妊娠中の甲状腺機能亢進症(甲状腺が活発になりすぎる状態)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)とは、甲状腺という首の前にある臓器が、体に必要な以上に甲状腺ホルモンを作り出してしまう状態です。妊娠中はホルモンの変化が大きく、この病気が影響することがあります。適切な管理で多くの女性が健康な妊娠・出産を迎えられます。
重要な事実
- 妊娠中の甲状腺機能亢進症は、適切に治療すれば多くの場合、赤ちゃんへの影響を抑えられます。
- 治療は妊娠中も継続することが大切です。医師の指示を守りましょう。
- 妊娠中は甲状腺の機能が変化するため、定期的な検査が必要です。
妊娠中の甲状腺機能亢進症はそれほど一般的ではありませんが、出産年齢の女性に多く見られる病気です。日本では妊娠女性の約0.1~0.4%に発症するとされています。
妊娠可能な年齢の女性で、特にバセドウ病(甲状腺が過剰に働く自己免疫疾患)を持つ方や、甲状腺疾患の既往がある方に多く見られます。
症状
- 突然の息切れや胸の痛み
- 意識がもうろうとする
- 痙攣(けいれん)が起きた
- 高熱(38度以上)が続く
- ⚠動悸がひどくて安静にできない
- ⚠吐き気や嘔吐が止まらない
- ⚠体重が急激に減る
- ⚠妊娠中に甲状腺機能亢進症の症状が急に悪化した
一般的な症状
- 動悸(心臓がドキドキする)
- 疲れやすさ
- 体重が減る、または増えにくい
- 暑がりになる、汗をかきやすい
- 手の震え
- イライラしやすくなる
- 食欲が増すのに体重が減る
原因
主な原因
- バセドウ病(最も多い原因、自己免疫疾患)
- 妊娠初期の一過性甲状腺機能亢進症(つわりに伴うホルモン変動)
- 甲状腺結節がホルモンを過剰に作る場合
リスク要因
- バセドウ病の既往または家族歴
- 他の自己免疫疾患(例:橋本病、1型糖尿病)
- 妊娠中の甲状腺刺激ホルモンの異常
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合はすぐに119番に連絡してください
- 妊娠中に甲状腺の症状が急に悪化した
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠がわかったら、甲状腺の検査を受けることを検討する
- すでに甲状腺疾患がある方は、妊娠前に医師に相談する
- 妊娠中は定期的に甲状腺機能をチェックする
診断
医師による問診と血液検査で診断します。症状を尋ねられ、血液中の甲状腺ホルモン(FT4など)とTSH(甲状腺刺激ホルモン)の値を測定します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体)
- 超音波検査(甲状腺の大きさや形を調べる)
診察で予想されること
診断のために、まず産科医または内分泌科(ホルモンの専門医)を受診します。血液検査の結果をもとに、治療の必要性や妊娠中の管理計画を立てます。妊娠中は安全な範囲で治療を続けることが大切です。
治療
妊娠中の甲状腺機能亢進症の治療は、母体と赤ちゃんの両方の安全を考えて行われます。薬物療法が中心で、状況によっては手術も考慮されますが、妊娠中はできるだけ薬でコントロールします。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示通りに薬を飲み続ける
- 定期的な血液検査を受ける
- ストレスをためないようにする
- 十分な休息をとる
医療治療
抗甲状腺薬(甲状腺ホルモンの産生を抑える薬)が主に使われます。妊娠中は胎盤を通る量が少ない薬を選び、最小限の有効量で治療します。放射線ヨウ素治療は妊娠中は絶対に行いません。治療は医師の指導のもとで行ってください。
手術が検討される場合
薬でコントロールできない場合や、薬にアレルギーがある場合など、ごくまれに妊娠中期に甲状腺の一部を切除する手術が検討されることがあります。必ず専門医との相談が必要です。
この病気と共に生きる
妊娠中は甲状腺の状態が変わりやすいため、定期的に医師の診察を受けましょう。体重や血圧、心拍数を記録しておくと、変化に気づきやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとる
- 規則正しい生活を心がける
- ストレスを管理する(リラックス法など)
- 喫煙は控える(喫煙は甲状腺に悪影響)
食事と運動
栄養バランスの良い食事を心がけ、特にヨウ素(昆布、わかめなどの海藻類)の過剰摂取に注意しましょう。医師の許可があれば、軽い運動(散歩など)は問題ありません。無理のない範囲で体を動かしてください。
精神的健康と心の健康
妊娠中の体調の変化や病気への不安から、気分が落ち込むことがあります。一人で悩まず、パートナーや医療者に相談することが大切です。必要に応じてカウンセリングなどのサポートも受けられます。
予防
甲状腺機能亢進症そのものを完全に予防することはできませんが、妊娠前に甲状腺疾患が見つかっている場合は、コントロールを整えてから妊娠することでリスクを減らせます。
検診プログラム
妊娠初期の血液検査で甲状腺機能をチェックすることが推奨されています。特に症状がある場合やリスクが高い方は医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 妊娠高血圧症候群のリスクが高まる
- 早産や流産のリスクが高まる
- 赤ちゃんの低体重や甲状腺機能異常
長期的な見通し
適切な治療と定期的な管理により、ほとんどの女性が健康な妊娠・出産を迎えることができます。産後も甲状腺の状態をフォローアップすることが大切です。希望を持って前向きに取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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