ストーマとともに過ごす毎日
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ストーマとは、病気やけがのため、おなかに作られた人工の排泄口のことです。腸や膀胱の手術で、便や尿の出口がなくなったときに作られます。専用の袋(パウチ)を皮膚に貼り、体の外に出る排泄物を受け止めます。ストーマは病気ではなく、生きるための大切な機能です。
重要な事実
- ストーマは人にうつるものではなく、感染症などの原因にはなりません。
- 日常生活のほとんどは、周りの人に気づかれずに過ごせます。
- パウチは衣服の下に隠れるため、外見から分かることはほとんどありません。
日本ではストーマを造設している方は数十万人いると言われており、決して珍しいものではありません。
大腸がんや膀胱がんの手術後、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、また交通事故や生まれつきの病気などで、子どもから高齢者まで幅広い方が対象になります。
症状
- 突然の激しい腹痛が続く
- ストーマの色が黒っぽい、青紫色、あるいは暗い赤に変わる
- ストーマから大量の出血があり、止まらない
- 便や尿が全く出ないのに、吐き気や嘔吐が続く(腸閉塞や尿路のつまりの可能性)
- ⚠ストーマが急に大きく飛び出したり、逆に引っ込んだりした
- ⚠ストーマの周りが腫れて痛みがある
- ⚠下痢や嘔吐が続き、水分を取れない
- ⚠パウチが頻繁に漏れて皮膚が常に湿っている
一般的な症状
- ストーマの周りの皮膚が赤くなる、かぶれる、ただれる
- パウチがしっかり密着せず、便や尿が漏れる
- 排泄の量や色、においが急に変わる
- ガスがたくさん出る、においが強く気になる
- ストーマの形や高さが変わる(飛び出したり、へこんだりする)
子供の症状
- 小さな子どもは痛みや不快感をうまく言葉にできないため、パウチ交換時は皮膚の様子を丁寧に確認することが大切です。
- 泣く回数が増えたり、おなかを触られるのを嫌がる場合は、皮膚トラブルやつまりを疑い、早めに相談しましょう。
- 下痢や吐き気、いつもの排尿・排便の様子と違う場合は、受診の目安になります。
高齢者の症状
- 加齢で皮膚が薄くもろくなり、かぶれが長引いたり、傷ができやすくなります。
- 視力や手の力の衰えでパウチ交換が難しくなることがあるため、家族や訪問看護の支援を活用しましょう。
- 尿の量が減る、めまい・ふらつきがある、口が渇くなどの脱水サインに注意が必要です。
原因
主な原因
- 大腸がん、直腸がん、膀胱がんなどの手術で、便や尿の通り道を失った場合
- 潰瘍性大腸炎やクローン病など、炎症性腸疾患で大腸を摘出した場合
- 腹部の外傷や重症の炎症(憩室炎、縫合不全など)で腸管を切除した場合
- 生まれつき消化管・尿路の形態に異常がある場合
リスク要因
- がんや炎症性腸疾患など、ストーマ造設が必要となる病気を抱えていること
- 腹部の手術を過去に複数回受けていること
- 肥満や喫煙、栄養状態の悪化は、ストーマの合併症(ヘルニアや皮膚トラブル)のリスクを高める可能性があります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の強い腹痛や嘔吐がある
- ストーマの色が変わった
- ストーマからの出血が止まらない
- 水分も取れず、尿や便が出ない
定期受診を予約すべき場合:
- 定期的な外来診察やストーマ外来での看護師への相談を続けましょう。
- 新しいパウチや皮膚保護剤を使うときは、事前に医師や看護師に相談すると安心です。
- 食事や旅行のことなど、小さな心配ごとも我慢せずに相談してください。
診断
ストーマが必要かどうかは、手術前に行われる精密検査と医師の診察によって判断されます。ストーマ自体は手術で作られるため、特別な検査で「見つける」ものではありません。
行われる可能性のある検査
- 大腸カメラ(大腸内視鏡)
- CT(コンピューター断層撮影)検査
- MRI(磁気共鳴画像)検査
- 血液検査
- 症状に応じた組織の検査(生検)
診察で予想されること
手術前には、医師やストーマ専門看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)から、ストーマの位置や生活への影響について十分な説明があります。退院前にはパウチ交換の練習を行い、自宅での生活に自信がつくまで支援を受けられます。
治療
ストーマの「治療」は、ストーマそのものを治すというより、毎日のパウチ交換と皮膚の手入れ(ケア)が中心になります。正しい方法を身につけることで、多くのトラブルは予防できます。
自宅でのセルフケア
- パウチ交換は、便や尿の量に合わせて1日1回または数回行い、皮膚を清潔に保つ
- 皮膚はぬるま湯とやわらかいガーゼで優しく洗い、しっかり乾かす
- 専用の皮膚保護材(スキンバリア)を使って、かぶれやただれを防ぐ
- パウチの開口部をストーマのサイズに合わせて切り、漏れを防ぐ
- パウチの中身は、半分程度たまったら早めに空にする
医療治療
医療機関では、便の硬さや排便のリズムを整える薬、皮膚のトラブルを改善する軟膏などの外用薬が処方されることがあります。水分や栄養の補給が必要となる場合もあります。薬は必ず医師の指示に従い、自己判断で使わないでください。
手術が検討される場合
一時的に作られたストーマは、あとで閉じる手術が可能な場合があります。また、ストーマが狭くなる・飛び出す・周辺にヘルニアが起きるなどの合併症があれば、再手術(ストーマの再造設)が検討されることもあります。
この病気と共に生きる
朝起きたらパウチを空にする、必要に応じて交換する、シャワーや入浴をする…と、生活のリズムに取り入れることで、特別なこととして意識しなくなっていきます。旅行も、交換道具を持ち運べば普通に楽しめます。
生活習慣のアドバイス
- 衣服は、ゆったりしたウエストのものを選ぶとストーマが目立ちにくくなります。
- 水泳や温泉、運動も、医師の許可があれば問題ありません。
- 長距離の移動や海外旅行も、予備のパウチと頼れる相談先を確認しておけば安心です。
- パートナーとのつきあいの中でストーマのことを伝えるのは自然なことであり、多くの場合に理解されています。
- 仕事や社会活動は、多くの人がこれまでどおり続けています。
食事と運動
バランスのよい食事を基本に、よく噛んで食べましょう。炭酸飲料や豆類、キャベツなどガスを作りやすい食品は、人によって影響が異なるため、少しずつ試してみてください。水分をこまめに摂り、便がゆるいときは水分と塩分のバランスにも気をつけます。運動は、おなかの筋肉を鍛えることでストーマ周りのヘルニア予防に役立つ一方、負荷のかけすぎには注意が必要です。医師や看護師に相談して、安全な運動量を見つけましょう。
精神的健康と心の健康
ストーマを造られた後には、自分の体の変化に驚いたり、悲しくなったり、周囲の目が気になったりするのは、自然な感情です。不安や落ち込みが長く続く場合は、一人で抱え込まずに、家族や友人、医師、看護師に話してください。心の専門家によるカウンセリングも役立ちます。もし、つらい気持ちが強くなり、死にたい・消えたいという考えが浮かんだら、すぐに助けを求めてください。救急(119)や地域の精神保健相談窓口をためらわずに利用しましょう。
予防
ストーマは病気ではなく、治療や命を救うための手術結果として作られるものです。そのためストーマそのものを予防することはできません。しかし、日々のケアを正しく行い、健康状態を管理することで、皮膚トラブルや合併症を防ぐことは十分可能です。
検診プログラム
大腸がんや膀胱がんなどを早期に見つける定期的な検診は、場合によってはストーマを回避したり、受けられる治療の選択肢を広げる手助けになります。
合併症
治療しない場合
- ストーマ周囲の皮膚炎(かぶれやただれ)が悪化する
- 下痢や尿量減少による脱水、電解質の乱れ
- ストーマが飛び出したまま戻らなくなる(ストーマ脱出)
- ストーマが狭くなり、便や尿が通りにくくなる(ストーマ狭窄)
- ストーマの周辺にヘルニア(臓器が飛び出す)が起こる
長期的な見通し
ほとんどの人は、時間とともに毎日のケアに慣れていきます。適切なサポートと自分に合った方法を見つければ、仕事、旅行、趣味、家庭生活を長く充実して送ることができます。ストーマは人生の一部であって、そのすべてを制限するものではありません。希望を持ってください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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