ウィルソン病とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ウィルソン病は、体の中の銅をうまく排出できないために、銅が肝臓や脳などにたまってしまう、まれな遺伝性の病気です。早期に見つけて治療すれば、症状を抑えて日常生活を送ることができます。
重要な事実
- 遺伝性の病気で、両親からそれぞれ原因となる遺伝子を受け継ぐことで発症します。
- 体内の銅が肝臓、脳、目、腎臓などにたまることで、さまざまな症状が現れます。
- 治療は一生続ける必要がありますが、早く始めれば始めるほど健康を守りやすくなります。
まれな病気で、およそ3万人に1人くらいの割合で発症すると考えられています。
子どもから大人までどの年齢でも発症する可能性がありますが、多くは5歳から35歳の間に症状が現れます。
症状
- 突然、意識がもうろうとする
- 血を吐く
- 便が真っ黒になる
- 激しい腹痛がある
- 息が苦しくなる
- ⚠黄疸が急に強くなる
- ⚠おなかの張りがどんどんひどくなる
- ⚠高熱が続く
- ⚠手や足のふるえが急に悪化する
- ⚠言葉がうまく話せなくなる
一般的な症状
- 疲れやすい、全身のだるさが続く
- 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
- おなかが張る、足やおなかにむくみが出る
- 手や足がふるえる
- 話しにくい、飲み込みにくい
- 気分の落ち込みやイライラが続く
子供の症状
- 食欲がない、体重が増えない
- 黄疸やおなかの張りなど、肝臓の症状が出やすい
- 学校で集中できない、成績が落ちるなどの変化がみられることもある
高齢者の症状
- 手のふるえや歩きにくさ、動作のぎこちなさといった神経の症状が目立ちやすい
- 物忘れや判断力の低下のように見えることもある
- 気分の落ち込みや不安が強くなることがある
原因
主な原因
- 銅の代謝に関わる遺伝子の変化が原因です。
- この病気は常染色体潜性(劣性)遺伝という形で受け継がれます。つまり、両親がそれぞれ原因遺伝子を持っている場合に発症します。
リスク要因
- 家族(特に兄弟姉妹)にウィルソン病の人がいる
- 両親が近い血縁関係にある(いとこ同士など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 黄疸が続く、または悪化する
- おなかが張って痛む
- 手や足のふるえが気になる
- 言葉がもつれる、飲み込みにくい
定期受診を予約すべき場合:
- 何となく体調がすぐれない日が続く
- 疲れやすさやだるさが改善しない
- 家族にウィルソン病の人がいる
診断
ウィルソン病の診断では、血液や尿の検査、目の検査を行い、銅の代謝に異常がないかを調べます。必要に応じて肝臓の組織を調べる検査や遺伝子検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(銅の量やセルロプラスミンというたんぱく質の値を調べます)
- 尿検査(24時間の尿に含まれる銅の量を調べます)
- 眼科での目の検査(角膜に銅がたまるかどうかを調べます)
- 肝臓の超音波検査や画像検査
- 肝生検(肝臓の組織を針で少し取り出して調べる検査)
- 遺伝子検査
診察で予想されること
まずは問診と簡単な採血・採尿から始まります。検査の負担は少なく、結果は数日から数週間でわかります。医師が症状や家族歴をふまえて、必要な検査を順番にすすめていきます。
治療
治療の基本は、体にたまった銅を減らし、これ以上たまらないようにすることです。薬物治療を中心に、食事の調整や定期的な通院を続けます。治療は一生途切らせないことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 毎日決められた時間に薬を飲み忘れない
- 飲酒をしない(肝臓に負担をかけないため)
- 銅を多く含む食品(貝類、レバー、ナッツ類、チョコレートなど)のとりすぎに注意する
- 医師の指示に従って定期的に通院・検査を受ける
- 体調の変化を記録して、気になることは医師に伝える
医療治療
薬物治療が中心になります。体内の銅を尿と一緒に排出する薬や、食事から吸収される銅の量を抑える薬などが使われます。どの薬を選ぶかは、症状や病状に合わせて医師が判断しますので、具体的な薬の名前や用量は主治医にご相談ください。
手術が検討される場合
肝臓の機能が大きく低下して、薬でコントロールできない場合は、肝臓移植が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
毎日の服薬と定期的な検査が治療の中心です。薬を忘れずに飲み、食事や生活習慣に気をつけることで、多くの人が安定した生活を送れます。
生活習慣のアドバイス
- 銅を多く含む食品について理解しておく
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをためず、リラックスする時間をつくる
- 家族や周囲の人に病気のことを伝え、協力を得る
- 気になる症状があれば、我慢せずに主治医へ相談する
食事と運動
バランスの良い食事と、無理のない範囲での運動を心がけましょう。特に、レバー、貝類、ナッツ類、チョコレートなど銅を多く含む食品はとりすぎに注意します。また、飲酒は肝臓に負担をかけるため避けることがすすめられます。
精神的健康と心の健康
長く続く病気と向き合う中で、不安や気分の落ち込みを感じることは自然なことです。つらい気持ちを一人で抱え込まず、主治医や看護師、カウンセラーに相談しましょう。もし強い不安や希死念慮(死にたい気持ち)がある場合は、すぐに救急サービス(119番)や地域の精神保健センターに連絡してください。
予防
遺伝性の病気のため、発症そのものを予防することはできません。しかし、早期発見と早期治療によって、症状の進行を防ぎ、健康を長く保つことができます。家族歴がある場合は、症状がなくても検査を受けることがすすめられます。
ワクチン
肝臓への負担を減らすために、ウイルス性肝炎などの予防接種を検討できるかどうか、医師に相談してみましょう。
検診プログラム
家族にウィルソン病の人がいる場合、兄弟姉妹や子どもも血液検査や尿検査で銅の状態を確認することが重要です。新生児を対象とした一般的なスクリーニングはまだ行われていませんが、家族歴があれば早めに医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 肝硬変(肝臓が硬くなり働きが低下する)
- 肝不全(肝臓の機能が大きく失われる)
- 神経症状(ふるえ、歩行障害、言葉の障害など)
- 精神症状(うつ、情緒不安定、幻覚など)
- 腎障害や骨粗しょう症などの合併症
長期的な見通し
治療をきちんと続ければ、多くの人は症状の進行を抑え、ほぼ普通の生活を送ることができます。早期発見・早期治療がとても大切です。たとえ症状があっても、治療によって大きく改善する可能性があります。あなたは一人ではありません。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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