ストーマとともに生きる:回腸ストーマ(イレオストミー)のある生活
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
回腸ストーマ(イレオストミー)とは、手術で作られた人工の排泄口です。大腸や直腸を切除したときに、小腸(回腸)の一部を腹壁に引き出して、便が袋に出るようにします。袋は皮膚に装着し、便をためます。
重要な事実
- 人工的に作られた排泄口ですが、安心して生活できる方法があります。
- 排便はコントロールできないため、専用の袋(パウチ)を装着します。
- 適切なケアで、仕事や旅行、運動など、多くの社会生活が可能です。
日本では炎症性腸疾患や大腸がんの手術に伴い、ストーマを持つ人は少なくありません。正確な数は公表されていませんが、全国に数万人のストーマ保有者がいると考えられています。
潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんなどの手術を受けた人が多く、成人でも子どもでも、どの年齢でもかかる可能性があります。
症状
- 強い腹痛が続く
- 吐き続ける
- 便(ストーマからの便)が6~8時間出ず、嘔吐や膨満がある
- ストーマから大量の出血がある
- 意識がぼんやりする、ぐったりする
- ⚠ストーマの色が黒っぽい、紫色になる
- ⚠ストーマが急に長く出てくる、変な形になる
- ⚠周囲に痛みや熱がある
- ⚠下痢や高排出で水分がとれない
一般的な症状
- ストーマ周囲の皮膚が赤くなる、ただれる(皮膚炎)
- 便が出すぎる(高排出)
- 便がまったく出ない(腸閉塞の可能性)
- 袋がもれたり、臭いが気になる
- 腹部の張り、痛み
- ストーマの変色(赤黒くなる)
子供の症状
- 脱水や体重増加不良(便で水分が失われすぎる)
- 皮膚トラブル(おむつかぶれと似た変化)
- ストーマの引き出し(脱出)
高齢者の症状
- 皮膚がもろくなり傷つきやすい
- 脱水による頭痛やぼんやり感
- 高排出による強い脱水
原因
主な原因
- 大腸がんなどの手術で大腸や直腸を切除したとき
- 潰瘍性大腸炎やクローン病で大腸を切除したとき
- 事故やけがで腸を損傷したとき
- 腸閉塞や腸の血流障害で切除が必要になったとき
- 先天性の腸の病気
リスク要因
- 大腸がんの診断
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 腹部の放射線治療
- 家族歴(遺伝性の大腸がん)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強い腹痛がある
- 吐き続ける
- 便が出ないのに腹部が張る
- ストーマの色が濃くなった、黒っぽい
- ストーマから出血が続く
定期受診を予約すべき場合:
- ストーマ外来や看護師のフォローアップ
- 半年に一度、定期検査
- 血液検査で栄養状態や脱水を確認
診断
回腸ストーマの状態は、医師や看護師(ストーマ外来・WOC看護師)が目で見て確認します。また、周囲の皮膚の状態、便の量や性状、血液検査などで、からだ全体の脱水や栄養状態を評価します。
行われる可能性のある検査
- ストーマと周囲の皮膚の観察
- 血液検査(脱水・感染・栄養)
- 便の培養検査(感染性腸炎がある場合)
- 画像検査(腸閉塞が疑われる場合)
診察で予想されること
診察では、ストーマの色や形、周囲の皮膚、パウチの装着状態をチェックします。痛みはありません。必要に応じて、ケアの仕方や装具の選び方を一緒に調整します。
治療
回腸ストーマの治療といっても、ストーマ自体を治す治療ではなく、ストーマを清潔に保ち、合併症を防ぎ、快適に過ごすためのケアが中心です。適切な装具(パウチ)とスキンケア、食事、水分、必要に応じて内服薬で調整します。
自宅でのセルフケア
- パウチは便の量に合わせてこまめに交換する
- ストーマ周囲の皮膚を水でやさしく洗い、乾燥させる
- 専用のスキンケア用品(皮膚保護剤など)を使う
- 便が多いときは脱水を防ぐためにこまめに水分をとる
- 規則正しい食生活と軽い運動で腸の調子を整える
医療治療
医師は、便を固める薬や下痢を抑える薬、腸の動きを整える薬を症状に応じて処方することがありますが、具体的な薬の名前や用法はこの記事では説明しません。かかりつけの医療機関で相談してください。また、皮膚トラブルには専用のクリームやパウダーが使用されることがあります。
手術が検討される場合
ストーマを閉鎖し、腸を元に戻す手術(閉鎖術)が可能な場合があります。ただし、病状や残った腸の状態によって可否が変わるため、担当医と十分に話し合う必要があります。
この病気と共に生きる
普段の生活では、入浴や旅行、仕事の多くが可能です。外出の際は予備のパウチや着替えを持ち歩くと安心です。温泉やプールは肌を保護する工夫をすれば利用できます。ストーマがあることで生活が大きく制限されることはほとんどありません。
生活習慣のアドバイス
- 入浴やシャワーはパウチを外して浴びても、着けたまま浴びても大丈夫です(医師や看護師の指示に従って)。
- 衣類はゆったりしたものが快適です。
- 旅行では予備の装具とケア用品を忘れずに。
- 就労や復学は症状が安定している場合、可能です。
- パウチの交換は静かな場所で行うと落ち着きます。
食事と運動
食事はよく噛んで、ゆっくり食べましょう。特に手術直後は、硬い繊維や種子は便や腸を詰まらせることがあります。水分を十分に取り、腸閉塞の症状(腹痛や便が出ない)が出たときは食事を中止して早めに医療機関へ。運動はウォーキングや軽いスポーツから始め、腹筋に強い負担をかける運動は医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
見た目や生活の変化に戸惑うこともあるかもしれません。つらい気持ちや眠れない日が続く場合は、ひとりで抱えず、医療者や相談機関に話してください。命が危険だと感じるほどつらい気持ちが強い場合は、すぐに119番や地域の精神保健の相談窓口に連絡してください。
予防
回腸ストーマが必要になる病気(大腸がんや炎症性腸疾患など)の完全な予防は難しいですが、生活習慣の改善や定期的な検診(がん検診)でリスクを減らせるものもあります。すでにストーマがある場合は、適切なケアと定期受診で合併症を予防できます。
合併症
治療しない場合
- 腸閉塞(便の停滞による捻転や閉塞)
- 重度の脱水と電解質異常
- 皮膚感染症とストーマ周囲の潰瘍
- ストーマ脱出やヘルニア(傍ストーマヘルニア)
長期的な見通し
回腸ストーマは、多くの人が十分に受け入れられ、通常の生活を送ることができます。最初のうちは慣れないこともありますが、適切なケアとサポートにより、仕事や旅行、趣味などを楽しむことが可能です。つらいときは専門家に相談しながら、自分に合った管理法を見つけていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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