Stress incontinence after childbirth
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)とは、せきやくしゃみ、笑う、走るなど、おなかに力が入ったときに尿が漏れてしまう状態です。出産後によく見られ、骨盤底筋(こつばんていきん)という、子宮や膀胱(ぼうこう)を支える筋肉が弱まることが原因です。
重要な事実
- 出産後すぐに起こることもあれば、数か月後から気づくこともあります。
- 自然に治ることもありますが、適切なケアで改善しやすい症状です。
- 恥ずかしいと感じるかもしれませんが、多くの女性が経験する一般的な症状です。
はい、とてもよくある症状です。出産を経験した女性の3人に1人程度が、一時的または長期的に尿漏れを経験すると言われています。
主に経膣分娩(けいちつぶんべん:赤ちゃんを産道から生むこと)をした女性に多く見られますが、帝王切開(ていおうせっかい)の場合でも起こることがあります。年齢や体格に関係なく、どの女性にも起こり得ます。
症状
- 急に尿が出なくなり、おなかや背中に激しい痛みがある(尿閉:にょうへいの可能性)
- 尿に血が混ざり、腰や下腹部に強い痛みがある
- 発熱を伴う尿漏れや排尿時の痛みがある
- ⚠尿漏れに加えて、排尿時に痛みや灼熱感(しゃくねつかん)がある
- ⚠尿漏れの量が急に増えたり、頻繁に起こるようになった
- ⚠おしもの部分に痛みや違和感がある
一般的な症状
- せきやくしゃみをしたときに尿が少し漏れる
- 重いものを持ち上げたときや運動中に尿が漏れる
- 笑ったり、急に立ち上がったりしたときに尿漏れを感じる
- 尿意を感じる前に少し尿が出てしまうことがある
子供の症状
- 子どもの場合は、出産後の母親に特有の症状であり、子ども自身にこの症状は見られません。
高齢者の症状
- 加齢とともに骨盤底筋がさらに弱まり、若い頃よりも症状が強くなることがあります。
- 閉経後はホルモンの変化で尿道のしまりが悪くなり、尿漏れが続く場合があります。
原因
主な原因
- 出産時の骨盤底筋の伸びや損傷:赤ちゃんが産道を通るときに、膀胱や尿道を支える筋肉や靭帯が引き伸ばされ、弱くなります。
- ホルモンの変化:妊娠中や産後はリラキシンというホルモンの影響で組織がゆるみやすく、回復に時間がかかることがあります。
- 腹圧の上昇:せきやくしゃみ、重いものを持ったときにおなかに力が入り、膀胱に圧力がかかって尿が漏れます。
リスク要因
- 大きな赤ちゃん(4000g以上)を出産した
- 分娩が長かったり、吸引分娩や鉗子分娩(かんしぶんべん)を使った
- 出産回数が多い(2回目以降でリスクが上がる)
- 妊娠前から太り気味である、または産後体重が戻らない
- 慢性的なせきや便秘がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿漏れとともに、排尿時の強い痛みや発熱がある
- まったく尿が出せなくなった
- おしもの部分に腫れやしこりを感じる
定期受診を予約すべき場合:
- 尿漏れが続き、日常生活に支障を感じる(例:運動や外出を避けている)
- 尿漏れのためにパッドや下着の交換が頻繁に必要
- 産後6週間の健診で相談するのが目安ですが、いつでも受診して大丈夫です
診断
医師があなたの症状や出産の経過を詳しく聞き、尿漏れの状況を確認します。必要に応じて、尿検査や簡単な診察を行い、他の病気ではないことを確かめます。
行われる可能性のある検査
- 問診(もんしん):いつ、どんなときに尿が漏れるか、量はどのくらいかなどを質問されます。
- 尿検査:感染症がないか調べます。
- パッドテスト:一定時間にどれくらい尿が漏れるかを測定することがあります。
- 超音波検査:膀胱や子宮の位置を確認するために行うことがあります。
診察で予想されること
診察は通常、産婦人科または泌尿器科(ひにょうきか)で行います。恥ずかしさを感じるかもしれませんが、医師は多くの同様の患者さんを診ています。診断は特別な痛みを伴うものではなく、10分程度で終わることがほとんどです。
治療
治療はまず、自分でできる方法(骨盤底筋トレーニングや生活習慣の見直し)から始めます。効果が不十分な場合や症状が重い場合は、医師と相談した上で、より専門的な治療を検討します。
自宅でのセルフケア
- 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)を毎日続ける:尿を途中で止めるように筋肉を締める運動を、1回5~10秒、10回を1セットとして1日3セット行います。
- 便秘を予防する:食物繊維を多くとり、水分をしっかり飲んで、排便時にいきみすぎないようにします。
- 体重管理:妊娠前の体重に戻すことで、膀胱への負担が減ります。
- 咳やくしゃみをする前に脚をクロスするなど、尿漏れを減らす工夫をする。
- 膀胱訓練(ぼうこうくんれん):決まった時間にトイレに行く習慣をつけ、膀胱をコントロールする練習をする。
医療治療
自己ケアで改善しない場合、医師は骨盤底筋を鍛えるための物理療法(電気刺激やバイオフィードバック)を提案することがあります。また、腟(ちつ)の中に入れる「腟ペッサリー」という器具で膀胱を支える方法もあります。薬物療法としては、尿道のしまりを良くする薬がありますが、授乳中は使用できない場合があるため、必ず医師に相談してください。
手術が検討される場合
重度の場合や、他の治療が効果を示さない場合、手術が検討されることがあります。例えば、膀胱の位置を元に戻す手術や、尿道を支えるテープを入れる「スリング手術」などがあります。手術は最終手段であり、産後1年以上経ってから行うことが一般的です。
この病気と共に生きる
尿漏れがあると、外出や運動を避けたくなるかもしれませんが、適切なケアを続ければ普段の生活を大きく変える必要はありません。骨盤底筋トレーニングを習慣にして、安心して過ごせるようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 尿漏れパッドや吸収性下着を活用して、漏れても安心な状態を作る。
- カフェインや炭酸飲料は膀胱を刺激するため、控えめにする。
- 喫煙はせきの原因になるので禁煙を検討する。
- 重いものを持ち上げるときは、ひざを曲げておなかに力を入れないようにする。
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に便秘を防ぐために食物繊維(野菜、果物、全粒穀物)を十分にとりましょう。運動はウォーキングや水中ウォーキングなど、おなかに負担のかからないものから始めると良いです。激しい運動は骨盤底筋を鍛えた後に徐々に行いましょう。
精神的健康と心の健康
尿漏れは「恥ずかしい」「自分だけの問題」と思いがちで、孤独感や不安、うつ状態につながることがあります。これはあなたのせいではありません。気分の落ち込みが続く場合は、一人で抱え込まずに医療機関や相談窓口に話を聞いてもらいましょう。
予防
完全に予防できるわけではありませんが、リスクを減らすことは可能です。妊娠中から骨盤底筋トレーニングを行うこと、適切な体重管理をすること、便秘を予防することなどが役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 慢性的な尿漏れが続くと、皮膚のかぶれや感染症(尿路感染症、外陰部の炎症)を起こしやすくなる。
- 尿漏れのために運動や外出を避けることで、体力低下や肥満につながる。
- 社会生活や夫婦関係に支障をきたし、精神的なストレスがたまる。
長期的な見通し
出産後の腹圧性尿失禁は、多くの場合、適切なケアと時間の経過とともに改善します。特に骨盤底筋トレーニングを習慣にすることで、かなりの改善が期待できます。たとえ長引いても、治療法はたくさんあります。一人で悩まずに医療機関に相談すれば、あなたに合った方法が見つかります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月18日
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