妊娠中の耳鳴り(みみなり)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
耳鳴りとは、実際には音がしていないのに、耳の中で「キーン」「ザー」「ブーン」といった音が聞こえる状態です。妊娠中はホルモンの変化や体の変化によって、耳鳴りが起こりやすくなることがあります。多くの場合、赤ちゃんが生まれると自然に治ります。
重要な事実
- 妊娠中の耳鳴りはよくある症状で、特に妊娠後期に感じやすいと言われています。
- 多くの場合、出産後に自然に改善します。
- 耳鳴りが続いたり、他の症状(めまい、急な難聴など)を伴う場合は医師に相談しましょう。
- 妊娠中の血圧や貧血が関係することもあります。
妊娠中の耳鳴りは、妊婦さんの10~30%が経験すると言われており、決して珍しい症状ではありません。
妊娠中の女性なら誰でも起こる可能性がありますが、もともと耳鳴りがある方や、妊娠高血圧症候群(妊娠中の血圧が高い状態)や貧血がある方に多く見られます。
症状
- 急に片方の耳がまったく聞こえなくなった(突然の難聴)
- 強いめまいやふらつきがあり、立っていられない
- 顔の片側が動かしにくい、またはしびれる(脳卒中の可能性)
- ⚠耳鳴りに加えて、強い頭痛や視界のぼやけがある
- ⚠耳から血や膿(うみ)が出る
- ⚠耳鳴りが急に悪化した、または長く続く(数日以上)
一般的な症状
- キーン、ジー、ザーといった耳の中の音(片耳または両耳)
- 音の大きさや種類が変わることもある
- 夜や静かなときに気になりやすい
- 一時的に起こることも、長く続くこともある
原因
主な原因
- 妊娠中のホルモン(エストロゲンなど)の変化が内耳(耳の奥の器官)に影響する
- 血液量が増えて、耳の血管の流れが変化する
- ストレスや疲れ、睡眠不足が耳鳴りを感じやすくする
- 妊娠高血圧症候群(血圧が高い)や鉄欠乏性貧血(鉄分不足)が関係することがある
リスク要因
- 妊娠前から耳鳴りがある
- 妊娠中に血圧が高くなった(妊娠高血圧症候群)
- 貧血がある(特に鉄欠乏性貧血)
- ストレスが多い、または睡眠不足が続いている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に耳が聞こえなくなった、または耳鳴りが急に強くなった
- 強いめまいや頭痛、視界の変化がある
- 耳に痛みや違和感があり、発熱もある
定期受診を予約すべき場合:
- 耳鳴りが続いていて気になる(2週間以上続くなど)
- 寝られないほど気になる、日常生活に影響がある
- 血圧や貧血の検査をしたほうがよいか知りたい
診断
医師が問診(症状の詳しい話を聞く)と、耳の診察を行います。必要に応じて聴力検査や血圧測定、貧血の血液検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 問診(いつから、どんな音、他に症状はないかなど)
- 耳鏡(耳の中を見る器具)で外耳や鼓膜を確認
- 聴力検査(音がどのくらい聞こえるか調べる)
- 血圧測定、血液検査(貧血やその他の原因を調べる)
診察で予想されること
診察はリラックスして受けられます。特別な準備はいりません。医師はあなたの症状や経過を丁寧に聞き、妊娠中に行っても安全な範囲で検査を行います。必要なら耳鼻咽喉科(耳・鼻・のどの専門医)を紹介されることもあります。
治療
妊娠中の耳鳴りは、多くの場合、特別な治療をしなくても出産後に改善します。治療は主に症状を和らげることと、原因となっている体の状態(高血圧や貧血など)を改善することを目指します。
自宅でのセルフケア
- 静かな場所でリラックスする時間を作る
- 寝るときにホワイトノイズ(雨音や川のせせらぎなど)を流して気をそらす
- 規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとる
- ストレスをためすぎない(軽い運動や趣味など)
- カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶)やアルコールは控えめにする
医療治療
医師は必要に応じて、貧血の改善(鉄剤の処方)や血圧の管理など、原因に合わせた治療を行います。耳鳴りそのものに対する薬は妊娠中はほとんど使いません。市販の耳鳴り用の薬などは自己判断で使わず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
妊娠中に手術が必要となることはほとんどありません。
この病気と共に生きる
耳鳴りがあると気になってしまうこともありますが、無理に「聞かないように」しようとせず、自然に流すことが大切です。音をかき消す方法(ラジオや音楽を小さく流すなど)を試してみましょう。
生活習慣のアドバイス
- 寝る前はスマホやパソコンを控え、リラックスできる環境を整える
- 疲れたら無理せず休む
- 妊娠中は無理なダイエットをせず、栄養バランスの良い食事をとる
- 軽いストレッチやウォーキングなど、医師に許可された範囲で体を動かす
食事と運動
鉄分やビタミンB12など、貧血予防に良い食事(レバー、ほうれん草、豆類など)を意識しましょう。ただし妊娠中はレバーの摂りすぎにも注意が必要です。運動は産婦人科の指導に従い、無理のない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
耳鳴りが続くと不安やイライラ、睡眠の質の低下につながることがあります。妊娠中はもともと感情が不安定になりやすい時期なので、自分の気持ちを大切にし、周りの人に話したり、必要なら専門家(助産師やカウンセラー)に相談するのも良いでしょう。
予防
妊娠中の耳鳴りを完全に予防する方法はありませんが、ストレスを減らし、規則正しい生活を送ることで、症状を和らげたり、悪化を防ぐことが期待できます。
ワクチン
妊娠中のワクチン接種は耳鳴り予防には直接関係ありません。ただし、妊婦健診で推奨されるワクチン(インフルエンザなど)は、医師と相談の上、受けるようにしましょう。
検診プログラム
妊婦健診で定期的に血圧や尿検査、血液検査が行われます。これらの検査で高血圧や貧血を早めに見つけることが、耳鳴りの原因の早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 睡眠不足や疲れが続き、妊娠中の体調に影響することがある
- ストレスがたまり、うつや不安感が強くなる可能性がある
- まれに、高血圧や貧血などの原因疾患が悪化することがある
長期的な見通し
妊娠中の耳鳴りのほとんどは、出産後しばらくすると自然に改善します。赤ちゃんが生まれてホルモンバランスや血液量が戻るにつれて、症状が落ち着くことが多いです。もし出産後も続く場合でも、適切なケアで十分に管理できます。希望を持って、穏やかに過ごしましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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