免疫不全症(CVID)とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
CVID(分類不能型免疫不全症)は、体を守る免疫の働きが弱くなる病気です。特に、細菌やウイルスから体を守る「抗体」というタンパク質が十分に作られず、感染症にかかりやすくなります。この病気は「原発性免疫不全症」のひとつで、生まれつき免疫の仕組みに問題があると考えられています。
重要な事実
- 感染症を繰り返し起こしやすい病気です。
- 抗体を作る力が十分でないため、予防接種の効果が出にくいことがあります。
- 診断は血液検査で行い、定期的な治療と生活管理で多くの人が安心して生活できます。
まれな病気で、およそ2万5千人から5万人に1人の割合で見られます。
子どもから大人までどの年齢でも診断されることがありますが、特に20代から40代で見つかることが多いです。男女どちらにも起こりえます。
症状
- 呼吸が苦しい、ゼーゼーする、息ができない
- 胸の強い痛みが続く
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
- 熱が高く、首が硬い、強い頭痛がある(髄膜炎の可能性)
- ⚠高い熱が続く、悪寒がする
- ⚠咳がひどい、たんに血が混じる
- ⚠激しい下痢やおう吐で水分が取れない
- ⚠のどや顔が腫れる
- ⚠普段と違ってぐったりしている
一般的な症状
- 繰り返す副鼻腔炎(ちくのう症)や中耳炎、気管支炎などの感染症
- 肺炎などの呼吸器感染症
- 体のだるさ、疲れやすさ
- 下痢や腹痛など胃腸の不調
- リンパ節が腫れることがある
- 関節の痛みや炎症を起こすことがある
子供の症状
- 子どもでは、耳や副鼻腔、肺の感染症を頻繁に起こすことが多いです。
- 成長や発育がゆっくりになることがあります。
- 感染症を繰り返すことで、保育園や学校を休むこともあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、感染症の症状がはっきりしないこともあり、元気がない、食欲がないといったかたちで現れることがあります。
- ほかの持病と症状が重なるため、見逃されやすいことがあります。
- 免疫力の低下により、肺炎などが重症化するリスクがあります。
原因
主な原因
- 正確な原因は分かっていませんが、免疫システムの指令に異常が生じて、抗体が作られないと考えられています。
- 一部の患者さんでは、遺伝子の変化が見つかりますが、多くは原因不明です。
- 環境要因や他の病気との関連も研究されています。
リスク要因
- 家族に免疫不全症の人がいる場合
- 自己免疫疾患(自分の体を攻めてしまう病気)を複数持っている場合
- 免疫システムに関係する遺伝子の変化を持っている場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く、呼吸が苦しい、胸の痛みがあるなど、重い感染症の症状があるときは、すぐに医療機関を受診してください。
- 意識の変化やけいれんがある場合は、救急車(119番)を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 感染症を1年に何回も繰り返す場合(例:副鼻腔炎を年に3回以上など)
- 感染症が治りにくい、いつまでもだるさが続く場合
- 感染症のたびに点滴や入院が必要な場合
- 家族に免疫不全症の人がいる場合
診断
診断は、血液検査で免疫グロブリン(抗体)の量を調べることから始まります。抗体の値が低く、ワクチンに対する反応が弱い場合などに、この病気の可能性を考えます。ほかの原因を除外するために、詳しい検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(免疫グロブリンIgG、IgA、IgMの測定)
- ワクチン接種後に抗体ができるかどうかを確認する検査
- 血液中の免疫細胞(リンパ球)の数を調べる検査
- 必要に応じて、遺伝子検査や画像検査(胸部CTなど)
診察で予想されること
診断は免疫学を専門とする医師(免疫専門医)が行うことが多いです。問診で感染症の頻度や家族歴を詳しく聞き、そのうえで血液検査をします。診断までに時間がかかることもありますが、無理せず段ふみに進めていきます。
治療
CVIDを完全に治す方法はまだありませんが、感染症を予防し、かかっても重症化しないようにする治療が中心になります。多くの人が定期的な治療を受けながら、安心して日常生活を送っています。
自宅でのセルフケア
- 手洗い、うがいをこまめにする
- 人混みや感染症が流行している場所を避ける
- 十分な睡眠とバランスのよい食事をとる
- 体調が悪いときは無理をせず休む
- かかりつけ医と感染症の予防について相談する
医療治療
治療の中心は、免疫グロブリン補充療法です。これは、健康な人から集められた抗体を定期的に体内へ補う治療で、点滴または皮下注入という方法で行います。感染症にかかった場合は、細菌の種類に合わせて抗菌薬が使われます。また、他の合併症や自己免疫疾患がある場合は、それぞれに応じた治療が行われます。治療の内容は患者さんごとに異なりますので、主治医とよく相談しながら決めていきます。
手術が検討される場合
手術が必要になることは一般的ではありませんが、反復する副鼻腔炎のために内視鏡手術が必要になる場合や、リンパ節の腫れに対して生検(組織を取って調べること)が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
毎日の生活の中で、感染症を予防することがいちばん大切です。疲れやすいことも多いので、自分の体調に合わせて計画を立て、休む時間も確保しましょう。仕事や学校については、周りに伝えるかどうかも含めて、無理のない方法を考えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 喫煙を避ける(タバコは肺の感染症のリスクを高めます)
- アルコールはほどほどにする
- 定期的に軽い運動をする
- ストレスをため込まないようにする
- 感染症が流行る季節は特に注意する
食事と運動
栄養バランスのよい食事を心がけ、加熱が不十分な生ものやナッツ類など食中毒のリスクがある食品は避けましょう。運動は、ウォーキングや軽いストレッチなど無理のない範囲で行うのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
長く付き合う病気なので、不安や落ち込みを感じることがあります。それも自然なことです。気分がつらいときは、医療者や家族、友人に話すだけでも楽になることがあります。必要に応じて、心のケアの専門家(カウンセラーや心療内科医)に相談できることも覚えておいてください。
予防
CVID自体は遺伝子や免疫の問題が原因で起こるため、予防することはできません。しかし、感染症を予防し、合併症を防ぐことは可能です。
ワクチン
ワクチン(予防接種)は感染症を防ぐのに役立ちますが、CVIDの場合は、すべてのワクチンが安全または効果があるわけではありません。特に生ワクチン(弱った病原体を使うワクチン)は接種できないことがあるため、必ず主治医と相談してください。
検診プログラム
症状がある場合を除き、一般の人を対象にしたCVIDの定期的なスクリーニング検査はありません。家族に免疫不全症の人がいる場合は、医療機関で相談することができます。
合併症
治療しない場合
- 感染症を繰り返すことで、肺に慢性的なダメージが残ることがあります(気管支拡張症など)。
- 消化管の炎症や吸収不良が起こることがあります。
- 自己免疫疾患(免疫の働きが自分自身を攻めてしまう病気)を合併することがあります。
- がん(特にリンパ腫)のリスクがやや高くなることがあります。
長期的な見通し
こうした合併症は、適切な治療を続けることで防ぎやすくなります。定期的な通院と感染予防を続ければ、多くの人は仕事や学業、家庭生活を無理なく続けられます。新しい治療法も研究されており、希望を持って病気と向き合うことが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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