Psoriasis in pregnancy
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬(かんせん)は、皮膚に赤い発疹(ほっしん)や銀白色の鱗屑(りんせつ)ができる慢性的な皮膚の病気です。妊娠中はホルモンの変化や免疫の働きによって、乾癬の症状が良くなったり悪くなったりすることがあります。
重要な事実
- 妊娠中に乾癬の症状が約4割の女性で改善し、約2割で悪化すると報告されています。
- 乾癬自体が赤ちゃんに直接影響することはまれですが、重症の場合には妊娠経過に注意が必要です。
- 治療薬によっては妊娠中に使えないものもあるため、妊娠前から医師と相談することが大切です。
妊娠可能な年齢の女性の約1~3%が乾癬を持っているとされ、決して珍しい状態ではありません。
妊娠中の女性で、すでに乾癬と診断されている方、または妊娠中に初めて乾癬と診断される方に影響します。
症状
- 突然の呼吸困難や胸の痛み
- 全身の発疹が急激に広がり高熱を伴う(膿疱性乾癬の可能性)
- 意識がもうろうとする、またはけいれんが起きた
- ⚠乾癬の症状が急に悪化して広範囲に広がった
- ⚠関節が急に腫れて激しい痛みがある
- ⚠妊娠中に乾癬の症状が激しく現れた場合は、産婦人科と皮膚科の医師に相談してください
一般的な症状
- 赤く盛り上がった皮膚の斑点(はんてん)
- 銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)
- かゆみ、ひりひり感、痛み
- 皮膚の乾燥やひび割れ
- 爪のくぼみや変色(爪乾癬)
- 関節の腫れやこわばり(乾癬性関節炎)
子供の症状
- 子どもに乾癬が現れることはまれですが、妊娠中の母親から子どもに直接症状が出ることはありません。
- 子どもの場合、頭皮やおむつ周りに赤い発疹が見られることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では皮膚の乾燥が進み、鱗屑が厚くなることがあります。
- 関節症状(乾癬性関節炎)が出やすくなる可能性があります。
原因
主な原因
- 遺伝的な要素(家族に乾癬を持つ人がいるとリスクが高まります)
- 免疫の異常(免疫細胞が誤って健康な皮膚を攻撃してしまいます)
- 妊娠によるホルモンバランスの変化と免疫調整
リスク要因
- 家族に乾癬の人がいる
- 喫煙や過度の飲酒
- ストレスや睡眠不足
- 特定の感染症(特に溶連菌感染症)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 妊娠中に乾癬の症状が急に悪化した
- 全身の皮膚が赤く腫れて熱が出た
- 関節の痛みや腫れが強くて動かせない
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠を考えているなら、妊娠前に皮膚科と産婦人科に相談しましょう
- 妊娠中は定期的に皮膚の状態を医師にチェックしてもらいましょう
- 症状が安定していても、年に1~2回は受診することをおすすめします
診断
医師が皮膚の見た目や症状の経過を確認し、問診を行います。必要に応じて皮膚の一部を採取して調べる皮膚生検(ひふせいけん)を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 視診と触診(医師が皮膚を見て触って診察)
- 問診(症状の出方、家族歴、妊娠週数など)
- 皮膚生検(局所麻酔でごく小さな皮膚片を取り、顕微鏡で調べます)
診察で予想されること
妊娠中は赤ちゃんへの影響を考慮し、診断は主に症状と視診で行われます。皮膚生検はリスクが低い検査ですが、必要な場合のみ行われます。診断後は、安全に治療を続けるための具体的な計画を医師と一緒に立てます。
治療
妊娠中の乾癬治療は、お母さんと赤ちゃんの両方に安全であることを最優先します。症状の程度や妊娠週数に応じて、外用薬(皮膚に塗る薬)や光線療法(紫外線を使った治療)が中心となります。全身に作用する薬は慎重に検討されます。必ず医師の指導のもとで治療を行ってください。
自宅でのセルフケア
- 皮膚を清潔に保ち、刺激の少ない保湿剤でしっかり保湿する
- 爪を短く切り、かきむしらないように注意する
- ストレスをためないようにリラックスする時間を作る
- 十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がける
- 喫煙や過度の飲酒は避ける(妊娠中は特に禁酒禁煙が大切)
医療治療
妊娠中の治療は、まず保湿剤や弱いステロイド外用薬など、皮膚に塗る薬から始めます。効果が不十分な場合は、光線療法(紫外線BやナローバンドUVB)が選択されることがあります。重症の場合には、専門医が妊娠中でも比較的リスクが低いと考えられる内服薬や注射薬を慎重に検討します。自己判断で市販薬を使ったり、以前使っていた薬を続けたりしないでください。
手術が検討される場合
乾癬自体が手術の適応となることはほとんどありません。ただし、乾癬性関節炎による関節の変形が激しい場合などには、整形外科的な手術が検討されることがありますが、妊娠中は基本的に行われません。
この病気と共に生きる
毎日のスキンケアが基本です。刺激の少ない洗浄料と保湿剤を使い、入浴後はすぐに保湿しましょう。衣類は綿など刺激の少ない素材を選び、締め付けの少ないものを選びましょう。かゆみが強いときは冷たいタオルで冷やすと一時的に和らぎます。
生活習慣のアドバイス
- 肌に優しい素材の衣服を選ぶ(綿、シルクなど)
- 日焼け止めを併用しながら、適度な日光浴(短時間)が役立つこともあります
- 保湿をこまめに行う(特に冬場やエアコンの効いた部屋では)
- ストレス管理のためにヨガや軽い散歩などのリラックス法を取り入れる
食事と運動
特別な「乾癬に効く食事」はありませんが、抗炎症作用のある食品(青魚、野菜、果物、オリーブオイルなど)を積極的に摂ると良いでしょう。妊娠中は適度な運動(医師の許可を得た範囲で)が血行を良くし、ストレス軽減にも役立ちます。
精神的健康と心の健康
乾癬は見た目に影響するため、妊娠中は心配や不安が強くなることがあります。また、妊娠中のホルモン変化で気分が変わりやすくなることもあります。つらい気持ちは一人で抱え込まず、パートナーや医師、カウンセラーに話しましょう。妊娠中のメンタルヘルスは赤ちゃんのためにも大切です。もし自殺や自分を傷つける考えが浮かんだら、すぐに119番に電話するか、家族や医療者に助けを求めてください。
予防
乾癬そのものを完全に予防することはできません。しかし、症状の悪化を防ぐために、ストレスを減らし、皮膚を保湿し、健康的な生活習慣を続けることが大切です。妊娠中は特に、医師と相談して治療を継続することが悪化防止につながります。
ワクチン
一般的なワクチン(インフルエンザなど)は妊娠中でも接種可能なものが多いですが、乾癬の治療薬によってはワクチンの効果が変わる可能性があります。必ず主治医に相談してから接種してください。
検診プログラム
乾癬に特化したスクリーニング検査はありません。ただし、妊娠中は定期的な妊婦健診で血圧や尿検査などが行われます。乾癬のある方は、関節症状がないかも一緒にチェックしてもらいましょう。
合併症
治療しない場合
- 皮膚症状が広がり、かゆみや痛みが強くなり生活の質が低下する
- 関節炎が悪化して関節の変形や機能障害を起こすことがある
- 重症の乾癬は妊娠高血圧症候群や早産のリスクをわずかに高める可能性がある
- 治療を自己中断すると、症状が急に悪化するリスクがある
長期的な見通し
多くの妊娠中の乾癬は適切なケアでコントロールでき、赤ちゃんへの影響もほとんどありません。出産後、症状が改善する人もいれば、変化が続く人もいます。医師と二人三脚で治療を続ければ、安心して妊娠・出産を迎えることができます。希望を持って、一歩ずつ進みましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月18日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。