骨形成不全症とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
骨形成不全症(こつけいせいふぜんしょう)は、骨がもろく、折れやすくなる遺伝性の病気です。骨を強くするたんぱく質(コラーゲン)が体の中で正しく作られないために起こります。別名「もろい骨の病気」とも呼ばれます。
重要な事実
- 骨は何もしなくても折れることがありますが、多くの場合、軽い衝撃や転倒で折れます。
- 重症度は人によって大きく異なります。
- 根本的な治療法はまだありませんが、適切な管理で骨折を減らし、生活の質を高められます。
まれな病気で、約1万人から2万人に1人程度の割合で見られます。
すべての年齢、性別、人種で起こりえます。多くの場合は子ども時代に診断されますが、軽い症状の場合は大人になってから診断されることもあります。
症状
- 転んだ後、激しい痛みやけがで動けない場合
- 強い息苦しさや呼吸ができない場合
- 頭を強く打った後、吐いたり、ぼんやりしたり、意識がおかしい場合
- 骨が折れて、骨が皮膚を突き破っている(開放骨折)場合
- ⚠新しい骨折や激しい痛みがある場合(救急外来ではなくても、すぐに整形外科へ連絡)
- ⚠腕や足が変形してきた、または腫れてきた場合
- ⚠発熱とともに痛みや赤みが広がる場合
一般的な症状
- 軽い力で骨が折れる(何度も骨折する)
- 骨や関節の痛み
- 骨の変形(骨が曲がってしまう)
- 関節が柔らかく、ゆるい(靭帯がゆるい)
- 白目が青っぽく見える
- 大人になってからの難聴
- 身長が低い
子供の症状
- 生まれて初めての骨折が、おむつ替えや抱っこなど日常的な場面で起こる
- 頭の骨が柔らかい
- 歯がもろい、または欠けやすい
- 筋肉の力が弱い
- 骨の変形のために手足が曲がって見える
高齢者の症状
- 難聴(特に中年以降に目立つことが多い)
- 骨折を繰り返して骨が変形する
- 関節炎(関節の炎症や痛み)
- 背骨の曲がり(脊柱側弯症など)
- 肺の機能が低下することがある
原因
主な原因
- 体の中のコラーゲンを作る遺伝子(COL1A1やCOL1A2)に変化があると、骨の強さが十分に保てなくなります。
- この遺伝子の変化は、親から引き継がれることが多いですが、突然変異として新しく起こることもあります。
リスク要因
- 家族(親や兄弟姉妹)に骨形成不全症の人がいる場合
- 両親の片方が骨形成不全症の場合(遺伝の可能性が高まります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に激しい痛みが始まった
- 骨折が疑われる(腫れ、変形、動かせないなど)
- 呼吸が苦しい、胸が痛む
- 頭を打って、意識がぼんやりする、吐く、けいれんがある
定期受診を予約すべき場合:
- あまり衝撃を受けていないのに、骨が折れやすい
- 子どものころから骨折を何度も繰り返している
- 聴力が低下してきた、耳が聞こえにくい
- 原因のわからない骨や関節の痛みが続く
診断
骨形成不全症の診断は、主に症状の経過や診察を基に行われます。頻繁な骨折歴や骨の変形、家族の歴史などが手がかりになります。遺伝子検査で診断を確認することもできます。
行われる可能性のある検査
- 骨密度測定(骨の強さを調べる検査)
- 遺伝子血液検査(コラーゲンに関わる遺伝子の変化を調べる)
- レントゲン(X線)検査(骨の変形や古い骨折のようすを見る)
- 聴力検査(聴こえの状態を確認)
- 歯科検診(歯の状態を確認)
診察で予想されること
もし骨形成不全症の可能性があるなら、まずは整形外科を受診してください。医師が必要な検査を案内し、遺伝カウンセリングや専門のセンターを紹介してもらえます。
治療
現在、骨形成不全症そのものを治す治療法はまだありません。骨折をできるだけ防ぎ、痛みを和らげ、体の動きを保つことが主な目標です。治療は医師と相談しながら、自分の症状や生活に合わせて進めます。
自宅でのセルフケア
- 家庭内での転倒を防ぐ(バスマット、手すり、段差の解消)
- 重い物を持ち上げない、無理な姿勢をとらない
- 適切な傘や歩行器、車いすなどを生活に取り入れる
- 骨折したときの基本(動かさず、冷やし、医療機関へ行く)を覚えておく
医療治療
薬物療法では、骨密度を高めることで骨をもろくしない薬が使われることがあります。どの薬が適しているかは医師が判断します。理学療法や作業療法で体の使い方や筋力を保つ訓練も大切です。手術は、骨に金属の棒(髄内釘)を入れて、折れにくくしたり変形を矯正したりする場合があります。どの治療が適しているかは、年齢や症状によって異なります。
手術が検討される場合
骨折を何度も繰り返す場合や、骨の変形で日常生活に支障が出る場合に、手術がすすめられることがあります。特に長い骨(太ももやすね)に髄内釘を入れる手術は、骨を支えて変形を防ぐ効果があります。手術を受けるかどうかは、整形外科医と十分に相談して決めます。
この病気と共に生きる
骨形成不全症があると、ちょっとした動作が骨折につながることもあります。しかし、工夫次第で日常生活のほとんどを自分らしく過ごすことができます。住まいの環境を整え、無理のない範囲で体を動かし、周囲のサポートを活用しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 水泳やゆっくり歩くなど、骨に負担が少ない運動を取り入れる
- 転倒しにくいよう、靴や床に注意する
- 骨の健康のために、たんぱく質・カルシウム・ビタミンDを含む食事を心がける
- たばこは避け、お酒はほどほどにする
- 十分な睡眠をとり、疲れをためない
食事と運動
骨の材料となるカルシウムやビタミンDは意識してとりましょう。サプリメントを使う前に、医師や薬剤師に相談してください。運動は、理学療法士の指導のもとで行うのが安全です。特に、筋力とバランスを鍛える運動は転倒予防に役立ちます。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや骨折の不安、人と違う見た目など、心に負担を感じることもあるでしょう。そのような気持ちは自然なことです。ひとりで抱え込まず、家族や友人、または心の専門家(カウンセラー)に話してみてください。
予防
骨形成不全症は生まれつきの遺伝子の変化によって起こるため、発症そのものを防ぐ方法はありません。しかし、治療をきちんと受けて生活の中で骨折を避ける工夫をすることで、骨折による影響や合併症をかなり減らすことができます。家族に骨形成不全症の人がいる場合、遺伝カウンセリングを受けることも検討しましょう。
ワクチン
骨形成不全症と関係なく、一般的にすすめられている感染症の予防接種(インフルエンザや肺炎球菌など)は受けておきましょう。ワクチン接種についても、主治医と相談してください。
検診プログラム
新生児や幼少期に骨形成不全症の症状がみられれば、早期に検査が行われます。家族の病歴から妊娠前に遺伝子検査を受けることも可能です(遺伝カウンセリングが必要です)。
合併症
治療しない場合
- 骨折を繰り返すことで、骨の変形や短縮が進むことがあります
- 慢性的な痛みのため、動きたくなくなって筋力が低下することがあります
- 難聴や呼吸障害、歯の問題があらわれることがあります
- 心身のストレスが増し、うつ状態になることがあります
長期的な見通し
骨形成不全症を抱えていても、多くの人は、障害や症状に合わせた工夫をしながら学校や仕事に通い、結婚し、充実した人生を送っています。医学が進歩し、薬物療法やリハビリテーション、手術の技術も年々向上しています。希望を持って、医療者と一緒にじっくり向き合っていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。