Pharyngitis in pregnancy
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
のどの奥(咽頭(いんとう))が炎症を起こして痛む状態です。妊娠中はホルモンの変化や免疫力の変化で起こりやすくなります。ふつうはウイルスや細菌の感染が原因で、数日で自然に良くなることが多いですが、まれに妊娠中に特別な注意が必要な場合もあります。
重要な事実
- 妊娠中ののどの痛みの多くはウイルスが原因で、特別な治療は必要ありません。
- 細菌が原因の場合、抗菌薬が必要になることがありますが、妊娠中でも安全に使えるものがあります。
- 重症化を防ぐために、熱が続く・飲み込みがひどくつらいなどの症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
はい、妊娠中は免疫力が変化するため、のどの炎症(咽頭炎)は比較的よく見られる症状です。特に季節の変わり目や疲れがたまっているときにかかりやすくなります。
妊娠中のすべての方に起こる可能性がありますが、特に免疫力が低下しやすい妊娠初期と、おなかが大きくなって疲れやすい妊娠後期に多いとされています。
症状
- 呼吸が苦しい、息がゼーゼーする
- のどが完全にふさがれて何も飲み込めない
- 意識がぼんやりする、または呼びかけに反応が悪い
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠のどの痛みがひどくて水分もとれない
- ⚠のどに白い斑点や膿(うみ)が見える
- ⚠首のリンパ節がはれて痛い
- ⚠症状が3日以上続いて悪化している
一般的な症状
- のどの痛み(特に飲み込むとき)
- のどが赤く腫れている(自分では見えにくいですが、痛む感じがあります)
- 声がかすれる
- だるさや疲れを感じる
- 軽い熱が出ることがある
子供の症状
- この記事は妊娠中の方を対象としていますが、子どもに症状が出る場合の参考までに:のどを痛がる、飲み込みを嫌がる、熱が出る、耳を触るなど。
高齢者の症状
- 妊娠中の方は対象外ですが、高齢者の場合:のどの痛みに加えて、せきやたん、食事がとれなくなるなどの症状が出ることがあります。
原因
主な原因
- ウイルス感染(かぜのウイルス、インフルエンザウイルスなど)が最も多い原因です。
- 細菌感染(特にA群溶血性連鎖球菌(溶連菌(ようれんきん)))が原因のこともあります。
- アレルギーや乾燥、タバコの煙などの刺激でのどが炎症を起こすこともあります。
リスク要因
- 妊娠による免疫力の変化
- 疲れやストレスがたまっている
- 栄養バランスが偏っている
- 乾燥した環境や冷暖房の風が直接あたる
- 人混みや感染症が流行している場所に行く機会が多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 38度以上の熱が2日以上続く
- のどの痛みが強くて水分や食事がほとんどとれない
- のどに白い斑点や膿(うみ)のようなものが見える
- 首のリンパ節がはれて痛む
定期受診を予約すべき場合:
- のどの痛みが3~4日経っても改善しない
- 妊娠中は自己判断せず、症状が気になったら早めに相談するのが安心です。
- のどの症状だけでなく、からだのだるさや頭痛が続く
診断
医師がのどや首を診察し、症状や経過を聞いて判断します。必要に応じてのどの粘液をとって調べる検査(迅速検査)を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- のどの診察(視診):のどの赤みや腫れ、白い斑点の有無を確認します。
- 迅速検査(溶連菌検査):綿棒でのどの奥の粘液を少しとって、細菌の有無を調べます。結果は約10分でわかります。
- 血液検査:重症な感染症が疑われる場合に行うことがありますが、通常は必要ありません。
診察で予想されること
診察は数分で終わります。のどを診るときに軽い吐き気をもよおすことがありますが、すぐに終わります。検査で細菌が見つかった場合も、妊娠中に安全な治療法がありますので安心してください。医師が妊娠週数やアレルギーの有無を確認して、最適な方法を提案します。
治療
治療は原因と症状の強さによります。ウイルスが原因の場合は特別な薬は必要なく、からだの自然治癒力を助けることが中心です。細菌が原因の場合は、妊娠中でも安全な抗菌薬が使われることがあります。いずれの場合も自己判断で薬を飲まず、医師や薬剤師に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 安静にして十分に休む
- こまめに水分をとる(白湯(さゆ)やハチミツ入りの温かい飲み物など)
- のどを潤すために加湿器を使うか、濡れタオルを部屋に干す
- 塩水(コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分の塩)でうがいをする(1日数回)
- 刺激の強い食べ物(辛いもの、熱すぎるもの、固いもの)を避ける
- タバコの煙や強い香りを避ける
医療治療
医師は症状に応じて、妊娠中に安全な範囲で治療を提案します。例えば、痛みや熱に対しては、妊娠中でも使える解熱鎮痛薬(たいねつちんつうやく)を処方することがあります。細菌感染が確認された場合は、妊娠中に使用可能な抗菌薬(こうきんやく)を服用します。必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
咽頭炎そのものに対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、のどの膿瘍(のうよう)という膿のたまった状態になった場合には、まれに切開や排膿の処置が必要になることがあります。その場合も医師が妊娠中のリスクを考慮して適切に対応します。
この病気と共に生きる
咽頭炎はつらい症状ですが、ほとんどの場合、数日から1週間程度で良くなります。妊娠中は無理をせず、安静を優先しましょう。症状が落ち着いてきたら、徐々に日常の活動を戻していってください。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- ストレスをためないようにリラックスする時間を作る
- 手洗いやうがいをこまめに行う
- 乾燥を防ぐために室内の湿度を50〜60%に保つ
食事と運動
のどが痛いときは、刺激の少ない食べ物(おかゆ、スープ、豆腐、ゼリーなど)を選びましょう。水分はこまめに、冷たすぎず熱すぎないものを飲んでください。激しい運動は避け、症状が改善してから軽いウォーキングなどを再開しましょう。
精神的健康と心の健康
のどの痛みや発熱で思うように食事や睡眠がとれないと、気分が落ち込んだり不安を感じたりすることがあります。妊娠中はホルモンの変化もあって感情が不安定になりやすい時期です。つらいときはパートナーや家族、友人に気持ちを話しましょう。
予防
完全に予防するのは難しいですが、感染リスクを減らすことはできます。手洗い、うがい、人混みを避ける、マスクの着用、十分な栄養と睡眠をとることが大切です。妊娠中はワクチン接種についても医師と相談しましょう。
ワクチン
インフルエンザワクチンは妊娠中でも接種が推奨されており、インフルエンザによる咽頭炎の予防に役立ちます。また、新型コロナウイルスワクチンも妊娠中に接種できます。詳しくは医師にご相談ください。
検診プログラム
咽頭炎自体を早期に見つけるための特別な検診はありませんが、妊娠中の定期健診の際に気になる症状があれば医師に伝えましょう。
合併症
治療しない場合
- 重症化して扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)という膿のたまった状態になることがあります。
- まれに、細菌感染が原因の場合はリウマチ熱(心臓や関節に影響が出る病気)や腎臓の炎症(急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん))を引き起こす可能性があります。
- 妊娠中は高熱が続くとおなかの赤ちゃんに影響が出る可能性があります。
長期的な見通し
ほとんどの咽頭炎は自然に治るか、適切な治療で問題なく改善します。妊娠中でも安全に対処できる方法がたくさんありますので、過度に心配する必要はありません。症状が続く場合や悪化する場合は早めに医師に相談すれば、お母さんと赤ちゃんの両方の健康を守ることができます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月19日
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