白癬(たむし)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
いわゆる「水虫(みずむし)」の一種で、実は虫ではなく、カビ(真菌・しんきん)が皮膚に感染して起こる病気です。赤い円形(まるい)の発疹(ほっしん)ができて、かゆみやはがれ(落屑・らくせつ)をともなうことが多いです。うつる病気ですが、正しく治療すれば治ります。
重要な事実
- 白癬(はくせん)とも呼ばれ、原因はカビの一種である白癬菌(はくせんきん)です。
- 人から人へ、あるいはペットや土からうつることがあります。
- 正しい治療でほとんどの場合、数週間から数か月で改善します。
とても一般的な皮膚の病気で、特に高温多湿の季節に多く見られます。日本でも年間を通じて多くの人が経験します。
年齢や性別を問わず誰でもかかる可能性がありますが、子どもやスポーツをする人、動物とよく触れ合う人で多く見られます。
症状
- 発疹が急に広がって全身に赤い斑点ができた
- 高熱が出て元気がない
- ⚠発疹が化膿(かのう)して膿(うみ)が出てきた
- ⚠痛みや腫れが強くなった(細菌の二次感染の可能性)
- ⚠目や口の周りなど粘膜(ねんまく)の近くにできた
一般的な症状
- 赤い円形や楕円形(だえんけい)の発疹が出る
- 発疹の縁(ふち)が盛り上がって中央がややきれいになる「リング状」
- かゆみがある(特に汗をかいた後や夜間)
- 皮膚がはがれたり、カサカサしたりする
子供の症状
- 頭皮(とうひ)にできることが多く、脱毛(だつもう)やフケのようなはがれが見られる
- かゆみが強く、引っかくことで他の部分に広がりやすい
高齢者の症状
- 高齢者では爪(つめ)に感染することが多く、爪が黄色く厚くなったりもろくなったりする
- 痛みやかゆみが少ない場合もあるため、気づきにくいことがある
原因
主な原因
- 白癬菌というカビが皮膚に感染することで起こる
- 感染した人や動物(特に子犬や子猫)との直接の接触
- タオル、くし、靴下、寝具など共有のものからうつる
- 湿度の高い環境(ジムの更衣室、プールの周りなど)での感染
リスク要因
- 高温多湿の環境にいる(汗をかきやすい)
- アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している
- 免疫力が低下している(糖尿病、免疫抑制薬の使用など)
- ペット、特に犬や猫を飼っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発疹が広がって治らない
- かゆみがひどくて眠れない、日常生活に支障がある
- 頭皮や爪に症状がある(治療が長引くことがあるため)
- 子どもや妊娠中の女性、免疫力が弱っている人がかかった場合
定期受診を予約すべき場合:
- 初めて症状が出た場合や、自己判断で市販薬を使っても改善しない場合
- 家族やペットにも同じような発疹がある場合
診断
皮膚科の医師が発疹の見た目と、必要に応じて簡単な検査で診断します。
行われる可能性のある検査
- 目視診断:発疹の形や場所、広がり方を見る
- 皮膚のカケラを取って顕微鏡で見る「KOH検査」:白癬菌が見えるかどうかを調べる
- 培養検査(まれ):菌の種類を特定するために行うこともある
- ウッド灯(紫外線ライト)で見ると、一部の白癬菌が蛍光を発する
診察で予想されること
診察自体は数分で終わります。必要なら皮膚の表面をカミソリなどで軽くこすってサンプルを取りますが、ほとんど痛みはありません。結果はその場でわかることもあれば、培養の場合は数日かかることもあります。
治療
治療は抗真菌薬(こうしんきんやく)と呼ばれる薬を使います。ほとんどの場合、塗り薬(外用薬)で治りますが、範囲が広い場合や爪・頭皮など毛深い場所は飲み薬(内服薬)が必要になることがあります。副作用や飲み合わせを考慮して医師が適切な薬を選びます。
自宅でのセルフケア
- 患部を清潔に保ち、汗をかいたらすぐ拭く
- タオルや寝具は家族と別にし、こまめに洗濯する(洗剤と60度以上の熱で洗うと菌が死にます)
- かゆくてもなるべく引っかかない(引っかくことで広がったり、化膿したりする)
- 治療中は入浴時にボディタオルを使わず、石けんを手で泡立てて優しく洗う
- 治療を途中でやめず、医師の指示通り最後まで続ける
医療治療
医師が処方する塗り薬や飲み薬を使います。塗り薬は1日1~2回、症状が消えた後も数週間続けることが大切です。範囲が広い、爪や頭皮に感染している場合は飲み薬(内服抗真菌薬)が効果的です。飲み薬は肝臓や他の薬との相互作用に注意が必要なため、医師の管理のもとで使用します。
手術が検討される場合
原則として手術は必要ありません。ただし、爪の白癬が非常に厚くなって痛みがある場合など、まれに爪を除去することがあります。
この病気と共に生きる
治療中も普段通りの生活はほとんど問題なく送れます。ただし、他の人にうつさないようにタオルやくしなどを共有しない、入浴後にしっかり体を拭くなどの注意が必要です。
生活習慣のアドバイス
- 通気性の良い服や靴を選ぶ(綿素材など)
- ジムやプールの更衣室ではスリッパやサンダルを使う
- 毎日靴下を替える(綿やウールなど吸湿性の良いものがおすすめ)
- ペットに感染の兆候(はげや皮膚の赤み)があれば、動物病院にも相談する
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスの良い食事を心がけ、免疫力を維持することが間接的に回復を助けます。運動も通常通り行って構いませんが、汗をかいたらすぐにシャワーを浴び、清潔に保ちましょう。
精神的健康と心の健康
見た目に変化があることや、かゆみで集中力が低下することがあります。うつる病気ということで周囲に気を使うこともあるかもしれませんが、治療を始めれば感染力はすぐに低下します。気になることは遠慮なく医師に相談しましょう。
予防
完全に予防することは難しいですが、以下の対策で感染リスクを減らせます。
ワクチン
現在、白癬を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
特別な検診はありませんが、家族やペットに症状がある場合は一緒に検査・治療することが予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 症状が広がり、全身の広い範囲に発疹が出る
- 細菌が二次感染して化膿したり、湿疹(しっしん)が悪化する
- 爪や頭皮に感染すると治療が長引く(数か月から1年かかることも)
- まれに炎症が強くなって「ケルスス禿瘡(けいせいとくそう)」という毛包炎を起こすことがある
長期的な見通し
きちんと治療すれば、ほとんどの場合、後遺症なく治ります。爪の感染など治療が長引くこともありますが、根気よく治療を続ければ改善します。白癬は命に関わる病気ではありません。
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国際機関
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- 日本皮膚科学会 ↗ · 日本
- 厚生労働省 真菌症について ↗ · 日本
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月29日
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