食道静脈瘤とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
食道静脈瘤とは、食道の内側にある静脈がふくらんでこぶのようになった状態です。多くは肝臓の病気が原因で、肝臓に流れる血流が滞り、血管の中の圧力が高まることで起こります。このこぶが破れると大量の出血をすることがあり、注意が必要な病気です。
重要な事実
- 多くは肝硬変という進行した肝臓の病気が原因です。
- 破裂すると命に関わることがあるため、定期的なチェックがとても大切です。
- 出血を防ぐための治療や、日常生活での工夫があります。
肝硬変と診断された方の約半数に食道静脈瘤ができるとされています。日本ではアルコール性肝障害やウイルス性肝炎が肝硬変の主な原因です。
肝硬変など進行した肝臓の病気がある方に多く見られます。男性にやや多い傾向がありますが、女性でも発症する可能性があります。
症状
- 血を吐いた
- 黒色便(タール便)が出た
- 立ちくらみや強いふらつきがある
- 意識がもうろうとする
- ⚠吐き気や嘔吐が続く
- ⚠食欲がなくなり体重が減る
- ⚠お腹の張りが強い
- ⚠顔色が悪く、疲れやすい
一般的な症状
- 食道静脈瘤自体は、破れるまで自覚症状が出ないことがほとんどです。
- 出血が始まると、吐血(血を吐くこと)や黒色便(タール便)が現れます。
- 貧血によるめまい・動悸・息切れが起こることがあります。
子供の症状
- 子どもでは、肝臓の先天異常や代謝性疾患が原因となることがあります。
- 出血すると、大人と同じように吐血や黒色便が見られますが、子どもは症状をうまく伝えられないこともあるため、保護者の注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者は肝臓の機能が低下していることが多く、出血すると貧血や血圧低下による転倒のリスクが高まります。
- 持病の薬との相互作用や飲み込みの衰えにも注意が必要です。
原因
主な原因
- 肝硬変などで肝臓内の血流が滞り、門脈(消化管から肝臓へ向かう血管)の圧力が高くなること
- アルコールの飲みすぎによる肝障害
- ウイルス性肝炎(B型・C型)の進行
- 脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
リスク要因
- 肝硬変の診断を受けている
- 長期間にわたる飲酒歴がある
- ウイルス性肝炎に感染している
- 肥満・糖尿病など代謝性疾患がある
- 高齢である
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 吐血・下血がある場合は、迷わず救急車(119番)を呼んでください。
- 嘔吐が続いたり、ふらつきが強い場合もすぐに受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 肝硬変と診断されている方は、症状がなくても定期的に内視鏡検査を受けましょう。
- かかりつけ医に、食道静脈瘤の有無を確認してもらいましょう。
診断
内視鏡(胃カメラ)で食道の内側を直接観察し、静脈瘤の大きさや出血のリスクを評価します。あわせて、肝臓の状態を調べる血液検査や画像検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 上部消化管内視鏡(胃カメラ)
- 血液検査(肝機能・血小板数・凝固能など)
- 腹部超音波検査(エコー)
- CT(コンピュータ断層撮影)
診察で予想されること
内視鏡検査は、のどに局所麻酔をして行うため、強い痛みはほとんどありません。検査前は食事や水分が制限されます。検査後は、医師から結果と今後の方針について説明があります。
治療
治療の目的は、静脈瘤からの出血を防ぐことです。出血のリスクが高い場合は、内視鏡を使って静脈瘤を縛ったり、薬を注射して固める治療などがあります。また、薬で血流や血管にかかる圧力を下げる方法も選択されます。医師が状態に合わせて計画を立てます。
自宅でのセルフケア
- アルコールを控え、できれば断酒する
- 固いものや熱すぎるもの、刺激の強いものを避ける
- 便秘にならないよう、飲み物と食物繊維を適度に摂る
- 市販の鎮痛薬やサプリメントを自己判断で使わない
- かかりつけ医に伝えずに他の病院を受診しない
医療治療
出血を防ぐために、血管の圧力を下げる内服薬が使われることがあります。また、内視鏡で静脈瘤をゴムで縛る方法や、薬を注射して固める方法があります。状態によっては、X線を使いながら細い管を血管に入れて血流を変える治療も選択されます。具体的な治療法は、専門医が個々の状態に合わせて決定します。
手術が検討される場合
内視鏡や血管内治療で効果が不十分な場合や、出血を繰り返す場合は、外科手術が検討されることがあります。肝臓の機能が大きく低下した場合には、肝移植の適応となることもあります。最終的な選択は肝臓専門医と十分に話し合って決めましょう。
この病気と共に生きる
無理をせず、ゆとりある生活を心がけましょう。食事はゆっくり、よく噛んで食べることで食道への負担を減らせます。毎日体重を測り、急な増減やお腹の張り、便の色の変化に注意してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁酒・禁煙
- 十分な睡眠と休養
- ストレスをためない工夫(趣味・軽い運動・人との交流)
- 過度な筋力トレーニングや重い物を持ち上げることを避ける
- 旅行や引っ越しなどの前に受診して、体調を確認する
食事と運動
塩分を控えめに、たんぱく質は適量摂取します。肝臓の状態によって食事制限が異なるため、管理栄養士のアドバイスを受けると安心です。運動はウォーキングや軽い体操など、息がはずむ程度の有酸素運動を週数回行いましょう。食道に負担をかけるような運動は避けます。
精神的健康と心の健康
出血への不安や治療の繰り返しで、気持ちが落ち込むこともあるでしょう。それは自然な感情です。一人で抱え込まず、家族や医療スタッフに話すことで気持ちが軽くなることがあります。必要に応じて、カウンセリングなどの支援も検討しましょう。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、肝硬変の原因となるアルコールやウイルス性肝炎への対策をすることで、発症・進行リスクを減らせます。定期的な検診と生活習慣の見直しが重要です。
ワクチン
B型肝炎ワクチンを受けることで、B型肝炎による肝硬変への進行を防げる可能性があります。予防接種の対象かどうか、医師に相談しましょう。
検診プログラム
肝硬変と診断された場合は、食道静脈瘤ができていないかを確認するために、定期的な内視鏡検査が推奨されます。症状がなくても、医師の指示に従って検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 静脈瘤が破れて大量の出血が起こると、吐血や下血によりショック状態になり、命に関わります。
- 出血後は肝不全が悪化し、黄疸や意識障害(肝性脳症)を起こすことがあります。
- 再出血のリスクが高く、治療をしないと繰り返し出血することが多いです。
長期的な見通し
食道静脈瘤は、適切な治療と生活管理により出血のリスクを大きく減らすことができます。肝臓病の治療を続けながら、多くの方が普段と変わらない生活を送っています。希望を持って、医療チームと一緒に歩んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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