成人の1型糖尿病と共に生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
1型糖尿病は、すい臓でインスリンというホルモンが作られなくなる病気です。インスリンは血液中の糖をエネルギーとして細胞に取り込むために必要です。この病気になると、体外からインスリンを補わなければなりません。
重要な事実
- 1型糖尿病は自己免疫疾患の一つで、体の免疫システムが誤って自分のすい臓の細胞を攻撃してしまうことが原因です。
- 一度発症すると、一生インスリン治療が必要です。
- 適切に管理すれば、健康的な生活を送ることができます。
日本では1型糖尿病の患者さんは約10~14万人いるとされ、決して珍しい病気ではありません。
子どもや若い世代に多いですが、大人になってから発症する方もいます。特に30~40代以降に発症する場合は「緩徐進行1型糖尿病」と呼ばれることもあります。
症状
- 意識がもうろうとする
- 呼吸が速く、深くなる(クスマウル呼吸)
- 吐き気や嘔吐が止まらない
- 果物のような甘い匂いの息(アセトン臭)
- 急激な腹痛
- ⚠血糖値が非常に高い(目安:250mg/dL以上)
- ⚠尿にケトン体が出ている(家庭用検査キットで確認)
- ⚠風邪や感染症にかかり、食事がとれない
一般的な症状
- のどが異常に渇く(口渇)
- 何度もトイレに行く(多尿)
- 体重が急に減る
- 疲れやすい
- 視界がぼやける
子供の症状
- 夜尿症(おねしょ)が増える
- イライラしやすい
- 学校の成績が落ちる
高齢者の症状
- 症状がゆっくり現れることがある
- 感染症を繰り返す
- 傷の治りが遅い
原因
主な原因
- 自己免疫反応:自分の免疫システムが、インスリンを作るすい臓のβ(ベータ)細胞を攻撃して破壊してしまうこと。
- 遺伝的要因:特定の遺伝子を持っていると発症リスクが高まることが分かっていますが、遺伝するとは限りません。
- 環境要因:ウイルス感染などがきっかけになることがありますが、はっきりとはわかっていません。
リスク要因
- 1型糖尿病の家族歴がある(親や兄弟姉妹)
- 他の自己免疫疾患(橋本病やアジソン病など)を持っている
- 子どもの頃に特定のウイルス感染(エンテロウイルスなど)にかかった
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(意識障害、嘔吐など)がある場合はすぐに119番へ。
- 血糖値が異常に高い、または低くて自分で対処できない場合は、早急に医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 1型糖尿病と診断されたら、定期的に内分泌代謝内科(糖尿病専門医)を受診しましょう。
- 年に1~2回は合併症のチェック(眼底検査、腎機能検査、神経検査など)を受けましょう。
- インスリンの種類や量を見直すため、医師の指示に従って定期的に来院してください。
診断
医師が問診と血液検査、尿検査を行い、1型糖尿病を診断します。典型的には高血糖と、インスリン分泌が極端に少ないことを確認します。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖検査:8時間以上絶食して測る血糖値。
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)検査:過去1~2か月の平均血糖値を示す。
- 抗GAD抗体検査:1型糖尿病に特徴的な自己抗体の有無を調べる。
- 尿中ケトン体検査:ケトン体(脂肪が分解されてできる物質)の有無を調べる。
- インスリン分泌能検査:グルカゴン負荷試験などで、すい臓のインスリン分泌能力を調べる。
診察で予想されること
診断がついたら、すぐにインスリン治療を始めることが多いです。医師や看護師、管理栄養士から、生活習慣や食事、血糖測定の方法について詳しい指導を受けます。最初は戸惑うかもしれませんが、チームでサポートします。
治療
1型糖尿病の治療の基本は、不足したインスリンを体外から補うことです。インスリン注射またはインスリンポンプを使って、1日に複数回インスリンを投与します。血糖値を目標範囲に保つために、食事、運動、ストレス管理も重要です。
自宅でのセルフケア
- 毎日決まった時間に血糖値を測定する(自己血糖測定)。
- インスリン注射を医師の指示通りに正しく行う。
- 食事の内容と量を意識し、炭水化物の量を計算する(カーボカウント)。
- 適度な運動を続ける(医師と相談して強度を決める)。
- 低血糖の症状と対処法を覚えておく(ブドウ糖や糖分を含む飲料を常備する)。
医療治療
インスリン療法が中心です。速効型、中間型、持効型など、作用時間の異なるインスリンを組み合わせて使います。最近ではインスリンポンプや持続血糖モニター(CGM)などの機器も使用されます。治療は医師と相談しながら、一人ひとりに合った計画を立てます。
手術が検討される場合
外科手術は通常必要ありません。ただし、インスリンポンプの埋め込みなど、特殊な処置が必要になる場合はごくまれにあります。
この病気と共に生きる
毎日の血糖測定とインスリン注射が生活の一部になります。最初は大変に感じるかもしれませんが、多くの人が仕事や趣味、旅行を続けながら上手に管理しています。血糖値の記録をつけ、パターンを把握することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事と適度な運動を心がける。
- 飲酒は医師と相談し、適量を守る(低血糖を起こしやすくなる)。
- ストレスをためすぎないようにする(ストレスで血糖値が変動する)。
- 定期的に医療機関を受診し、合併症の早期発見に努める。
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、炭水化物の量を意識することが大切です。糖尿病食という特別なものではなく、健康的な食事を基本に、栄養士と相談して自分に合った食習慣を作りましょう。運動はインスリンの効きを良くし、血糖値を下げるのに役立ちますが、運動前後の血糖測定と必要に応じた補食が重要です。
精神的健康と心の健康
1型糖尿病の管理は長く続くため、時に疲れや不安、ストレスを感じることがあります。気分の落ち込みや燃え尽き症候群(糖尿病バーンアウト)になることもあります。そんな時は、一人で抱え込まずに医師やカウンセラー、同じ病気を持つ仲間に相談してください。
予防
現在のところ、1型糖尿病を確実に予防する方法は見つかっていません。研究は進んでいますが、遺伝的要因や環境要因が複雑に関わっており、予防法は確立されていません。
ワクチン
1型糖尿病そのものを予防するワクチンはありません。ただし、感染症を予防するための一般的なワクチン(インフルエンザワクチンなど)は、糖尿病の方は重症化リスクが高いため接種が推奨されます。
検診プログラム
家族に1型糖尿病の患者さんがいる場合、抗GAD抗体などの検査で発症リスクを調べることができます。しかし、まだ予防法がないため、定期的なスクリーニングは一般的には行われていません。気になる方は医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):命に関わる緊急事態。高血糖と脱水、ケトン体の蓄積で意識障害を起こす。
- 網膜症(目の網膜の血管が障害され、視力低下や失明のリスク)
- 腎症(腎臓の機能が低下し、人工透析が必要になることも)
- 神経障害(手足のしびれや痛み、自律神経の障害)
- 心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中のリスク増加)
- 足病変(血流障害や神経障害による潰瘍、感染、最悪の場合切断)
長期的な見通し
1型糖尿病は完治する病気ではありませんが、適切な治療と自己管理により、合併症を防ぎ、健康で充実した生活を長く送ることができます。医学の進歩により、治療の選択肢は広がっており、血糖管理も以前より格段に楽になりました。前向きに、自分のペースで取り組んでいきましょう。
サポートを探す
国際機関
- 国際糖尿病連合 (IDF)
- JDRF (国際1型糖尿病研究財団)
地域の団体
- 日本糖尿病学会
- 日本糖尿病協会
相談窓口
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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