リンパ腫のあとの生活について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
リンパ腫は、体を守る免疫の働きをする「リンパ球」という細胞ががんになる病気です。リンパ球は血液中だけでなく、首やわきの下、足の付け根などにあるリンパ節や、脾臓(ひぞう)や骨髄の中にもあります。そのため、リンパ腫は体のさまざまな場所にできたり、広がったりすることがあります。最近は治療法が進み、リンパ腫は治る可能性が高いがんの一つです。
重要な事実
- リンパ腫は血液のがんの一種で、リンパ節や脾臓などに腫れが現れることが多い。
- 治療後も定期的なフォローアップが大切で、多くの人が社会復帰して普通の生活を送っています。
- リンパ腫にはいくつかの種類があり、種類によって進行の速さや治療方法が異なります。
リンパ腫は、血液がんの中では比較的多く見られる病気です。日本では年間に数万人が新しく診断されているとされ、決してまれな病気ではありません。
リンパ腫は、こどもからお年寄りまで、どの年代でもかかる可能性があります。ただし、高齢になるほどリスクが高くなり、男性の方が女性よりもやや多いという傾向があります。
症状
- 呼吸が苦しくて息ができない、ゼーゼーする
- 胸の強い痛みや圧迫感
- 突然の意識の混乱、呼びかけに反応しない
- 顔や腕が急に大きく腫れる(大きな血管が圧迫された危険なサイン)
- ⚠リンパ節の腫れが急に大きくなり、痛みや圧迫感がある
- ⚠38℃以上の高熱が続く
- ⚠ひどい頭痛や吐き気が続く
- ⚠出血が止まらない、内出血が急に増える
一般的な症状
- 首、わきの下、足の付け根などのリンパ節が腫れる(痛みがないことが多い)
- 原因がわからない発熱が続く
- 夜に大量の寝汗をかく
- 体重が急に減る
- 疲れやすく、だるさが続く
子供の症状
- おなかが張って痛がる(おなかのリンパ節や脾臓の腫れのため)
- 胸の痛みや息苦しさ
- 原因不明の熱や寝汗が続く
- 感染症を繰り返す
高齢者の症状
- 強い疲労感やだるさ
- 原因不明の発熱や寝汗
- 食欲が落ちて体重が減る
- リンパ節の腫れ(自分では気づきにくいこともある)
原因
主な原因
- はっきりした原因はまだわかっていません。ひとつの原因によるのではなく、遺伝子の変化(突然変異)などが積み重なって起こると考えられています。
- 免疫の働きに異常があると、リンパ球ががん化しやすくなることがあります。
- リンパ腫は人にうつる感染症ではありません。
リスク要因
- 加齢(特に60歳以上)
- 免疫が低下する病気や治療(HIV感染症、臓器移植後、免疫を抑える薬を使っているなど)
- エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)などのウイルス感染
- ヘリコバクター・ピロリ感染(胃のリンパ腫の一部と関連)
- 家族にリンパ腫の人がいる場合(まれではありますが、リスクがやや上がるという報告があります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 首やわきの下、足の付け根のリンパ節が1か月以上腫れている、または急に大きくなっている
- 原因不明の発熱や夜の寝汗が続く
- 体重が半年で5%以上減った
- 数週間続く強い疲労感や呼吸苦がある
定期受診を予約すべき場合:
- 治療後は、担当医が決めたスケジュールで通院する(最初は数か月ごと、その後は年1回など)
- 気になるしこりや症状が出たら、次の受診日を待たずに病院に連絡する
診断
リンパ腫の診断は、腫れたリンパ節を一部または全部取り出して顕微鏡で調べる「リンパ節生検」が最も確実な方法です。その前に、触診、血液検査、画像検査などで体の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(白血球の数やLDH(乳酸脱水素酵素)などの数値を調べる)
- 画像検査(CT、PET-CT、超音波などでリンパ節や臓器の腫れを見る)
- リンパ節生検(がん細胞の有無と種類を確認する)
- 骨髄検査(骨の中にある造血の場にがん細胞が広がっていないかを調べる)
- 心電図や呼吸機能検査(治療前の体の状態を確認するため)
診察で予想されること
診断が決まるまでには、数週間かかることがあります。生検の結果から、リンパ腫の種類と進行期(ステージ)が決まります。結果を待つ間は不安が大きいですが、わからないことは担当医に何度でも質問し、納得して次のステップに進めるようにしてください。
治療
リンパ腫の治療は、種類、進行期、年齢、体全体の状態などを考慮して、血液内科や腫瘍内科の医師が中心となって計画します。治療法の選択肢は増えており、治癒を目指せるリンパ腫が多くなっています。治療方針は医師とよく話し合って決めることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 疲れを感じたら無理をせず、十分に休む
- 食べられる時に好きなものを少しずつでも食べる(栄養が足りないと治療の回復が遅くなります)
- 手洗いやうがいを徹底し、人混みや風邪の人との接触を避ける
- 気になる症状や副作用をメモし、次の診察で医師に伝える
医療治療
主な治療には、抗がん薬を使う化学療法、放射線を当てる放射線療法、体の免疫力を活かす免疫療法、がん細胞の特定の分子を狙う分子標的薬を使う治療があります。また、再発や治療効果が十分でない場合には、造血幹細胞移植(新しい血液細胞を作り出す幹細胞を移植する治療)が検討されることもあります。具体的な治療法は、あなたの状態やリンパ腫の種類によって異なりますので、担当医から説明を受け、一緒に選んでいきましょう。
手術が検討される場合
リンパ腫の治療では、手術は基本的に行われません。手術が使われるのは、診断のための生検(リンパ節を摘出する)や、まれに限られた場所だけの病変を切除する場合などです。
この病気と共に生きる
治療が終わった後も、定期的なフォローアップがとても大切です。再発や治療の後遺症を早期に見つけるために、血液検査や画像検査を受けましょう。後遺症(疲労感、手足のしびれ、感染しやすさなど)が生活に影響している場合は、一人で我慢せず、医療者に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙しましょう。タバコは再発や二次がんのリスクを高める可能性があります。
- お酒は節度を守り、飲みすぎを避けましょう。
- 放射線治療を受けた部分の皮膚は紫外線に敏感になることがあるので、日焼け対策をしましょう。
- 毎日続けられる範囲で、軽い運動やストレッチを取り入れましょう。
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。野菜、果物、たんぱく質をバランスよく取り、塩分や脂肪の取りすぎに注意しましょう。運動は、散歩や軽い体操など、無理のない強度から始め、体調を見ながら継続してください。運動を始める前には、主治医に相談することをおすすめします。
精神的健康と心の健康
治療後も「また再発するのでは」という不安や、体の変化、社会復帰へのプレッシャーなどで、気持ちが落ち込んだり眠れなくなったりすることがあります。これは決して珍しいことではありません。つらい気持ちが続く場合は、医師や看護師、心療内科や精神科の専門家に話すことも大切です。もし「自分を傷つけたい」という気持ちが湧いたときは、がまんせずに、すぐに救急(119)を呼ぶか、信頼できる人に助けを求めてください。
予防
リンパ腫の多くは原因がはっきりしないため、確実な予防法はまだありません。ただし、バランスのよい食事、適度な運動、禁煙、過度な飲酒を控える、感染症予防を心がけることは、がん全体のリスクを下げるために役立つ可能性があります。
ワクチン
リンパ腫そのものを予防するワクチンはありません。ただし、ピロリ菌感染がある場合には除菌治療を行うことで、胃のリンパ腫の一部を予防できることがあります。また、インフルエンザや肺炎などの一般的なワクチンは、免疫力が落ちている時期には医師と相談のうえ接種を検討してください。
検診プログラム
リンパ腫を対象にした決まった集団検診はありません。気になる症状があれば早めに受診することが早期発見につながります。また、治療後は、二次がんの早期発見のために、大腸がん検診や乳がん検診など、一般的ながん検診を定期的に受けることがすすめられています。
合併症
治療しない場合
- リンパ腫が進行すると、正常な血液細胞が作られなくなり、貧血や感染症、出血しやすい状態になる
- 腫れたリンパ節が気道や血管を圧迫し、呼吸困難やむくみを引き起こす
- 骨髄や肝臓、脾臓などの臓器に広がり、全身の機能が低下する
- まれに、ろ胞性リンパ腫などがより進行の速いタイプに変化することがある
長期的な見通し
リンパ腫は、治る可能性が高いがんの一つです。特に、進行が遅いタイプや早期に見つかった場合は、良好な経過が期待できます。治療後もフォローアップを受けながら、多くの方が社会復帰し、充実した生活を送っています。再発した場合でも、次の治療法が用意されていることも少なくありません。どうか希望を持って治療に取り組んでください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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