高齢者のめまい(回転性めまい)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
めまい(回転性めまい)は、自分や周りの景色がぐるぐる回っているように感じる症状です。高齢者によく見られ、転倒のリスクを高めることがあります。耳の奥のバランスを感じる部分(内耳)や脳のトラブルが原因になることが多いです。
重要な事実
- 高齢者のめまいは、内耳の異常が原因となることが多いです。
- めまいがあると、転倒や骨折のリスクが高まるため注意が必要です。
- めまいの原因は良性のものから、脳卒中などの緊急を要するものまでさまざまです。
- 適切な検査と治療で、多くのめまいは改善できます。
はい、高齢者ではとてもよく見られる症状です。厚生労働省の調査でも、65歳以上の約3人に1人がめまいを経験したことがあると報告されています。
特に65歳以上の高齢者に多く、女性のほうが男性よりもやや多い傾向があります。持病(高血圧、糖尿病など)がある方や、耳の病気を経験したことのある方にも起こりやすいです。
症状
- 突然の激しいめまいとともに、ろれつが回らない、片方の手足が動かないなどの症状がある
- めまいに加えて激しい頭痛や意識障害がある
- 胸の痛みや動悸、息切れを伴う
- ⚠めまいが数時間以上続き、改善しない
- ⚠めまいの後に耳の聞こえが急に悪くなった
- ⚠転倒して頭を打った後でめまいがある
一般的な症状
- 自分や周りがぐるぐる回る感じがする
- ふらつく、立ちくらみがする
- 吐き気や嘔吐を伴うことがある
- 冷や汗が出る
- 耳鳴りや難聴を伴うこともある
子供の症状
- 子どもではめまいを訴えることが少なく、言葉で説明できないことが多い。
- 急に動かなくなったり、顔色が悪くなったりすることがある。
高齢者の症状
- 回転性めまいのほかに、ふらつきや歩行の不安定さが目立つ
- めまいとともに転倒しやすくなり、骨折の危険が高まる
- 持病の薬の影響でめまいが悪化することがある
- 耳鳴りや難聴を伴うことが多い
原因
主な原因
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV):耳の奥の三半規管に小さな石(耳石)が入り込んで起こる、最も多い原因です。
- メニエール病:内耳に水分がたまり、めまい、耳鳴り、難聴を繰り返す病気です。
- 前庭神経炎:ウイルス感染などで内耳の神経に炎症が起こり、激しいめまいが続きます。
- 脳血管障害:脳卒中や一過性脳虚血発作がめまいの原因になることもあります。
リスク要因
- 高血圧や糖尿病、心臓病などの持病がある
- 過去に耳の病気やけがをしたことがある
- ストレスや睡眠不足
- 首のむち打ち症や頸椎(けいつい)の病気
- 特定の薬(降圧薬、抗うつ薬など)の副作用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- めまいと一緒に手足のまひやしびれ、言語障害がある
- 激しい頭痛や意識が遠のく感じがある
- めまいが突然起こり、まったく動けなくなった
定期受診を予約すべき場合:
- めまいが何度も繰り返す
- めまいの持続時間が長くなってきた
- めまいのために日常生活に支障が出ている
- めまいとともに耳鳴りや難聴がある
診断
医師があなたの症状や病歴を詳しく聞き、いくつかの検査を行って原因を調べます。耳の病気が疑われる場合は耳鼻咽喉科、脳の病気が疑われる場合は脳神経内科や脳神経外科を受診することが多いです。
行われる可能性のある検査
- 問診:いつから、どんな時に、どのくらいのめまいが出るかを詳しく聞かれます。
- 頭位変換検査:ベッドに寝た状態で頭の向きを変えて、めまいが起こるかどうかを確認します。
- 聴力検査:耳の聞こえの状態を調べます。
- 重心動揺検査:立っているときのバランスを測定します。
- 画像検査:CTやMRIで脳や首の血管に異常がないか調べることがあります。
診察で予想されること
めまいの診断には、問診がとても重要です。どのような場面でめまいが起こるか、どのくらい続くか、一緒にどんな症状があるかをメモしておくと、医師に正確に伝えられます。検査は痛みを伴うものはほとんどなく、時間も30分~1時間程度です。
治療
めまいの治療は、原因によって異なります。良性発作性頭位めまい症(BPPV)には耳石を元の位置に戻す「耳石置換法」という理学療法が効果的です。メニエール病には食事療法や生活習慣の改善が中心です。薬物治療では、めまいや吐き気を抑える薬が処方されることがありますが、必ず医師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- めまいが起こったら、無理に動かず、安全な場所に座るか横になる。
- 頭を急に動かさないようにする。
- めまいの起こりやすい動作(寝返り、上を向くなど)はゆっくり行う。
- めまいの日記をつけて、発作のパターンを把握する。
- 転倒を防ぐために、家の中の段差をなくし、手すりをつける。
医療治療
医師は原因に応じて、めまいを抑える薬や吐き気を止める薬を処方することがあります。また、内耳のリハビリテーション(前庭リハビリ)という、バランス機能を改善する訓練が行われることもあります。自己判断で薬をやめたり、量を変えたりしないでください。
手術が検討される場合
ごくまれに、薬やリハビリで改善しない重度のメニエール病や、耳の腫瘍(聴神経腫瘍)が原因の場合に、手術が検討されることがあります。ほとんどの方は手術を必要としません。
この病気と共に生きる
めまいがあっても、日常生活を工夫することで安全に過ごせます。めまい発作の前兆を感じたら、すぐに座って転倒を防ぎましょう。家の中は整理整頓して、つまずく原因を取り除いてください。夜間のトイレに行くときは、小さな灯りをつけて足元を確認しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとり、疲れをためない。
- ストレスを上手に発散する(趣味や軽い運動など)。
- カフェインやアルコールは控えめにする。
- 急な立ち上がりや首のひねりを避ける。
食事と運動
バランスの良い食事を心がけてください。メニエール病の方は、塩分を控えることがすすめられることがあります。運動は、無理のない範囲で行いましょう。ウォーキングや水中歩行など、バランスを鍛える運動が効果的ですが、転倒に注意してください。理学療法士の指導のもとで前庭リハビリを行うこともあります。
精神的健康と心の健康
めまいが続くと、外出するのが不安になったり、人前で倒れるのではないかという恐怖を感じたりすることがあります。また、めまいの不快感から気分が落ち込むこともあります。そうした気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や医師、地域の相談窓口に話してみましょう。必要に応じて、心のケアの専門家に相談することもできます。
予防
すべてのめまいを予防することはできませんが、転倒リスクを減らすための対策は可能です。バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理、十分な睡眠を心がけましょう。また、持病(高血圧や糖尿病など)をきちんと管理することも、めまいの予防につながります。
検診プログラム
めまいを予防するための特別な検診はありませんが、健康診断で血圧や血糖値、血中脂質などを定期的にチェックし、生活習慣病の管理をすることが役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 転倒による骨折(特に大腿骨頸部骨折や頭部外傷)
- めまいを怖がって外出しなくなり、筋力低下や寝たきりのリスクが高まる
- うつ状態や不安障害につながることがある
- 原因が脳卒中などの場合、治療が遅れると後遺症が残ることがある
長期的な見通し
めまいは多くの場合、適切な治療と生活の工夫で改善します。良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、耳石置換法で一度で治ることも多いです。メニエール病など慢性的なめまいでも、薬やリハビリ、生活習慣の改善で発作を減らし、日常生活を快適に送ることが可能です。あきらめずに、医療機関に相談してください。
サポートを探す
地域の団体
- 地域包括支援センター · 日本
- 耳鼻咽喉科診療所(かかりつけ医) · 日本
相談窓口
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。