緩和ケアと生きるために:いつ相談すればいい?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
緩和ケアとは、命に関わる病気がある方を対象に、体の痛みやつらい症状をやわらげ、その方が自分らしく生活することを支えるケアです。がんをはじめ、心不全、呼吸器の病気、神経の病気など、どんな病気でも受けることができます。「治すための治療」と無理なく組み合わせて、病気の早い時期から始めることがすすめられています。
重要な事実
- 緩和ケアは終末期(人生の最期)だけのものではなく、診断の時点から始められます。
- 痛み・吐き気・だるさ・不眠・気持ちの不安など、さまざまな症状をチームでケアします。
- 自分で「これ以上つらい」と感じることが、緩和ケアの相談のサインです。
- ご家族の不安や介護の負担についても、一緒にサポートを受けることができます。
現在、日本では高齢化に伴い、緩和ケアを利用する方は年々増えています。厚生労働省も、緩和ケアを病気の早期から受けられる体制作りをすすめています。
年齢や病気の種類を問わず、つらい症状があり、生活の質を大切にしたいと思うすべての方と、そのご家族が対象になります。子どもから高齢の方まで、だれでも相談できます。
症状
- 突然の激しい痛みがある
- 息ができず、息苦しさが急に悪化した
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応がない
- 胸の強い痛みや圧迫感がある
- 大量の出血や吐血がある
- ⚠痛みがこれまでと同じ薬では和らがない
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠息苦しさが普段より強くなった
- ⚠おう吐が続いて水分がとれない
- ⚠ひどくだるく、横になっていてもつらい
一般的な症状
- 痛みが強くて日常生活に影響がある
- 吐き気や食欲不振で食事がとれない
- 息苦しさが続く
- 眠れず、夜を過ごすのがつらい
- 気持ちが落ち込み、不安や恐怖を感じる
子供の症状
- 痛みやつらさを言葉で伝えられず、不機嫌になったり、ぐずったりする
- 食欲が落ち、遊びやおしゃべりが減る
- 夜泣きや寝つきの悪さが続く
高齢者の症状
- 体の痛みやだるさが長く続く
- 眠りが浅くなり、昼夜のリズムがくずれる
- 物忘れや混乱がみられる
- 飲み込みが悪くなり、食事量が減る
原因
主な原因
- がん、心不全、慢性の呼吸器疾患、腎臓病、神経の難病など、治癒を目指す治療を行っても回復が難しい病気を抱えたとき
- 病気そのものよりも、病気にともなう痛み、吐き気、だるさ、不安などの症状が強く現れたとき
リスク要因
- 高齢である
- 複数の慢性疾患をもっている
- 治療が長期間におよぶ
- 家族や周囲の支えが少ない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強い痛みが続き、じっとしていられない
- 息苦しさが増して、横になれない
- 食事や水分がまったくとれない
- 眠れない日が続いている
定期受診を予約すべき場合:
- お薬の副作用に困っている
- 気持ちの不安や将来のことが気になっている
- 在宅でどのように過ごせばよいか知りたい
- 診断を受けた時点で、治療と並行して緩和ケアについて相談したい
診断
緩和ケアに特別な「診断」はありません。医師や看護師、薬剤師などのチームが、あなたの症状や生活の様子、大切にしたいことをお聞きして、ケアの計画を立てます。
行われる可能性のある検査
- 症状の原因を調べるための血液検査や画像検査
- 痛みの程度を評価する質問票
- 日常生活の困難さを把握する面談
診察で予想されること
最初は担当医か緩和ケアチームとの面談から始めます。あなたのペースで話すことができ、必要なケアは、お薬による症状の緩和、リハビリテーション、心理的なサポート、生活の相談などの中から選んでいきます。
治療
治療の目標は、病気を治すことではなく、あなたの「つらさ」を和らげて、その人らしい毎日を送れるようにすることです。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、心理士、医療ソーシャルワーカーなどのチームで支えます。
自宅でのセルフケア
- リラックスできる呼吸法や音楽、アロマなど、自分に合う方法を試す
- 日記やメモに気持ちを書き出して整理する
- 無理のない範囲で、好きなことや会いたい人と過ごす時間をつくる
- 家族や友人に手伝ってほしいことを正直に伝える
医療治療
痛みには、痛みの程度に応じて鎮痛薬の種類や使い方を段階的に調整します。吐き気、息苦しさ、不眠、不安など、各症状をやわらげる薬も症状に合わせて選びます。また、放射線療法や手術で症状を和らげることもあります。薬は必ず処方された通りに使い、調子が悪いときは一人で判断せず医療者に相談してください。
手術が検討される場合
症状を和らげるための手術(たとえば、痛みを伝える神経のブロックや、腸閉塞を改善する手術など)が検討されることもあります。体への負担と効果をよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
緩和ケアは入院中だけでなく、在宅でも受けることができます。自宅での暮らし方、訪問診療や訪問看護、通院の頻度などを、そのときの状況に合わせて調整しましょう。自分に合ったペースで過ごすことが、生活の質を高めるのに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとり、昼夜のリズムを保つ
- 体を動かせる時は、軽いストレッチや散歩など無理のない運動をする
- 気分がすぐれない日は無理をせず休む
- 喫煙している場合は、肺や心臓への負担を減らすために禁煙を考え、医療者に相談する
食事と運動
食欲がないときは、無理にたくさん食べようとせず、のどごしのよいものや好きなものを、食べられるときに少しずつ食べましょう。栄養士に相談すると、その人に合った食事の工夫を教えてもらえます。運動は、体力を維持するために軽いストレッチや散歩程度を目標に。息苦しさがあるときは医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
つらい症状や不安から気分が落ち込んだり、眠れなくなったりすることは自然なことです。家族も同じようなストレスを抱えます。気持ちを言葉にできず孤独を感じたら、心理士や医療ソーシャルワーカーなど、話を聞いてくれる専門家に相談してください。また、悩みが深く、つらい気持ちが続く場合は、一人で抱え込まずに、地域の相談機関やこころの専門外来を利用しましょう。
予防
緩和ケアそのものを予防することはできませんが、早い時期から緩和ケアを取り入れることで、強い痛みや吐き気などのつらい症状を防ぎ、入院の回数や期間を減らせる可能性があります。
ワクチン
緩和ケアそのものに特別な予防接種はありません。ただし、体調を守るために、インフルエンザや肺炎などの予防接種については医師と相談して受けることをおすすめします。
検診プログラム
緩和ケアの必要性を判断するための特別な検診はありません。気になる症状があれば、我慢せずに医療機関で相談してください。
合併症
治療しない場合
- 痛みや症状が長く続くと、体力が落ち、気分がふさぎ込みやすくなる
- 家族の介護負担が大きくなり、人間関係がぎくしゃくすることがある
- つらさのために、本来の治療に集中できなくなる
長期的な見通し
緩和ケアを受けることで、多くの方が症状のつらさから解放され、残された時間をより穏やかに、そして自分らしく過ごせると言われています。家族もサポートを受けることで、安心して寄り添うことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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