Stress incontinence living in pregnancy
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腹圧性尿失禁(ふくあつせい にょうしっきん)とは、おなかに圧力がかかったときに尿が少し漏れてしまう状態です。妊娠中によく起こる症状で、赤ちゃんの成長に伴い骨盤底筋(骨盤の底にある筋肉)に負担がかかることで生じます。
重要な事実
- 妊娠中はホルモンの変化と子宮の重みで骨盤底筋が弱まり、尿漏れが起こりやすくなります。
- 妊娠中の腹圧性尿失禁は珍しいことではなく、多くの妊婦さんが経験します。
- 出産後、約半数は自然に改善しますが、症状が続く場合もあります。
はい、妊娠中はとてもよく見られる症状です。特に妊娠後期(7~9か月)に多く、妊婦さんの約3~4割が経験すると言われています。
妊娠中の女性、特に初めての妊娠や過去に経膣分娩(けいちつぶんべん)を経験した方、また赤ちゃんが大きい場合や双子の妊娠などでリスクが高まります。
症状
- 尿がまったく出ない(尿閉)、または激しい痛みがある(すぐに119番へ)
- 尿に血が混じり、発熱や強い腰背部痛を伴う
- 突然の大量の出血(妊娠中の出血は緊急です)
- ⚠尿漏れに加え、排尿時に痛みや灼熱感がある(尿路感染症の可能性)
- ⚠尿漏れが急に増えたり、日常生活に大きく支障をきたす
一般的な症状
- くしゃみやせきをしたときに尿が少し漏れる
- 笑ったときや重いものを持ったときに尿漏れがある
- 運動中(特にランニングやジャンプ)に尿が漏れる
- 尿漏れの量は少量で、頻度は様々
原因
主な原因
- 妊娠ホルモン(リラキシンなど)が骨盤底筋を緩め、尿道の支持が弱まる
- 大きくなった子宮が膀胱や骨盤底を圧迫する
- 体重増加や姿勢の変化で骨盤底に持続的な負担がかかる
リスク要因
- 複数回の妊娠・出産
- 肥満や妊娠中の過度な体重増加
- 慢性的な便秘(いきむことで骨盤底が弱まる)
- 喫煙(慢性的なせきが原因になる)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿がまったく出ない、または排尿が困難
- 尿に血が混じり、腹痛や発熱がある
- 大量の出血や激しい痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 尿漏れが気になり、日常生活に影響が出ている
- 症状が徐々に悪化している
- 産後の尿漏れが続いている場合(産後6週間健診で相談を)
診断
医師(産婦人科や泌尿器科)が問診と簡単な検査を行います。症状のパターンや妊娠週数、既往歴を詳しく聞きます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(感染症の有無を確認)
- 残尿測定(排尿後に膀胱に尿が残っていないか超音波で調べる)
- 咳テスト(咳をしたときの尿漏れを確認)
- パッドテスト(一定時間の尿漏れ量を測定)
診察で予想されること
診察はリラックスした状態で行われます。恥ずかしいと感じる方もいらっしゃいますが、医療者は多くの経験があり、安心して話せる環境を整えてくれます。必要な場合、骨盤底筋の状態を評価するために内診(腟の中を診る)を行うこともあります。
治療
妊娠中の腹圧性尿失禁の治療は、まず安全で負担の少ない方法から始めます。多くの場合、薬を使わずに改善を目指します。
自宅でのセルフケア
- 骨盤底筋体操(ケーゲル体操)を毎日続ける(尿道や腟の周りの筋肉を意識的に締めたり緩めたりする)
- 急な咳やくしゃみの前に筋肉を意識的に締めておく(「ノック法」)
- 水分を適切に摂り、便秘を予防する(食物繊維を多くとる)
- 重いものを持ち上げる際は、足を曲げておなかに力を入れない
- 尿漏れパッドや専用のショーツで外出時も安心
医療治療
症状が強い場合や自己管理で改善しない場合は、医師の指導のもとで骨盤底筋を鍛える専門的なリハビリ(バイオフィードバックや電気刺激療法など)を行うことがあります。妊娠中でも安全に行える方法を選びます。薬物療法は妊娠中は原則として推奨されません。
手術が検討される場合
妊娠中は手術は行われません。出産後も症状が続く場合、産後6か月~1年後に手術(尿道スリング手術など)を検討することがありますが、まずは保存的治療を優先します。
この病気と共に生きる
尿漏れを気にしすぎず、日常生活を楽しむ工夫をしましょう。外出時には予備のパッドや着替えを持ち歩くと安心です。尿漏れがあることで活動を制限する必要はなく、適度な運動は血行を良くし、骨盤底にも良い影響を与えます。
生活習慣のアドバイス
- 体重管理を適切に行う(妊娠中の体重増加は医師の指導に従う)
- 便秘を防ぐため、水分と食物繊維を積極的にとる
- 喫煙は避ける(せきや骨盤底への悪影響のため)
- 重い物を持ち上げる時は、姿勢に注意する
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に便秘予防のために野菜や果物、全粒穀物をとりましょう。運動はウォーキングや水泳など負担の少ないものがおすすめです。骨盤底筋体操は1日数分、継続することが大切です。妊娠中なので、急な激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
尿漏れは悩みやストレスになることがあります。外出を控えたり、社交的な場を避けたくなるかもしれません。しかし、多くの妊婦さんが経験する症状であり、一人で抱え込まずにパートナーや医療者に相談しましょう。産後には改善することも多く、希望を持って取り組むことが大切です。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、リスクを減らすことはできます。妊娠前からの骨盤底筋体操や適切な体重管理、便秘予防が有効です。妊娠中も早い段階から骨盤底を意識した生活を心がけると、症状の出現や悪化を抑えられる可能性があります。
検診プログラム
特になし
合併症
治療しない場合
- 尿漏れが続くことで生活の質が低下する(外出や運動が不安になる)
- 尿路感染症(膀胱炎など)のリスクが高まる可能性
- 産後も症状が続き、慢性化することがある
長期的な見通し
妊娠中の腹圧性尿失禁は非常に一般的で、多くの場合、出産後数か月で改善します。適切な骨盤底筋体操や生活習慣の見直しで、症状はかなり軽減できます。たとえ症状が続いても、産後に様々な治療法がありますので、希望を持って取り組みましょう。
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- 日本泌尿器科学会 · 日本
- 日本助産師会 · 日本
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月21日
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