乳幼児の耳鳴り(耳の中で音がする)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
耳鳴り(みみなり)とは、実際には周りに音がしていないのに、本人だけに「キーン」「ジー」「ブーン」などの音が聞こえる状態をいいます。赤ちゃんや小さな子どもの場合、自分で「耳が鳴る」と言葉で伝えられないため、周りの大人が気づくことが大切です。乳幼児の耳鳴りは、多くは一時的なもので、原因を取り除けば改善します。
重要な事実
- 乳幼児の耳鳴りは、子どもが自分で症状を伝えられないため、保護者の観察が重要です。
- ほとんどの場合、中耳炎(ちゅうじえん)や耳あか詰まりなど、治療可能な原因によるものです。
- 耳鳴りが続くと、機嫌が悪くなったり、睡眠や発達に影響することがあります。
- 適切な対応で多くの場合は改善しますが、まれに深刻な病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
乳幼児の正確な耳鳴りの頻度はわかっていませんが、耳の感染症(例えば中耳炎)をよく起こす子どもでは、それに伴って耳鳴りを感じている可能性があります。全体としては、大人に比べると少ないと考えられています。
耳鳴りは、赤ちゃんを含むすべての年齢の子どもに起こり得ます。特に中耳炎(耳の感染症)を繰り返す子どもや、耳の構造に問題がある子どもに多く見られます。また、大きな音にさらされたり、特定の薬の影響で起こることもあります。
症状
- 突然激しい耳の痛みを訴え、ぐったりしている
- 耳から血や膿(うみ)のような液が出ている
- けいれんを起こした
- 頭を強くぶつけた後に耳鳴りを訴える
- ⚠耳鳴りに加えて発熱がある(38℃以上)
- ⚠耳の周りが腫れている
- ⚠耳を触ると強く痛がる
- ⚠耳鳴りが数日続き、機嫌が非常に悪い
一般的な症状
- 赤ちゃんが耳をよく触る、引っ張る
- 普段より機嫌が悪い、泣きやすい
- 眠りが浅い、夜中に何度も起きる
- テレビの音量をいつもより大きくする(幼児の場合)
- 呼びかけに反応しにくい(聞こえが悪くなっている可能性)
子供の症状
- 大きい子どもでは「耳の中で音がする」と訴えることがあります
- 「ブーン」「キーン」という音をまねする
- 集中力が続かない、学校の成績が落ちる
- 頭痛や耳の痛みを訴えることもある
原因
主な原因
- 中耳炎(ちゅうじえん):耳の奥の炎症で最も多い原因です
- 耳あかの詰まり:耳あかがたまって音が聞こえにくくなることがあります
- 大きな音への曝露(ばくろ):花火や工事現場の音など
- 特定の薬の影響:まれに薬の副作用として耳鳴りが起こることがあります
- 耳の構造上の問題:生まれつきの異常など
リスク要因
- 中耳炎を繰り返す
- アレルギー性鼻炎(鼻水や鼻づまり)がある
- 家庭内で受動喫煙(たばこの煙を吸う)にさらされる
- 未熟児で生まれた
- 耳の感染症を家族によく起こす
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳の痛みや発熱がある
- 耳から液体が出ている
- 耳鳴りが急に始まり、子どもがぐったりしている
定期受診を予約すべき場合:
- 耳をよく触る、引っ張る仕草が続く
- 聞こえが悪そうに感じる
- テレビの音量を大きくしたがる
- 睡眠や機嫌に影響が出ている
診断
医師はまず、保護者の方から赤ちゃんの様子や気になる点を伺います。その後、耳の診察(耳鏡検査:耳の中をのぞく検査)を行い、耳あかの詰まりや中耳炎の有無を確認します。必要に応じて、聴力検査(聞こえの検査)や鼓膜の動きを調べる検査(ティンパノメトリー)を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡検査(じきょうけんさ):耳の穴の中をのぞく検査
- 聴力検査(ちょうりょくけんさ):音が聞こえているかを調べる
- ティンパノメトリー:鼓膜の動きや中耳の状態を調べる検査
- 画像検査(レントゲンやCT):まれに、耳の構造を詳しく見るために行う
診察で予想されること
診察は通常、痛みを伴いません。赤ちゃんの場合は、診察時に泣いたり動いたりすることがあるため、保護者の方が抱っこして落ち着かせながら行います。検査結果はその場で説明してもらえることが多いです。もし原因が特定できれば、それに合わせた治療が始まります。
治療
乳幼児の耳鳴りの治療は、原因となる病気を治療することが基本です。多くの場合、中耳炎などの感染症を治すことで耳鳴りも改善します。耳あかが原因なら、耳あかを取り除くだけで治ることもあります。
自宅でのセルフケア
- 耳の中を綿棒などで掃除しない(耳あかをかえって奥に押し込む恐れがあります)
- 家庭内でタバコの煙を避ける
- 大きな音(テレビやおもちゃの音)を避ける
- 機嫌が悪い時は静かな環境で休ませる
医療治療
医師は、原因に応じて治療を行います。中耳炎には抗菌薬(細菌をやっける薬)が処方されることがあります。また、耳あかが硬く詰まっている場合は、耳鼻科で専用の器具を使って取り除きます。めまいや吐き気を伴う場合は、それを和らげる薬が使われることもあります。薬の名前や具体的な用法は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
ごくまれに、中耳炎が長引いて鼓膜にたまった液体(浸出液)を抜くために、鼓膜に小さな穴をあける手術(鼓膜切開)が必要になることがあります。また、耳の構造に問題がある場合は、その修正手術が行われることもあります。手術が必要かどうかは、専門医が慎重に判断します。
この病気と共に生きる
耳鳴りがある赤ちゃんは、不快感からぐずったり眠りが浅くなることがあります。まずは静かで落ち着ける環境を整えてあげてください。機嫌が悪いときは、優しく抱っこしたり、子守唄を歌うなどして気をそらしてあげるとよいでしょう。耳鳴りのある子どもは音に敏感になることもあるので、テレビやおもちゃの音量には注意しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 家の中では静かな時間を作る
- 大きな音(掃除機、ドライヤー、テレビなど)はできるだけ控える
- 子どもが睡眠をしっかりとれるようにする
- 耳を触る癖がある場合は、爪を短く切っておく
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスのよい食事と規則正しい生活は免疫力を高め、感染症予防に役立ちます。適度な運動や外遊びは健康な発達を促します。ただし、耳鳴りがひどいときは無理をさせないでください。
精神的健康と心の健康
耳鳴りが続くと、子どもはイライラしたり、不安を感じることがあります。赤ちゃんの場合は、泣き方が強くなったり、夜泣きが増えることがあります。保護者の方が落ち着いて対応し、子どもの気持ちを受け止めてあげることが大切です。必要なら医師や専門家に相談しましょう。
予防
すべての耳鳴りを防ぐことはできませんが、原因の多くは予防可能です。中耳炎を予防するために、乳幼児の予防接種(特にヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン)は大切です。また、家庭内での受動喫煙を避け、大きな音から耳を守ることも有効です。
ワクチン
ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンなどの予防接種は、中耳炎の原因となる感染症を予防し、耳鳴りのリスクを減らす効果が期待されます。厚生労働省の定期接種のスケジュールに沿って接種しましょう。
検診プログラム
新生児聴覚スクリーニング(生まれた赤ちゃんの聴力を調べる検査)は、耳の病気の早期発見に役立ちます。多くの自治体で実施されていますので、保健センターなどに問い合わせてみてください。
合併症
治療しない場合
- 長引く中耳炎による難聴(きこえにくさ)
- 言葉の発達の遅れ(聞こえが悪いことで影響が出る)
- 集中力や学習能力への影響
- 慢性的な耳鳴りによるストレスや睡眠障害
長期的な見通し
乳幼児の耳鳴りの多くは、原因を適切に治療することで改善します。特に中耳炎や耳あかが原因の場合は、治療後すぐに症状が消えることがほとんどです。耳鳴りが続いても、多くの子どもは成長とともに自然に治ったり、気にならなくなったりします。早期に発見し適切な対応をすれば、後遺症を残さずにすむ可能性が高いです。保護者の方の観察と医療機関への相談が、お子さんの健康を守る第一歩です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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