腹腔鏡下子宮内膜症手術
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腹腔鏡下子宮内膜症手術とは、お腹に小さな穴を数か所あけ、カメラのついた細い管(腹腔鏡)を入れて、子宮内膜症の組織(内膜症病変)を取り除く手術です。傷が小さく、入院期間も短いのが特徴です。
重要な事実
- 子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるべき内膜に似た組織が、卵巣や腹膜など他の場所にできる病気です。
- 腹腔鏡手術は、開腹手術よりも体への負担が少なく、回復が早いとされています。
- 手術によって痛みの改善や妊娠しやすくなることが期待できますが、再発の可能性もあります。
腹腔鏡下子宮内膜症手術は、子宮内膜症に対する標準的な手術方法の一つで、多くの施設で行われています。
主に妊娠可能な年齢の女性にみられる病気で、特に20代~40代に多く見られます。
症状
- 突然の激しい腹痛や骨盤痛
- 大量の出血(1時間にナプキン1枚以上が濡れる程度)
- めまいや失神を伴う痛み
- 発熱を伴う腹痛
- ⚠我慢できないほどの痛みが続く
- ⚠痛みが徐々に悪化している
- ⚠排泄が困難になるほどの痛み
一般的な症状
- 月経時の強い腹痛(月経困難症)
- 月経時以外の骨盤内の痛み
- 性交時の痛み
- 排便時や排尿時の痛み(特に月経時に強い)
- 月経量が多い、または月経周期が不規則
子供の症状
- 10代でも発症することがあり、強い月経痛や腹痛が続く場合は注意が必要です。
高齢者の症状
- 閉経後は症状が落ち着くことが多いですが、ホルモン療法を受けている場合などは症状が続くこともあります。
原因
主な原因
- 原因はまだ完全には解明されていませんが、月経血が逆流して腹腔内に広がる「月経血逆流説」が有力です。
- 免疫の異常や遺伝的要因も関係していると考えられています。
リスク要因
- 初経が早い(12歳以下)
- 月経周期が短い(27日未満)
- 経血量が多い
- 子宮内膜症の家族歴がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 市販の痛み止めが効かないほどの強い月経痛がある
- 月経以外でも頻繁に骨盤痛がある
- 性交痛が気になる
- 妊娠を希望していて、なかなか妊娠しない
定期受診を予約すべき場合:
- 月経痛が毎回ひどく、学校や仕事に支障が出る
- 定期的な婦人科検診で内膜症を指摘された
- 痛みの程度が変化してきた
診断
問診、内診、超音波検査(エコー)などで診断します。確定診断には腹腔鏡検査が必要な場合もあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の詳しい確認)
- 内診(腟からの触診)
- 超音波検査(経腟または腹部)
- MRI検査(必要に応じて)
- 血液検査(CA125などの腫瘍マーカー)
- 腹腔鏡検査(確定診断のゴールドスタンダード)
診察で予想されること
医師があなたの症状や検査結果をもとに、内膜症の程度を評価します。腹腔鏡手術が必要かどうか、他の治療法と合わせて話し合います。手術の前に、検査や入院の説明が行われます。
治療
治療は、痛みのコントロール、内分泌療法(ホルモン剤)、手術を組み合わせて行います。症状の程度や年齢、妊娠希望によって最適な方法が選ばれます。
自宅でのセルフケア
- 温める(カイロや入浴で骨盤周辺を温める)
- 軽いストレッチやウォーキングなどの適度な運動
- バランスの良い食事を心がける(特に鉄分やビタミンを意識して)
- ストレスをためないようにする(趣味やリラックス法を取り入れる)
医療治療
痛みに対しては、消炎鎮痛剤(痛み止め)が用いられます。ホルモン療法として、低用量ピルや黄体ホルモン剤、GnRHアゴニストなどがあり、病変の進行を抑え症状を緩和します。これらは医師の処方のもとで使用します。
手術が検討される場合
薬物療法で効果が不十分な場合や、内膜症による不妊がある場合、卵巣のう腫(チョコレートのう腫)が大きい場合などに、腹腔鏡下手術が検討されます。手術では、内膜症病変を切除・焼灼し、正常な組織を温存します。
この病気と共に生きる
痛みが強いときは無理をせず、休むことも大切です。症状の記録(いつ、どんな痛みがあったか)をつけると、医師に伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- 睡眠をしっかりとる
- 適度な運動を続ける(痛みのない範囲で)
- 喫煙は避ける(タバコは痛みを悪化させることがある)
食事と運動
抗炎症作用のある食材(青魚、オリーブオイル、野菜、果物)を積極的に取り入れましょう。激しい運動は避け、ヨガやピラティスのようなゆったりした運動もおすすめです。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや不妊への不安から、うつや不安を感じることがあります。そうした気持ちは自然なことです。必要に応じて心の専門家(カウンセラーや精神科医)に相談することも大切です。
予防
子宮内膜症を完全に予防する方法はまだありません。しかし、早期発見・早期治療によって症状の悪化を防ぎ、生活の質を保つことができます。
検診プログラム
特別な検診はありませんが、定期的な婦人科受診(年に1回程度)が早期発見に役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 慢性の骨盤痛が続く
- 不妊の原因となる
- 卵巣のう腫(チョコレートのう腫)が大きくなる
- 腸や膀胱など周囲の臓器に癒着を起こす
長期的な見通し
適切な治療により、多くの女性で症状が改善します。腹腔鏡下手術は痛みや妊娠率の向上に期待でき、再発予防のための治療も組み合わせることで長期的な安定も見込めます。希望を持って治療に取り組んでください。
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最終更新: 2026年7月31日
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