胃不全麻痺とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
胃不全麻痺(いふぜんまひ)は、胃の筋肉がうまく動かなくなり、食べ物が胃から小腸へ送られるのが遅くなる状態です。胃の「まひ」という言葉が使われますが、実際には胃の動きが弱くなっていることを指します。
重要な事実
- 胃の動きが低下するため、食べたものが胃に長くとどまります。
- 吐き気やおなかの張り、満腹感などの症状が現れます。
- 糖尿病のある人に多いという特徴がありますが、原因がわからないこともあります。
- 治療は症状をやわらげ、栄養状態を保つことが中心になります。
患者数が正確にはわかっていませんが、糖尿病のある方ではしばしば見られる病気です。決してまれな病気ではありません。
女性にやや多く、20代から40代で診断されることが多いですが、子どもから高齢者までどの年齢でも起こり得ます。糖尿病の期間が長い人ほど起こりやすいとされています。
症状
- 激しい腹痛が続く
- 吐き続けて水分も飲めない
- 血を吐く、またはコーヒーかすのようなものを吐く
- 呼吸が苦しくなる
- 意識がもうろうとする、または意識を失う
- ⚠吐き気や嘔吐が1日以上続く
- ⚠尿の量が減る、尿の色が濃い、めまいがする(脱水の可能性)
- ⚠急に体重が減った
- ⚠黒っぽい便や血が混ざった便が出る
- ⚠飲み込むときに痛みがある
一般的な症状
- 吐き気や嘔吐
- 食事を少ししか食べていないのに満腹感が続く
- おなかの張り(膨満感)
- みぞおちの痛みや不快感
- 食欲がない
- 体重が減る
- 胸やけや酸っぱい液体の逆流
子供の症状
- 吐きやすく、食事量が少なくなる
- 体重が増えにくい、成長がゆっくり
- おなかが痛いと繰り返し訴える
- 食後にむかむかする
高齢者の症状
- 食欲低下による体重減少が目立つ
- むせやすく、食べ物が気管に入る危険がある
- 便秘やほかの消化器症状と重なり、気づかれにくい
- 服用中の薬の影響で症状が強くなることがある
原因
主な原因
- 糖尿病(血糖値のコントロールが悪いと起こりやすい)
- 胃の手術のあと(迷走神経という神経が傷つくことがある)
- 原因がはっきりしない特発性のもの
- パーキンソン病など神経の病気
- 甲状腺機能低下症などのホルモンの病気
- 一部の薬の副作用
リスク要因
- 長期間の糖尿病
- 血糖値のコントロール不良
- 胃の手術の既往
- 自己免疫疾患
- 摂食障害の経験
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛や吐き気があり、水も飲めない
- 意識が遠くなる感じや脱水症状がある
- 吐血や黒い便がある
定期受診を予約すべき場合:
- 食後の満腹感や吐き気が長く続く
- 理由なく体重が減っている
- 糖尿病があり血糖値のコントロールが難しい
- 日常生活に支障が出ている
診断
医師が症状の詳しい話を聞き、おなかを診察します。胃がんや胃潰瘍などほかの病気を除外するために検査を行い、そのうえで胃の動きを調べる検査をします。
行われる可能性のある検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 胃排出能検査(放射性同位元素を使って胃の中の残り具合を調べる)
- 上部消化管造影(バリウムを飲んでレントゲンを撮る)
- 血液検査(血糖値や甲状腺機能の確認)
診察で予想されること
検査は数十分から数時間かかるものがあります。食事を控えなければならない検査もあるため、医師の指示に従ってください。検査中の痛みはほとんどありませんが、不安な場合は事前に伝えましょう。
治療
胃不全麻痺を完全に治す治療法はまだありませんが、症状をやわらげ、体重や栄養の状態を保つことを目標に、食事の工夫や薬物療法などを組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 食事は一度に食べすぎず、1日4~6回に分ける
- 脂肪の多い食品や繊維の多い食品(ごぼう、こんにゃくなど)は避ける
- よく噛んで、ゆっくり食べる
- 食後は2時間ほど横にならない
- 炭酸飲料やアルコールは控える
- 糖尿病がある場合は血糖値を良い状態に保つ
医療治療
胃の動きを促す薬、吐き気を抑える薬、胃酸を抑える薬などが使われます。薬には副作用があるため、必ず医師の処方に従ってください。市販薬を自己判断で使うのは避けましょう。
手術が検討される場合
薬や食事療法だけでは症状が改善しない重症の場合に、外科的治療が検討されることがあります。胃に電気刺激を与える装置の埋め込みや、胃の出口を広げる手術などがありますが、専門医が慎重に判断します。
この病気と共に生きる
症状はその日によって強くなったり弱くなったりします。つらい日は無理をせず、食べられるものを少しずつ口にしてみましょう。自分なりのペースを見つけることが長く付き合うポイントです。
生活習慣のアドバイス
- 無理をしないスケジュールを組み、休憩をしっかりとる
- 食後はゆったり過ごす
- 体重を毎週はかり、急な減少がないか確認する
- ストレスをためない趣味やリラックス法を見つける
- かかりつけ医との定期的な連絡を欠かさない
食事と運動
食事は、柔らかく煮た野菜や、おかゆ、トロみをつけた料理など消化のよいものを少量ずつとりましょう。運動は軽い散歩やストレッチから始め、食後すぐの激しい運動は避けてください。管理栄養士に相談するのもおすすめです。
精神的健康と心の健康
胃の症状が続くと、食事が楽しくなくなり、人との付き合いや外出を避けたくなることもあります。不安や悲しみを感じるのは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や医師、看護師に気持ちを話してください。つらい気持ちが強く続き、自分を傷つけたいと感じたときは、ためらわずに119番へ連絡してください。
予防
胃不全麻痺を完全に予防することはできませんが、糖尿病の方は血糖値をしっかりコントロールすることでリスクを下げられる可能性があります。また、規則正しい生活とバランスのよい食事は、胃の健康に役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 栄養不良や脱水
- 重度の体重減少
- 胃の中に食物が長くとどまることで起こる胃石
- 食道や胃の粘膜の炎症
- 生活の質の低下
長期的な見通し
胃不全麻痺は長く付き合う病気ですが、食事の工夫や治療を続けることで多くの人が症状を管理し、日常生活を送れています。希望を持って、できることから少しずつ始めましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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