多発性硬化症(MS)と共に生きる成人の方へ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経に炎症が起き、神経の信号がうまく伝わらなくなる病気です。症状は出たり消えたりしながら、長い時間をかけて進行することがあります。
重要な事実
- 原因ははっきりしていませんが、免疫の異常が関係していると考えられています。
- 症状は人によってさまざまで、見え方、歩き方、感覚などに影響が出ます。
- 完治する治療法はありませんが、症状を抑え、進行を遅らせる治療法があります。
日本では約2万人以上の方がMSと診断されています。決して珍しい病気ではありません。
20~40歳の成人、特に女性に多く見られます。子どもや高齢者にも発症することがあります。
症状
- 急に息苦しくなる
- 意識がもうろうとする
- 激しい頭痛が突然起こる
- けいれん発作が続く(5分以上)
- ⚠急に視力が低下した
- ⚠足が動かなくなり歩けなくなった
- ⚠新しい強い痛みやしびれが現れた
- ⚠高熱が出た
一般的な症状
- 強い疲れやすさ(疲労感)
- 視力のかすみや復視(物が二重に見える)
- 手足のしびれや麻痺
- バランスをとりにくい(ふらつく)
- 排尿や排便のトラブル
- 物忘れや集中力の低下
子供の症状
- 疲れやすく、学校生活に影響が出やすい
- 発熱後に症状が強くなることがある
- けいれん発作を起こすことがある
高齢者の症状
- 歩行障害が目立つようになる
- 認知機能(記憶や判断力)の低下が進みやすい
- 尿漏れなどの排尿障害が増える
原因
主な原因
- 詳しい原因はまだわかっていませんが、自分の免疫が誤って神経を攻撃してしまうことが原因の一つと考えられています。
リスク要因
- 特定のウイルス感染(EBウイルスなど)
- ビタミンDの不足
- 家族にMSの方がいる(遺伝的要因)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
- 症状が急に悪化した場合
- 新しい強い症状が出た場合
定期受診を予約すべき場合:
- 定期的な診察とMRI検査を受けましょう
- 再発のサインを早く見つけるために、主治医と連絡を密にしましょう
診断
診断は、問診(症状の話を聞くこと)と神経学的診察、MRI(磁気共鳴画像)検査、髄液検査などを組み合わせて行います。ほかの病気を除外することも大切です。
行われる可能性のある検査
- MRI検査(脳や脊髄の画像を撮る)
- 髄液検査(背中から針を刺して髄液を採取する)
- 血液検査(ほかの病気を調べる)
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。神経内科の医師が複数の検査結果を総合して判断します。診断が確定するまでは不安かもしれませんが、医師と一緒に進めていきましょう。
治療
治療の主な目的は、再発(症状の悪化)を防ぎ、症状をコントロールして、生活の質を保つことです。
自宅でのセルフケア
- 十分な睡眠と休憩をとる
- ストレスを上手に減らす工夫をする
- 無理のない範囲で体を動かす
- バランスの良い食事を心がける
- 禁煙する
医療治療
再発を予防する免疫調整療法や、症状を和らげる薬があります。治療法は病型や症状に合わせて医師が選択します。治療は長期間にわたることが多いですが、医師と相談しながら続けることが大切です。
手術が検討される場合
MSに対して外科手術は通常行われません。
この病気と共に生きる
疲れやすさが特徴的なので、自分のペースを大切にし、こまめに休憩をとりましょう。暑い環境は症状を悪化させることがあるため、涼しい場所で過ごす工夫も必要です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを整える
- ストレスをためないための趣味やリラックス法を見つける
- 暑さを避ける(エアコンや冷感グッズを活用)
食事と運動
バランスの良い食事をとりましょう。特にビタミンDや魚油(オメガ3脂肪酸)を含む食品が良いとされています。運動は無理のない範囲で、ストレッチやウォーキングなどがおすすめです。
精神的健康と心の健康
病気に対する不安や悲しみ、イライラなどが出ることは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や医療者に相談しましょう。時にうつ病を伴うこともありますので、心のサポートも大切です。
予防
現時点では、MSを確実に予防する方法は確立されていません。しかし、健康的な生活習慣(禁煙、バランスの良い食事、適度な運動)がリスクを減らす可能性があります。
ワクチン
ワクチン接種については、かかりつけ医や神経内科医と相談してください。
検診プログラム
特に集団検診のようなものはありません。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 再発の頻度が増え、症状が重くなる可能性があります
- 障害が蓄積し、歩行や日常生活に支障が出やすくなります
- 認知機能の低下が進むことがあります
長期的な見通し
MSは決して簡単な病気ではありませんが、適切な治療と生活管理により、多くの方が長く活動的な生活を送っています。近年は治療の選択肢も増えており、希望を持って治療に取り組むことが大切です。
サポートを探す
国際機関
- Multiple Sclerosis International Federation (MSIF)
地域の団体
- 日本MS協会 · 日本
相談窓口
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。