乳児の疝痛(コリック):評価と診断のポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乳児の疝痛(コリック)は、健康な赤ちゃんが特別な原因もなく、長い時間激しく泣き続ける状態のことです。赤ちゃんがとても苦しそうに泣いても、医学的には特別な問題が見つからないことが多く、適切な対応をすれば自然に治る経過がほとんどです。
重要な事実
- 疝痛は、生後2週間から3ヶ月の赤ちゃんに多く見られます。
- 「1日3時間以上、週3日以上、3週間以上続く泣き」が診断の目安です。
- 疝痛だけで赤ちゃんの成長に問題があることはほとんどありません。
はい。乳児のおよそ20%(5人に1人)に認められると言われています。
生後2週間から4ヶ月頃の健康な赤ちゃんに見られます。男女差はあまりなく、母乳でもミルクでも起こります。
症状
- 呼吸が速くて苦しそう、または息を止めている
- 唇や顔色が青白い、または紫っぽい
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとしている
- けいれんを起こしている
- こうした症状がある場合は、ためらわず119番(救急)へ電話してください。
- ⚠生後3ヶ月未満で38度以上の発熱がある
- ⚠くり返し吐く、緑や血の混じった嘔吐がある
- ⚠うんちに血が混じる、または激しい下痢
- ⚠水分がほとんど取れず、おしっこの回数が大きく減る
- ⚠泣き方がいつもと違って金切り声のように聞こえる
一般的な症状
- 理由がなく、夕方から夜にかけて激しく泣く
- 1回の泣きが数時間続き、あやしても泣き止みにくい
- 顔が真っ赤になり、拳を強く握る
- 足を伸ばしたり曲げたり、背中をそらす
- おならをよくする
子供の症状
- 生後2週間頃から、1日3時間以上、週3日以上の泣きが続く
- 泣いている間に、吐き戻しや不安げな表情が見られる
- 体重は順調に増え、機嫌のよい時間はいつも通りである
高齢者の症状
- 乳児の疝痛は大人には見られないため、特有の症状はありません。
原因
主な原因
- はっきりした原因はまだ分かっていません。
- 消化器官が未熟で、おなかにガスがたまりやすいという考え方
- 刺激が多すぎて脳の調整が追いつかず、泣きで表現しているという考え方
- 授乳時などに空気をたくさん飲んでしまい、おなかが張るという考え方
リスク要因
- 妊婦の喫煙(たばこ)
- 両親の胃腸や神経系の病気の家族歴
- 男児でやや多いとの報告もあります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上の「緊急」に挙げたサインがあるとき
- 泣きが長時間続き、ぐったりしている
- 発熱や下痢、嘔吐を伴って泣いている
定期受診を予約すべき場合:
- 体重が増えているか心配なとき
- 泣く様子が初めに気づいた時よりも激しくなったとき
- 赤ちゃんの育て方が不安で疲れてしまったとき
診断
疝痛は特別な検査で見つける病気ではなく、赤ちゃんの様子や保護者からの話をもとに診断します。まず、ほかの病気が隠れていないかを確認し、健康な赤ちゃんの泣きであるかを小児科医が判断します。
行われる可能性のある検査
- 通常は不要です。
- 必要があれば、体重測定や成長曲線のチェック
- 熱や症状に応じて、尿検査や血液検査、画像検査を行うことがあります
診察で予想されること
診察では、泣く時間帯や頻度、うんちの様子、授乳(母乳・ミルク)の様子などを詳しく聞かれます。また、おなかや全身を診て、感染やおなかの張りの原因を見つけるための確認をします。10分程度の問診と診察で、多くの場合は方針がはっきりします。
治療
疝痛そのものを止める特効薬はありません。大切なのは、原因になる病気がないことを確認し、赤ちゃんに合わせた「泣きをやわらげる工夫」を安全な範囲で試しながら、保護者がゆとりを持って育てられるようにすることです。
自宅でのセルフケア
- 赤ちゃんを縦に抱っこしてゆっくり揺らす(頭と背中を支えて)
- おなかを上にした状態で足を動かす、おなかをやさしくマッサージする
- ホワイトノイズのような「シーッ」という音や、穏やかな音楽を流す
- 部屋の明かりを暗くして刺激を減らす
- 授乳の後はげっぷをしっかりさせる
- 赤ちゃんを揺さぶらず、一度寝かせて数分間リラックスするのも手です
医療治療
医療機関では、特別な薬や治療が通常は行われません。母乳で育てている場合、医師から「お母さんが乳製品など一部の食品を一時的に控えて様子を見てみましょう」と提案されることはありますが、自己判断で食事を制限せず、必ず医師の指示に従ってください。また、市販の整腸剤や漢方薬を使う前に、まず医師や薬剤師に相談しましょう。
手術が検討される場合
不要
この病気と共に生きる
赤ちゃんが激しく泣くと、保護者が「自分が悪いのでは」と感じることもあるかもしれませんが、疝痛はあなたの育て方のせいではありません。泣く時間は赤ちゃんの成長の一過程です。数分ずつでよいので自分の時間を確保し、1日に何度か短い休憩を入れるようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- できるだけ交代で夜間の対応をする
- 家族や友人に頼んで気分転換の時間を作る
- 夕方の泣きがピークになるまえに、赤ちゃんが眠れる環境を整える
- 保護者自身の睡眠と水分補給を第一に考える
食事と運動
母乳育児の場合、お母さんの食事が赤ちゃんの泣きに直接関係するという確かな証拠はありません。特定の食品を急に制限する必要はなく、医師と相談しながら必要な場合だけ対応します。運動は保護者のストレス解消に役立ちますが、無理はしない範囲で行いましょう。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの泣き続きは、保護者に強い疲労感や焦り、睡眠不足、落ち込みをもたらすことがあります。泣き声が続くとイライラしたり、涙が出たりするのは自然な反応です。でも、赤ちゃんを揺さぶることは絶対に避けてください。どうしても耐えられないときは、赤ちゃんを安全な場所に置いてその場を離れる勇気を持ちましょう。
予防
疝痛そのものを予防する確実な方法は分かっていません。しかし、赤ちゃんの空腹や眠気、不快感に早めに対応することで、泣きの長さを短くできることがあります。また、妊婦が喫煙しないことは赤ちゃんの健康全般にとって大切です。
ワクチン
この病気と直接関連するワクチンはありませんが、定期予防接種を通じて感染症から赤ちゃんを守ることが、不要な泣きの原因を減らすことにつながります。
検診プログラム
疝痛のための特別なスクリーニング検査はありません。乳幼児健診(母子保健法に基づく健診)で体重や発達を確認し、必要に応じて小児科医が評価します。
合併症
治療しない場合
- 疝痛自体でお腹や体に障害が残ることはありません。
- ただし、長時間の泣きが続くと保護者が疲れ果てたり、強いストレスを感じることで、赤ちゃんへの対応が乱れやすくなります。
- 特に、赤ちゃんを激しく揺さぶる「揺さぶられっ子症候群」は命に関わる重大な傷害です。決して揺さぶらず、泣きに耐えられないときは安全な場所に寝かせて離れることが必要です。
長期的な見通し
疝痛は自然に治る経過がほとんどで、生後4〜5ヶ月頃には泣く時間が明らかに減り、機嫌の良い時間が長くなってきます。赤ちゃんの健康と成長に問題がないのですから、保護者は肩の力を抜いて、ゆったりとした気持ちで過ごしてください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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