妊娠中の睡眠時無呼吸症候群(SAS)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。妊娠中はホルモンや体重の変化で起こりやすくなることがあります。妊娠中にSASがあると、お母さんと赤ちゃんの健康に影響することがあるため、適切な管理が大切です。
重要な事実
- 妊娠中はホルモンや体重増加により、気道が狭くなりやすく、SASが起こりやすくなります。
- 妊娠中のSASは、高血圧や妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)のリスクを高める可能性があります。
- 治療には、生活習慣の改善やCPAP(持続陽圧呼吸療法)という機械を使う方法があります。
妊娠中のSASは、全妊婦さんの約3~10%に見られるとされています。特に妊娠後期に多く、肥満や高齢の妊娠でリスクが高まります。
妊娠中のすべての女性に起こりえますが、特に妊娠前に肥満があった方、いびきがひどい方、妊娠高血圧症候群のリスクが高い方に多く見られます。
症状
- 呼吸が止まったまましばらく戻らない
- 激しい息苦しさで目が覚めて、すぐに息が吸えない
- 意識がもうろうとする
- 胸の痛みや動悸がひどい
- ⚠日中の眠気が強くて運転や仕事に支障がある
- ⚠いびきが急にひどくなった
- ⚠血圧が高くなった(妊娠中は特に注意)
- ⚠足や顔のむくみが急にひどくなった
一般的な症状
- 日中ひどい眠気がある(会議中や運転中に眠くなる)
- いびきが大きく、不規則(途中で呼吸が止まるような感じ)
- 夜中に息苦しくなって目が覚める
- 朝起きたときに頭痛がする
- 口が乾いている
子供の症状
- この記事は妊娠中のお母さんに関するものです。お子さんの症状について知りたい場合は、小児科医にご相談ください。
高齢者の症状
- 妊娠中の方に関する記事ですので、高齢者向けの情報はここでは扱いません。
原因
主な原因
- 妊娠による体重の増加で首回りや気道に脂肪がつく
- ホルモンの変化で気道の筋肉が緩みやすくなる
- 子宮が大きくなることで横隔膜が押し上げられ、呼吸が制限される
リスク要因
- 妊娠前から肥満がある
- 妊娠中に体重が増えすぎた
- いびきをかきやすい体質
- 妊娠高血圧症候群の既往
- 家族に睡眠時無呼吸症の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が止まっているように見える(夫や家族が心配する)
- 夜中に息苦しくて目が覚めることが週に数回ある
- 日中の眠気が強く、仕事や日常生活に支障がある
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠中にいびきがひどくなったと感じる
- 朝の頭痛や口の渇きが続く
- 妊娠高血圧症候群のリスクが高い方(医師からSASの検査を勧められた場合)
診断
医師が問診(症状やいびきの状態を聞く)と身体診察を行い、必要に応じて検査を勧めます。妊娠中は、簡易型の検査(自宅でできる睡眠検査)が一般的です。
行われる可能性のある検査
- 簡易型睡眠検査(パルスオキシメーターや呼吸センサーを家で付けて睡眠中の状態を調べる)
- もし症状が重い場合は、病院で精密検査(ポリソムノグラフィー)を行うこともありますが、妊娠中は慎重に行われます。
診察で予想されること
検査は自宅でできる簡単なものがほとんどで、特に体に負担はありません。結果をもとに、医師が治療の必要性を判断します。妊娠中は産婦人科医と呼吸器内科医が連携して管理することが多いです。
治療
妊娠中のSASの治療は、まずは生活習慣の改善を中心に行います。症状が続く場合には、CPAP(持続陽圧呼吸療法)という機械を使った治療があります。薬物治療は妊娠中は避けられることがほとんどです。
自宅でのセルフケア
- 左側を下にして寝る(仰向けを避けると気道が開きやすい)
- 体重の増えすぎに注意し、医師の指導のもと適正体重を保つ
- 寝室の湿度を適切に保ち、鼻づまりを改善する(蒸しタオルや加湿器)
- カフェインやアルコールは避ける(アルコールは妊娠中は控えるのが基本)
- 日中に適度な運動をする(医師に相談してから)
医療治療
症状が中等度以上の場合、CPAP(持続陽圧呼吸療法)という機械を使って寝ている間に空気の通り道を広げる治療が行われます。この機械は妊娠中も安全に使えると考えられています。医師の指示に従い、鼻マスクを装着して就寝します。
手術が検討される場合
妊娠中に手術が行われることはほとんどありません。出産後に症状が続く場合に、必要に応じて手術を検討することがあります。
この病気と共に生きる
妊娠中のSASは、日中のだるさや眠気が続くことがあります。無理をせず、こまめに休憩をとりましょう。パートナーや家族にいびきや呼吸の様子を確認してもらうと安心です。運転中に眠くなったらすぐに車を停めて休んでください。
生活習慣のアドバイス
- 就寝時は横向き(できれば左側)を意識する
- 就寝前にリラックスする時間を作る
- 規則正しい睡眠スケジュールを保つ
- いびき防止用の枕や姿勢サポートグッズを試す
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、体重の増加を適正範囲に保ちましょう。医師に相談の上、ウォーキングなどの軽い運動を続けると、体重管理や睡眠の質向上に役立ちます。
精神的健康と心の健康
SASによる疲れや眠気は、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。妊娠中はホルモンの影響もあり、感情が不安定になりやすい時期です。つらいと感じたら、一人で抱え込まずにパートナーや医師に相談してください。
予防
完全に予防することは難しいですが、妊娠前に適正体重を維持すること、妊娠中の体重増加を適切に管理することでリスクを減らせます。また、横向き寝を心がけることも予防に役立ちます。
検診プログラム
妊娠中にSASの全員スクリーニングは推奨されていませんが、いびきや眠気が強い場合は医師に相談しましょう。高リスクの妊婦さんには、医師が検査を勧めることがあります。
合併症
治療しない場合
- 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)のリスク上昇
- 妊娠糖尿病の悪化
- 赤ちゃんの発育への影響(低出生体重など)
- 早産のリスク増加
- 帝王切開の可能性が高まる
長期的な見通し
妊娠中のSASは、適切に管理すればほとんどの場合、お母さんと赤ちゃんに大きな問題は起こりません。出産後は症状が改善することも多いです。医師の指示に従い、定期的に検診を受けることが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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