多発性硬化症と共に生きる|患者様向けガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄などの神経を覆う「ミエリン」という保護膜が炎症によって傷つき、神経の信号がうまく伝わらなくなる病気です。症状や経過は人によって異なります。
重要な事実
- 原因は完全には解明されていませんが、免疫の異常が関与しています。
- 再発と寛解を繰り返すタイプが多いです。
- 治療により症状のコントロールや進行を遅らせることが可能です。
日本では約2万人(人口10万人あたり約15人)と比較的まれな病気ですが、世界では約280万人の患者さんがいます。
20〜40代の若い女性に多く見られますが、男性や子ども、高齢者でも発症することがあります。
症状
- 突然の視力喪失
- 重度の筋力低下で歩行不能
- 呼吸困難
- 意識障害
- ⚠新しい症状の出現や既存症状の急激な悪化
- ⚠発熱を伴う症状の悪化
一般的な症状
- 視力障害(かすみ、複視)
- しびれや感覚異常
- 筋力低下
- バランス障害
- 排尿障害
- 認知機能の低下
子供の症状
- 子どもでは疲労感や視力障害が目立ちやすいですが、症状が認知機能に影響することがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では進行性の症状が多く、歩行障害や認知機能の低下が顕著になることがあります。
原因
主な原因
- 免疫システムが誤って自分の神経を攻撃することが原因と考えられています。正確な原因は不明ですが、遺伝的要因と環境要因が関与します。
リスク要因
- 北欧系の遺伝的背景
- EBウイルス感染歴
- ビタミンD不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 緊急症状(突然の視力喪失、重度の筋力低下、呼吸困難、意識障害)がみられた場合は直ちに119番に電話してください。
- 新しい症状の出現や既存症状の急激な悪化、発熱を伴う場合はすぐに主治医に連絡するか、救急外来を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 定期的な診察やMRI検査の予約がある場合
- 寛解期でも年に1〜2回の受診を推奨します。
診断
症状や神経学的検査、MRI、髄液検査などをもとに総合的に診断されます。他の病気を除外することも重要です。
行われる可能性のある検査
- MRI(脳や脊髄の病変を確認)
- 誘発電位検査
- 髄液検査(オリゴクローナルバンドの有無)
- 血液検査(他の病気の除外)
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。専門医(神経内科医)による丁寧な診察と検査を受けてください。
治療
治療の目的は、発作(再発)を抑え、症状を和らげ、進行を遅らせることです。自己注射や内服、点滴などの薬物療法(病気修飾薬)が中心です。また、症状に合わせたリハビリテーションも重要です。
自宅でのセルフケア
- 十分な休養
- ストレス管理
- 規則正しい生活
- 感染予防(手洗い等)
- 適度な運動
- バランスの良い食事
医療治療
再発時のステロイド治療、再発予防のための病気修飾薬(自己注射・内服・点滴)、症状に応じた対症療法(痙縮、疲労、排尿障害などに対して)。具体的な薬剤名は医師にご確認ください。
手術が検討される場合
通常、手術は行われませんが、進行した症状に対する深部脳刺激療法などの外科的治療が選択されることは稀にあります。
この病気と共に生きる
疲れやすさを考慮し、ペース配分を工夫しましょう。無理せず休息を取り、症状に合わせた生活環境の調整(手すりの設置など)も役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- ストレスをためない
- 睡眠をしっかり取る
- 適度な運動(水泳やヨガなど)
- 感染予防(ワクチン接種は医師と相談)
食事と運動
バランスの良い食事(特にビタミンDや食物繊維を意識)、無理のない範囲での筋力維持運動やストレッチ。過度な安静は筋肉低下を招くので、医師や理学療法士の指導を受けてください。
精神的健康と心の健康
症状の不安定さや将来への不安からうつ症状や不安を感じることがあります。一人で抱え込まず、医療者や周囲に相談しましょう。必要に応じて心理的サポートも受けられます。
予防
現時点では確立された予防法はありませんが、ビタミンDの摂取や禁煙、感染症予防などがリスクを減らす可能性があります。
ワクチン
一部のワクチンは再発を誘発する可能性があるため、ワクチン接種については主治医と相談してください。インフルエンザワクチンなどは多くの患者さんに推奨されています。
検診プログラム
特にありませんが、症状が出た場合は早期に診断を受けることが重要です。
合併症
治療しない場合
- 再発の頻度が増える
- 障害が蓄積する
- 歩行困難や認知機能低下が進む
- 生活の質が低下する
長期的な見通し
治療法の進歩により、多くの患者さんが症状をコントロールしながら日常生活を送っています。病気の経過は人それぞれですが、希望を持ち、適切な治療とサポートを受けることで長く活動的な生活を続けることが可能です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。