嚢胞性線維症と共に生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
嚢胞性線維症は、体のさまざまな部分に「ねばねばした」粘液を作ってしまう遺伝性の病気です。特に肺や消化器に影響があり、呼吸や食べ物の消化・吸収が難しくなります。
重要な事実
- 遺伝子の変異によって起こる、生まれつきの病気です
- 肺に粘液がたまると、せきや肺炎などの感染症を繰り返しやすくなります
- 膵臓からの消化液の流れが悪くなり、栄養の吸収にも影響します
日本では非常にまれな病気とされています。人口の割合としては、欧米の一部の地域と比べると少ないです。
多くは幼い子どもに症状が現れ、赤ちゃんの時期に診断されることもありますが、症状が軽い場合は大人になってから見つかることもあります。
症状
- 呼吸がとても苦しくなり、息ができない感じがある
- 血を吐いたり、血の混じった痰がたくさん出る
- 胸の激しい痛みがある
- ⚠高熱があり、呼吸の状態が普段より悪くなっている
- ⚠痰の量や色が大きく変わった
- ⚠食事や水分がとれない、激しい下痢が続く
一般的な症状
- ねばねばした痰を伴う長引くせき
- 繰り返す肺炎や気管支炎などの呼吸器感染症
- 下痢や脂肪便(油っぽい便)
- 体重の増えにくさ、発育の遅れ
子供の症状
- 赤ちゃんの時期に、腸に粘液が詰まって便が出ない(胎便性イレウス)
- 塩味の強い汗(キスすると塩辛く感じる)
- 呼吸のゼーゼー、肺炎を繰り返す
原因
主な原因
- CFTR遺伝子の変異が原因で、細胞の塩分と水分のバランスが崩れる
- 両親から変異した遺伝子を一つずつ受け継ぐと発症します(常染色体潜性遺伝)
リスク要因
- 家族(親やきょうだい)に嚢胞性線維症の人がいる
- 両親が保因者(症状がないが変異遺伝子を持つ)である場合、子どもに遺伝する可能性があります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさが強まっている
- いつもの治療や痰の自己管理では改善しない、咳や痰の悪化
- 体重が減り続けている、または食事ができない日が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 定期的な外来フォローは必ず受けてください。できれば専門医のいる医療機関が安心です
- 年に一度の全体検査(肺の機能、血液の栄養状態、肝機能など)
- 学校や仕事の予定に合わせた、予防接種のタイミングの相談
診断
新生児スクリーニングで見つかることがありますが、症状から疑われた場合は、汗に含まれる塩分を調べる「汗テスト」や、遺伝子検査、呼吸機能検査などを行って診断します。
行われる可能性のある検査
- 汗テスト(汗に含まれる塩分(塩化物)が高いかどうかを調べます)
- 遺伝子検査(CFTR遺伝子の変異を調べます)
- 肺機能検査(呼吸の強さや肺の働きを調べます)
- 痰の培養検査(感染している細菌を調べます)
診察で予想されること
診断までに時間がかかることもありますが、確定後は、医師、看護師、栄養士、理学療法士などがチームで治療方針を立てます。初めは気になることが多くても、一人で抱え込まずに相談してください。
治療
現在のところ、根本的に治す治療法はありませんが、症状をコントロールし、合併症を防ぎながら生活の質を保つ治療が進んでいます。治療は、呼吸器と消化器の管理が中心になります。
自宅でのセルフケア
- 毎日の呼吸理学療法(吸引やたんを出しやすくする体操)を続ける
- 処方された薬や消化酵素を指示どおりに使用する
- 感染症を予防するために手洗いやワクチン接種を忘れない
医療治療
治療薬は、「痰をやわらかくして出しやすくする吸入薬」や「気管支を広げる吸入薬」、「感染症に対する抗生物質」などが使われます。また、膵臓から消化酵素が十分出ないため、食事と一緒に消化酵素の薬を服用します。これらはすべて医師の処方が必要です。具体的な薬や用量は、主治医の指示に従ってください。近年では、原因となる遺伝子の働きを改善する薬もありますが、対象となる患者さんは限られており、日本でも専門医のチームで検討されます。
手術が検討される場合
必要な場合には、腸閉塞や副鼻腔炎などの合併症に対して手術が行われることがあります。また、病気が進行して肺の機能が極端に低下した時には、肺移植が検討されることもあります。
この病気と共に生きる
毎日の治療や薬の管理が中心になります。学校や仕事との両立は、医療者と相談しながら自分のペースを作っていきましょう。疲れやすい状態であることを理解して、休む時間も大切にしてください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙(本人だけでなく、周りの人も)
- 人混みや感染症の流行時にマスクを活用する
- 十分な睡眠と休息
- 定期的な運動で肺の機能を保つ努力
食事と運動
消化を助けるために、栄養士と相談して高カロリー・高たんぱくの食事を心がけます。また、適度な運動は痰を出しやすくし、肺機能を維持するのに役立ちます。ただし、激しい運動は体調に合わせて医師と相談してください。
精神的健康と心の健康
慢性の病気とともに生きることは、時に不安やストレス、気分の落ち込みを感じることもあります。そうした気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に話してみましょう。心理的なサポートが必要な場合は、心の健康の専門家(精神科医や臨床心理士)につながることも選択肢の一つです。
予防
遺伝子が原因の病気のため、発症そのものを予防することはできません。しかし、妊娠前の遺伝カウンセリングや出生前診断について、専門医と話し合うことは可能です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、重症の感染症を防ぎ、呼吸機能を守るために重要です。接種の時期や種類は、かかりつけ医と相談してください。
検診プログラム
日本では、新生児マススクリーニングの一部として実施しない地域もありますが、診断後に遡って確認されることがあります。気になる場合は小児科医または指定難病相談窓口に問い合わせてみましょう。
合併症
治療しない場合
- 肺の感染症が繰り返されて肺の組織が壊れる(気管支拡張症)
- 栄養不足による発育障害や免疫力の低下
- 肝臓の障害や糖尿病(嚢胞性線維症関連糖尿病)
- 骨がもろくなる骨粗鬆症
長期的な見通し
治療は大きく進歩しており、以前よりはるかに長く、そしてより良い生活を送れる人が増えています。小児期のきちんとした管理が、成人してからの健康を左右します。子どもにも大人にも、希望を持って治療を続けられる時代です。診断を受けたら、最新の医療情報に触れながら、医療チームと一緒に長い目で計画を立てていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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