小児の1型糖尿病について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
1型糖尿病は、体がインスリンというホルモンをほとんど作れなくなる病気です。インスリンは血液中の糖(エネルギー)を細胞に取り込むために必要です。この病気になると、血糖値(血液中の糖の量)が高くなりすぎます。
重要な事実
- 1型糖尿病は自己免疫疾患の一種で、体の免疫システムが誤ってインスリンを作る膵臓の細胞を攻撃してしまいます。
- 治療にはインスリンを注射で補うことが必要です。
- 1型糖尿病は子どもや若い人に多く見られますが、大人でも発症することがあります。
1型糖尿病は2型糖尿病に比べてまれですが、日本では約10万人に1人程度の割合で発症すると言われています。子どもの場合は、特に小学校高学年から中学生にかけて発症しやすいとされています。
主に子どもや10代の若者に発症しますが、大人でもどの年齢でも発症する可能性があります。家族に1型糖尿病の人がいる場合、リスクがやや高まります。
症状
- 意識がもうろうとする、または意識を失う
- 呼吸が速く深くなる(クスマウル呼吸)
- 激しい腹痛や嘔吐がある
- 呼びかけに反応しない
- ⚠血糖値が非常に高く(医師から指示された範囲を超えて)、数時間経っても下がらない
- ⚠吐き気やおう吐があり、水分が取れない
- ⚠高熱が出ている
一般的な症状
- のどが異常に渇く(口渇)
- 何度もトイレに行く(頻尿)
- 体重が減る
- 疲れやすい、だるい
子供の症状
- 夜尿(おねしょ)が増える
- 食欲はあるのに体重が減る
- 機嫌が悪くなったり、イライラしやすくなる
- 学校の成績が落ちる、集中力が続かない
高齢者の症状
- 感染症(特に皮膚や尿路の感染)にかかりやすくなる
- 視力がぼやける
- 傷の治りが遅い
原因
主な原因
- 1型糖尿病は主に自己免疫反応によって起こります。体の免疫システムが誤ってインスリンを作る膵臓のβ細胞(ベータさいぼう)を攻撃し、破壊してしまうため、インスリンが不足します。
- 正確な原因はまだ完全にはわかっていませんが、ウイルス感染などが引き金になることがあると考えられています。
リスク要因
- 家族に1型糖尿病の人がいる(遺伝的な要因)
- 特定の遺伝子を持っている(HLA型など)
- 何らかのウイルス感染(エンテロウイルスなど)にさらされたこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(意識障害や呼吸が速くなるなど)が見られたら、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 高血糖症状(のどの渇き、頻尿、体重減少)が急に悪化した場合。
定期受診を予約すべき場合:
- 子どもに上記の症状が続いている場合、早めに小児科または内科を受診してください。
- すでに診断を受けている場合、定期的な血糖値のチェックと医師の診察が必要です。
診断
医師が症状を聞き、血液検査や尿検査を行います。血糖値が高く、同時にインスリンを作る力が低下していることを確認することで診断されます。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値検査:食事をとらない状態で血液中の糖の量を測ります。
- 随時血糖値検査:食事の時間に関係なく血糖値を測ります。
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)検査:過去1~2か月の平均的な血糖値を反映します。
- 抗GAD抗体検査:1型糖尿病に特徴的な抗体(自己抗体)の有無を調べます。
診察で予想されること
診断のために、採血や尿検査を行います。子どもは痛みを怖がるかもしれませんが、医師や看護師がやさしく説明してくれます。診断が確定したら、すぐに治療が始まります。
治療
1型糖尿病の治療の基本は、不足したインスリンを体外から補うことです。インスリン注射やインスリンポンプを使い、血糖値を目標の範囲に保つようにします。食事や運動の管理も重要です。
自宅でのセルフケア
- 毎日決まった時間に血糖値を測る(自己血糖測定)
- インスリン注射やインスリンポンプの操作を正しく行う
- 食事の内容と量を記録し、血糖値の変動を把握する
- 運動の前後で血糖値をチェックし、低血糖に備える
- 低血糖(血糖値が下がりすぎたとき)の症状と対処法を覚えておく
医療治療
医師の指示に従い、インスリン製剤を注射またはポンプで投与します。インスリンの種類や投与量は、食事や運動、血糖値の状況に合わせて調整されます。病院では糖尿病療養指導士がアドバイスをしてくれます。
手術が検討される場合
通常、1型糖尿病に対して手術が必要になることはありません。ただし、他の病気で手術を受ける場合には、血糖値の管理をしっかり行う必要があります。術前に医師に糖尿病があることを伝えてください。
この病気と共に生きる
1型糖尿病の子どもは、学校や家庭で毎日血糖値を測り、インスリン注射を打つ必要があります。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくると自分でできるようになります。学校の先生や友達にも病気のことを伝えておくと、何かあったときに助けてもらいやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズム(食事、睡眠、運動)を心がける
- 血糖値をこまめにチェックし、記録をつける
- 低血糖に備えて、ブドウ糖や砂糖入りの飲み物を常に携帯する
- 学校や外出先でもインスリン注射や血糖測定ができるように準備する
食事と運動
食事は炭水化物の量を考慮してバランスよく食べることが大切です。栄養士(管理栄養士)に相談して、自分に合った食事計画を立てましょう。運動は血糖値を下げる効果があるので、積極的に行いましょう。ただし、運動中は低血糖に注意し、運動前後で血糖値を測定し、必要なら補食をとります。
精神的健康と心の健康
1型糖尿病の治療は大変で、特に子どもや思春期の若者にとってはストレスになることがあります。血糖コントロールがうまくいかないと、落ち込んだり、治療にやる気をなくしたりすることもあります。そんなときは、家族や医師、カウンセラーに気持ちを話すことが大切です。日本では、小児慢性特定疾病の支援制度もあります。
予防
現在のところ、1型糖尿病を完全に予防する方法はありません。しかし、早期発見と適切な治療によって、重い合併症を防ぐことができます。
ワクチン
1型糖尿病を予防するための特別なワクチンはありません。ただし、インフルエンザなどの感染症予防は、血糖コントロールを安定させるために役立ちます。
検診プログラム
家族に1型糖尿病の人がいる場合、定期的に抗体検査を受けることで、発症のリスクを早期に知ることができます。ただし、必ずしも発症を防げるわけではありません。かかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 糖尿病性ケトアシドーシス(高血糖とケトン体の増加により、意識障害や昏睡に至る重い状態)
- 長期的な合併症:網膜症(目の病気)、腎症(腎臓の病気)、神経障害(手足のしびれなど)
- 成長や発達の遅れ
長期的な見通し
1型糖尿病の治療は生涯続きますが、血糖値をしっかり管理すれば、ほとんどの子どもが普通の生活を送り、健康で長生きすることができます。新しい技術(持続血糖測定器やインスリンポンプなど)も進んでおり、治療はどんどん楽になっています。希望を持って、前向きに取り組みましょう。
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地域の団体
- 日本糖尿病学会 · 日本
- 日本小児内分泌学会 · 日本
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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