話せる場所(家族、友人、医師、相談員)を持ちましょう。気分がふさぐ日が続くときや、眠れないときは、一人で抱え込まずに専門の支援(カウンセリングなど)を利用してください。
予防
遺伝子の変化による病気なので、その発症そのものを防ぐことはできません。しかし、感染症を予防する治療と毎日の生活の工夫によって、重症化の多くは防ぐことができます。
ワクチン
ワクチンは感染症の予防に役立ちますが、生ワクチン(弱毒化したウイルスを使うもの)は体に害をおよぼすことがあるため、接種前に必ず医師に確認が必要です。
検診プログラム
家族に患者がいる場合は、遺伝カウンセリングや出生前診断の選択について専門医と話し合うことができます。国や自治体の支援制度を使って専門機関に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 重症の肺炎や敗血症(全身に細菌が広がる重篤な感染症)による生命の危険
- 肺やリンパ節、肝臓、骨などに肉芽腫ができて機能障害が残る
- 炎症性腸疾患のような慢性の下痢や腹痛
- 呼吸機能の低下
長期的な見通し
適切な診断と治療が行われるようになった現代では、多くの人が成人してからも仕事や学業を続けています。根治が期待できる移植治療や、感染症を予防する薬の進歩により、見通しは大きく改善しています。希望を持って、医療者と一緒に長く続く暮らしを計画していくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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