前立腺がんを経験した後の暮らし(サバイバーシップ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
前立腺がんの治療が終わった後も、心身の健康を保ちながら充実した生活を送ることを「サバイバーシップ」といいます。これは単に「生き延びる」ことではなく、治療の影響に向き合い、生活の質を大切にする考え方です。
重要な事実
- 前立腺がんは進行がゆっくりなことが多く、治療後も長く元気に過ごせる方が多いです。
- 治療後には尿や性機能、体力などに関する変化が起こることがありますが、多くのことは対処やケアが可能です。
- 定期的なフォローアップが再発の早期発見と健康管理に重要です。
前立腺がんは日本を含め世界中で男性に多いがんであり、治療後に長く生きる方も増えています。そのため、サバイバーシップの考え方が重要視されています。
主に50歳以上の男性に多く、特に高齢になるほど診断される方が増えます。治療後の生活の悩みは、年齢や治療内容によって異なります。
症状
- 突然の胸の痛みや息苦しさ(119番に通報)
- 片方の足が急に腫れて強く痛む(血栓の可能性)
- 意識がもうろうとする、または倒れる
- 大量の出血が止まらない
- ⚠発熱(38度以上)や悪寒がある
- ⚠尿に血が混じる、または排尿がまったくできない
- ⚠お腹や背中、骨の強い痛みが続く
- ⚠吐き気や嘔吐が続いて水分が取れない
一般的な症状
- 尿の漏れや頻尿など、排尿に関する変化
- 性機能の変化(勃起しにくい、性欲の低下など)
- 疲れやすさ、体力の低下
- 腸の調子の変化(下痢や便秘など)
- ほてりや寝汗(ホルモン療法の影響)
- 気分の落ち込みや不安
高齢者の症状
- 転びやすさや筋力の低下
- 尿失禁による外出のしづらさ
- お薬の飲み忘れや、ほかの病気との併存による複雑な健康管理
原因
主な原因
- 前立腺がんそのものの影響
- 手術や放射線治療による後遺症(尿漏れ、性機能の変化など)
- ホルモン療法による体力低下や骨の変化
- がんと向き合うことによる心理的なストレス
リスク要因
- 年齢(高齢になるほどリスクが高い)
- 家族に前立腺がんの方がいる場合はリスクが高くなることがある
- 肥満や運動不足が治療後の合併症のリスクを高める可能性がある
- 喫煙や過度の飲酒は健康全体に悪影響を与える
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急な強い痛みや発熱がある
- 尿が急に出なくなった
- 脚の片側が急に腫れて痛む
- けがをしたわけではないのに転んで骨折したような強い痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 治療後に計画されている定期的な通院(PSA検査や画像検査など)は必ず受ける
- 尿漏れや性機能の悩みが続くときは、我慢せずに医師へ相談する
- 疲れや気分の落ち込みが長く続く場合も相談する
診断
サバイバーシップの診断というよりは、治療後の経過を定期的に確認する「フォローアップ」が中心です。医師が問診や血液検査、必要に応じて画像検査を行い、再発の有無や治療の後遺症をチェックします。
行われる可能性のある検査
- PSAという血液検査(前立腺がんの再発マーカー)
- 直腸診(医師が指で前立腺を触って硬さや形を確認する)
- MRIやCTなどの画像検査
- 尿検査や排尿の記録
- 骨密度検査(ホルモン療法を受けていた場合)
診察で予想されること
診察では、まず最近の体調や気になる症状について聞かれます。尿の状態や性生活、疲れ、気分についても話しやすい雰囲気づくりが大切です。必要に応じて泌尿器科の医師や看護師、薬剤師などが連携してケアにあたります。
治療
前立腺がんの治療後は、残っている症状や生活の悩みに対して、運動療法、骨盤底筋トレーニング、薬物療法(ただし薬の名前は医師に確認してください)、心理的サポート、生活習慣の改善などを組み合わせて対応します。治療方針は個人の状態に合わせて医療チームが提案します。
自宅でのセルフケア
- 骨盤底筋トレーニング(尿漏れの改善に役立つことがある)
- ウォーキングなどの軽い運動を無理のない範囲で続ける
- 水分を上手にとる(膀胱のトレーニングにもつながる)
- 疲れを感じたら休息を取り、睡眠を十分にとる
- 気分がつらいときは信頼できる人に話す、または日記をつける
医療治療
治療後の症状に対しては、医師が尿漏れや頻尿を和らげるお薬、性機能の改善を目的としたお薬、骨を強くするお薬などを処方することがあります。どの治療法にもメリットとデメリットがあるため、担当医と十分に話し合って決めてください。また、ホルモン療法が続いている場合は、その管理も重要です。
手術が検討される場合
この記事では具体的な手術の説明は省略しますが、治療後の排尿障害や性機能障害に対して、状態によっては追加の手術的治療が考慮されることもあります。必ず専門医の評価を受けてください。
この病気と共に生きる
治療後の生活では、無理をしすぎず、自分の体調の変化に耳を傾けることが大切です。尿漏れが心配なときは、吸水パッドや着替えを用意しておくと安心です。外出や旅行も、事前にトイレの場所を確認するなど工夫すれば続けられます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がける
- 飲酒は適量にとどめる
- 規則正しい睡眠と休息を確保する
- ストレスをためないための趣味やリラックス法を見つける
- 定期的に適度な運動をする
食事と運動
バランスの良い食事を意識しましょう。特に、野菜や果物を多く取り、脂肪の多い食事を控えることがすすめられることがあります。運動は、ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で週に数回行うのが良いとされています。カルシウムやビタミンDをしっかりとることも骨の健康に役立ちますが、サプリメントを始める前には医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
がんの経験は、気分の落ち込みや不安、孤独感をもたらすことがあります。これは決して弱さではなく、自然な反応です。つらい気持ちを我慢せず、家族や友人、医療者に話しましょう。もしも気分の落ち込みが長く続いたり、日常生活に支障が出たりする場合は、ためらわずに医師や心理の専門家に相談してください。また、死にたい気持ちや強い絶望感がある場合は、すぐに信頼できる人に助けを求めるか、こころの健康相談の窓口や救急サービス(119番)に連絡してください。
予防
前立腺がんそのものを完全に予防する方法はまだわかっていませんが、バランスの良い食事、適度な運動、禁煙、過度な飲酒を避けるなどの健康的な生活習慣は、治療後の健康維持や再発予防の可能性を高めると考えられています。
検診プログラム
前立腺がんの検診(PSA検査)は、症状がない男性でも受けることができます。ただし、検診の利益と不利益(偽陽性や過剰診断など)を理解した上で、医師と相談して受けることがすすめられています。厚生労働省の指針に基づき、地域のがん検診や人間ドックなどを利用できます。
合併症
治療しない場合
- 治療後もフォローアップを怠ると、再発を早期に見つけるのが遅れる可能性がある
- 尿漏れや性機能障害などの症状が改善せず、生活の質が低下することがある
- ホルモン療法の影響による骨粗しょう症や骨折のリスクがある
- 心理的な苦痛が長引いて、うつ病につながることがある
長期的な見通し
前立腺がんは、治療成績が比較的良好ながんの一つで、多くの方が治療後も長い間、元気に日常生活を送っています。治療の影響による症状も、適切なケアと時間の経過で改善したり、うまくつきあえるようになったりします。医療チームと一緒に、あなたらしい生活を続けていける方法を探していきましょう。希望を持って一歩ずつ進んでください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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