Otitis media in adults
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
中耳炎(ちゅうじえん)とは、耳の奥にある中耳(ちゅうじ)という部分が炎症を起こす病気です。細菌やウイルスが中耳に入り込み、腫れや痛み、発熱などを引き起こします。大人でも子どもでもかかる可能性がありますが、大人の場合は特に副鼻腔炎やアレルギーが原因になることが多いです。
重要な事実
- 大人の中耳炎は、風邪や副鼻腔炎の後に起こることが多い
- 適切に治療しないと、難聴や耳鳴りが長引く可能性がある
- 重症化すると、内耳や脳にまで炎症が広がることは稀ですが注意が必要
大人の中耳炎は子どもほど多くはありませんが、決して珍しい病気ではありません。特にアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎のある方、免疫力が低下している方に多く見られます。
大人の中耳炎は、20~40歳代の働き盛りの方や、免疫力が低下している方(糖尿病の方や抗がん剤治療を受けている方など)に多く見られます。また、喫煙している方や、耳抜きが苦手な方(飛行機やダイビングをする方)もリスクが高まります。
症状
- 強い耳の痛みとともに高熱(39℃以上)がある
- 耳垂れが大量に出て、血が混じっている
- めまいが激しく、立てない
- 顔の半分が動かしにくい、口元がゆがむ
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応が悪い
- ⚠耳の痛みが2日以上続く、または悪化する
- ⚠聞こえが急に悪くなった
- ⚠耳だれが出てきた
- ⚠めまいやふらつきが続く
一般的な症状
- 耳の痛み(ズキズキするような痛み)
- 耳が詰まった感じ(耳閉感)
- 聞こえが悪くなる(難聴)
- 耳だれ(黄色や透明の液体が出る)
- 発熱(37.5℃以上)
- 耳鳴り(耳の中で音がする)
子供の症状
- 大人と同じ症状に加えて、ぐずる、機嫌が悪い
- 耳を触る、引っ張る
- ミルクや食事を嫌がる
- 寝つきが悪い、夜泣き
- 頭を振るような仕草をする
高齢者の症状
- 痛みを感じにくく、症状がわかりづらいことがある
- 難聴が徐々に進行し、認知症のような症状と間違われることもある
- めまいやふらつきを伴うことがある
- 発熱や全身のだるさが主症状になる場合もある
原因
主な原因
- 風邪やインフルエンザなどのウイルス感染が鼻や喉から中耳に広がる
- 細菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌など)が中耳に入り込む
- 副鼻腔炎(ちくのう症)の炎症が耳管を通じて中耳に広がる
リスク要因
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を持っている
- 喫煙(受動喫煙を含む)
- 免疫力が低下している(糖尿病、ステロイド服用、化学療法中など)
- 耳抜きがうまくできない(飛行機の離着陸時、スキューバダイビング)
- 鼻すすりを頻繁にする
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳の痛みが強く、夜も眠れない
- 耳だれや血の混じった分泌物がある
- 聞こえが急に悪くなった
- めまいやふらつきがある
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の違和感や軽い痛みが2~3日続く
- 風邪の後に耳が詰まった感じが続く
- 耳鳴りが気になる
診断
医師が問診と視診、耳鏡(じきょう)という器具で耳の中を直接見て診断します。鼓膜(こまく)の状態(赤み、腫れ、穴など)を確認することで、中耳炎の有無や程度を判断します。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡検査(耳の中をのぞく)
- 聴力検査(どのくらい聞こえているか調べる)
- 鼓膜の動きを調べる検査(ティンパノメトリー)
- 耳だれがある場合は細菌検査(どんな菌か調べる)
診察で予想されること
診察は耳鼻咽喉科で行います。耳鏡を耳に入れるとき、少し圧迫感がありますが痛みはほぼありません。必要に応じて聴力検査も行います。検査結果はその場で説明されることが多く、治療方針もすぐに決まります。痛みが強い場合は、鎮痛薬の処方や点滴治療が必要になることもあります。
治療
大人の中耳炎の治療は、炎症を抑え、痛みを和らげ、合併症を防ぐことが目的です。軽度の場合は自然に治ることもありますが、細菌感染が疑われる場合は抗菌薬による治療が行われます。治療期間は通常1~2週間ですが、症状が続く場合はさらに延びることがあります。
自宅でのセルフケア
- 安静にして、十分な休養をとる
- 痛みがあるときは、患部を冷やす(タオルで包んだ保冷材などを耳の周りに当てる)
- 鼻づまりがある場合は、生理食塩水で鼻を洗う(医師に相談してから)
- 水分をしっかり摂り、部屋の加湿をする
- 喫煙は控える(受動喫煙も避ける)
- 耳に水が入らないように、シャワーのときは耳栓やシャワーキャップを使う
医療治療
医師は炎症や痛みを抑えるための薬を処方することがあります。細菌感染が疑われる場合は抗菌薬が処方されますが、治療は医師の指示に従って最後まで飲み切ることが大切です。また、鼻や副鼻腔の炎症を抑えるための点鼻薬や、粘液を出しやすくする薬が併用されることもあります。
手術が検討される場合
抗菌薬による治療で改善しない場合や、耳だれが長引く場合、鼓膜に穴が開いてなかなか閉じない場合は、鼓膜切開(小さな穴を開けて膿を出す手術)や、鼓膜チューブ挿入(換気用のチューブを入れる手術)を行うことがあります。また、慢性化した場合は、副鼻腔炎の手術が必要になることもあります。
この病気と共に生きる
中耳炎の治療中は、症状に合わせて過ごしましょう。痛みや発熱があるときは無理をせず、仕事や学校は休んで安静にします。耳抜きが必要な活動(飛行機や新幹線、エレベーター、ダイビング)は避けてください。耳に水が入らないように注意し、入浴はシャワーで済ませるとよいです。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(または受動喫煙を避ける)
- 鼻のかみ方は、片方ずつ優しくかむ(強くかむと中耳に炎症が広がる)
- 鼻すすりはしない
- アレルギーがある場合は、医師の指導のもとで適切にコントロールする
- 十分な睡眠とバランスのよい食事で免疫力を保つ
食事と運動
特に制限はありませんが、痛みや発熱があるときは消化のよい食事をとりましょう。水分補給はしっかり行ってください。運動は、症状が改善してから徐々に再開することをおすすめします。激しい運動や水泳は、医師に許可を得てからにしましょう。
精神的健康と心の健康
耳の痛みや聞こえにくさはストレスになります。また、めまいが続くと不安やうつ状態になることもあります。話しにくさや聞き取りにくさで、人とのコミュニケーションが億劫になることもあるでしょう。そうした気持ちは自然なことです。周囲に理解を求め、必要なら医師やカウンセラーに相談してください。
予防
すべての中耳炎を予防できるわけではありませんが、リスクを減らすことはできます。風邪やインフルエンザの予防(手洗い、うがい、マスク)、禁煙、アレルギーの適切な管理、鼻のかみ方の工夫などが効果的です。
ワクチン
インフルエンザの予防接種や、肺炎球菌ワクチン(特に高齢者や基礎疾患のある方)は、中耳炎の原因となる感染症を減らすのに役立つ可能性があります。詳細はかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特に定期的なスクリーニングは推奨されていませんが、難聴や耳の違和感が続く場合は、早期に耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 慢性中耳炎(炎症が長期間続き、鼓膜に穴があく)
- 難聴(特に高音域の聞こえが悪くなる)
- 耳鳴りが続く
- めまいがする、平衡感覚が乱れる(内耳炎)
- まれに、顔面神経麻痺(顔の筋肉が動かせなくなる)
- ごくまれに、髄膜炎や脳膿瘍(脳の周りの膜や脳自体に炎症が広がる)
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、大人の中耳炎の多くは数週間で改善します。痛みや発熱は治療開始後2~3日で和らぎますが、聴力の回復にはもう少し時間がかかることもあります。治療を途中でやめずに、医師の指示に従うことが大切です。慢性化した場合でも、適切な管理で症状をコントロールし、合併症を予防できます。希望を持って治療に取り組みましょう。
サポートを探す
国際機関
- 世界保健機関(WHO)難聴に関する情報
地域の団体
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 · 日本
- 厚生労働省 中耳炎に関する情報 · 日本
相談窓口
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月19日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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