門脈圧亢進とともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「門脈圧亢進(もんみゃくあつこうしん)」とは、食べ物の栄養を運ぶ「門脈」という静脈の血圧が高くなる状態です。多くの場合、肝臓の病気で血液の流れが悪くなり、門脈に圧力がかかります。
重要な事実
- 最も多い原因は肝硬変(肝臓の慢性の病気で硬くなっていく)です。
- 高い圧力により、食道や胃に静脈瘤(静脈のこぶ)ができやすくなります。
- 治療と生活管理で、大きな合併症を防ぐことができます。
一般の人にはめずらしい状態ですが、肝硬変の人では多くみられます。
主に、肝臓の病気が進行した人が影響を受けます。特に、ウイルス性肝炎、過度の飲酒、脂肪肝が原因となることが多いです。
症状
- 血を吐く(吐血)、コーヒーかすのような嘔吐
- 黒色の便(タール便)が出る
- 突然の強い腹痛
- 意識がもうろうとする
- 息が苦しい
- ⚠おなかが急に大きく張って痛む
- ⚠皮膚や目が黄色っぽい(黄疸)
- ⚠熱がある
- ⚠むくみが急に悪化する
一般的な症状
- のどや胃の静脈瘤ができても、初期にはほとんど症状がないことがあります。
- おなかに水がたまる(腹水)ため、おなかが張る・重だるい感じ。
- 足やふくらはぎのむくみ。
- 疲れやすさ、食欲低下。
- 痔などが出やすくなる。
子供の症状
- 小児では、先天性の肝臓・胆道の病気が原因となることがあり、おなかの張り、成長の遅れ、疲れやすさなどの症状がみられます。
高齢者の症状
- 高齢者では、肝機能の低下に加えて他の病気や薬の影響で、意識のぼんやり(肝性脳症)や転倒のリスクが高まることがあります。
原因
主な原因
- 肝硬変(最も多い原因です)
- 慢性肝炎(ウイルス性など)
- 門脈の血栓(血のかたまり)
- まれに、住血吸虫症などの感染症
リスク要因
- 過度の飲酒
- 慢性のB型・C型の肝炎ウイルス感染
- 肥満や脂肪肝
- 肝臓に毒になる薬や物質への曝露
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(吐血、黒色便、強い腹痛、意識障害など)がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 肝臓の病気で通院中であれば、予定どおり受診しましょう。新しい症状があれば、近いうちに受診してください。
診断
医師は、問診と診察に加えて、血液検査・画像検査を行い、必要に応じて内視鏡や肝生検で診断します。門脈圧そのものの測定が難しいため、食道静脈瘤の存在や腹水の有無などを手がかりに診断を進めます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能や血小板の数など)
- 腹部超音波(エコー)
- CT・MRI
- 上部内視鏡(食道・胃の静脈瘤を調べる)
- 場合により肝生検(肝臓の組織を採取して調べる)
診察で予想されること
基本は外来での検査です。出血や急な症状がある場合は入院が必要になる可能性があります。検査は痛みの少ないものが多く、内視鏡は鎮静剤を使って楽に行えることもあります。
治療
治療の目的は、合併症を防ぎ、つらい症状をやわらげ、原因となっている肝臓の病気を管理することです。生活習慣の改善と、医師が処方する薬や処置を組み合わせて進めていきます。
自宅でのセルフケア
- アルコールは完全に控える(肝臓の負担を減らすため)
- 塩分を控えた食事(むくみや腹水の軽減)
- 体重を毎日測定し、急な増加に注意する
- 重い物を持ち上げたり、強くいきんだりしない(圧力を上げないため)
- 市販薬を自己判断でのまない(特に解熱鎮痛薬など)
医療治療
医師の処方による薬としては、尿を増やす利尿薬、門脈の圧力を下げる薬などがあります。また、食道静脈瘤には内視鏡による結紮(しばる)処置、腹水にはおなかの水を抜く治療(腹腔穿刺)、難治性の症状にはTIPS(肝臓内のシャント)というカテーテル治療が行われることもあります。どの治療が選ばれるかは、あなたの状態に合わせて主治医が決めます。
手術が検討される場合
肝不全が進行し、他の治療で対応できない場合は、肝移植が検討されることがあります。これは専門の移植医療機関で、個別に相談することになります。
この病気と共に生きる
規則正しい生活を心がけ、決められた通院と検査を続けましょう。毎日体重を測り、おなかや足のむくみの変化を記録すると、主治医に伝えるときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 喫煙はやめ、受動喫煙も避ける
- お酒は飲まない
- ポンと跳ねるような激しい運動は避け、ウォーキングなど軽めの運動を
食事と運動
塩分は1日6g未満を目標に(ただし指示がある場合はそれに従う)、味付けは薄めに。たんぱく質は肝臓の状態により調整が必要なので、管理栄養士や医師のアドバイスを受けましょう。無理のない範囲で軽い運動を続けましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の病気で長く付き合うことは、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。それは自然な反応です。気持ちを言葉にし、医師や看護師、家族に伝えることが大切です。もしつらい気持ちが続く場合は、心理的な支援を受けられます。
予防
肝硬変などの原因となっている肝臓の病気の進行を防ぐことで、門脈圧亢進による合併症を予防できることがあります。飲酒を控え、バランスのよい食事で肝臓をいたわりましょう。
ワクチン
肝炎ウイルスに対するワクチン(A型・B型肝炎)は、肝臓の炎症を予防するために重要です。主治医に相談して、必要に応じて受けることを検討しましょう。
検診プログラム
肝硬変と診断されている場合、定期的に上部内視鏡検査を受け、食道静脈瘤の有無をチェックすることが推奨されています。検査の頻度は医師が決めます。
合併症
治療しない場合
- 食道・胃静脈瘤の破裂による大出血(命に関わることがあります)
- 腹水の感染症(自然発症細菌性腹膜炎)
- 腎機能の低下、肝不全の進行
- 肝性脳症(意識がぼんやりする状態)
- 肝細胞がんの合併リスク
長期的な見通し
門脈圧亢進は怖い合併症を持つ病気ですが、近年は内視鏡や放射線治療などの進歩により、多くの合併症をうまくコントロールできるようになってきました。原因となる肝臓の病気を治療し、規則正しい通院を続けることで、食事を楽しんだり仕事や趣味を続けたりしながら、長く安心して生活している方はたくさんいらっしゃいます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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