運動後に子どもが耳を痛がる?耳の感染症(中耳炎・外耳炎)をやさしく解説
概要
運動や水遊びのあとに、子どもが耳の痛みを訴えることがあります。多くは、耳の奥(中耳)の炎症「中耳炎」か、耳の入り口から鼓膜までの外耳道の炎症「外耳炎」です。ウイルスや細菌が耳の中に入ったり、鼻水や水がたまって炎症を起こします。
重要な事実
- 運動後すぐの耳の痛みは、汗や水が外耳道に残ることで起こる「外耳炎」や、鼻水が耳管を通って中耳に入る「中耳炎」が原因で、どちらも子どもに多いです。
- 痛みのほか、発熱や耳だれ、聞こえにくさなどがあれば、早めに医療機関の診察を受けましょう。
- 多くは、早めに受診して適切なケアをすれば、数日から1週間ほどでよくなります。
はい。子どもは大人に比べて耳管(耳と鼻の奥をつなぐ管)が短くて太く、風邪や鼻水のあとに中耳炎になりやすいです。また、夏のプールや水泳のあとに外耳炎を起こすことも多いため、子どもにとってよくある感染症のひとつです。
特に乳幼児から小学生くらいまでの子どもに多く見られます。保育園や幼稚園に通うお子さん、風邪をひきやすいお子さん、水泳や水遊びをよくするお子さんは注意が必要です。
症状
- 高熱とともにぐったりしている
- けいれん(ひきつけ)を起こした
- 意識がぼんやりしている
- 耳の痛みに加えて、顔や首が大きく腫れて呼吸が苦しそう
- ⚠急激に強い耳の痛みがある
- ⚠発熱が続いている
- ⚠耳だれや血が混じった汁が出ている
- ⚠耳の周りが赤く腫れて押すと強く痛がる
- ⚠生後3か月未満の赤ちゃんに発熱や耳を触る仕草がある
一般的な症状
- 耳の痛み(耳を引っ張って痛がる、触る、泣く)
- 耳が詰まった感じ・聞こえにくい
- 発熱(37.5℃以上になることも)
- 耳だれ(耳から黄色い汁が出る)
- 耳のまわりが腫れて赤くなる
子供の症状
- 言葉で伝えられない子は、耳を触る、頭を振る、機嫌が悪い、夜泣きなどの行動で示す
- 授乳中に耳が痛くて飲むのをやめる
- 風邪をひいたあとに高熱や耳の痛みを訴える
高齢者の症状
- この記事は子どもの耳感染症についての内容です。高齢者の場合は症状や対応が異なることがあるため、該当する場合は医師に相談してください。
原因
主な原因
- 風邪やインフルエンザなどのウイルス感染
- 細菌感染(中耳炎の原因になる)
- プールや水浴びで耳に水が入り、外耳道に細菌やカビが増える
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による鼻水が耳管へ逆流する
リスク要因
- 乳幼児や小学生などの年齢
- 風邪をひきやすい時期(冬や季節の変わり目)
- 水泳・プールの利用
- 保育園や幼稚園などの集団生活
- ミルクや母乳を飲みながら寝ることがある
- タバコの煙などの環境要因
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳の激しい痛みで泣き続ける
- 高熱(38℃以上)が出た
- 耳だれや出血がみられる
- 耳の周りが赤く腫れてきた
- 「耳が聞こえにくい」と言った
- 乳児はいつもより機嫌が悪く、ミルクや母乳を飲まない
定期受診を予約すべき場合:
- 少しの耳の痛みだけで、発熱がない場合
- プールのあとに軽く耳が痛いが、次の日にはよくなっている場合
- 夜中に泣いて耳を触るが、朝には元気がある場合
診断
医師は、耳の穴の中をライトで照らす「耳鏡」を使って鼓膜や外耳道の状態を確認します。必要に応じて、鼻やのども診て感染の原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡(オトスコープ)で鼓膜や外耳道の状態を観察する
- ティンパノメトリー(鼓膜の動きを測る検査)
- 耳だれがある場合、原因となる細菌を調べる培養検査
診察で予想されること
診察自体は痛みを伴いません。子どもがじっとしているのは難しいこともあるため、保護者が抱っこやお膝の上で支え、看護師がサポートします。診察のあと、家庭でのケアのポイントと受診の目安を説明してもらえます。
治療
治療は感染の場所と原因によって異なります。中耳炎の多くはウイルスや細菌が原因で、痛みと炎症を和らげる薬を使います。外耳炎は外耳道を清潔にし、医師が処方する点耳薬や消炎薬を使うことが一般的です。必ず医師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- 耳の中を触らず、清潔に保つ
- お風呂やシャワーのときは耳に水が入らないように、清潔なコットンを軽くワセリンで湿らせて耳の穴に当てる
- 痛いほうの耳を上にして寝ると痛みが楽になることがある
- 安静にし、水分をしっかりとる
- 市販薬を利用する場合も、小児科医・耳鼻科医・薬剤師に相談してから使う
医療治療
医師は、症状や年齢に合わせて抗生物質や消炎鎮痛薬、点耳薬などを処方します。抗生物質が処方された場合は、途中でやめずに指示された期間と量を守りましょう。痛みが強い場合も、医師が適切な薬を選んでくれます。
手術が検討される場合
ごくまれに、中耳炎が長引いたり繰り返したりする場合や、鼓膜の後ろにたまったうみが自然に抜けない場合には、鼓膜に小さな切開をしてうみを出す手術が検討されることがあります。子どもへの負担が少ない方法で、まずは耳鼻科医と保護者がよく話し合って決めます。
この病気と共に生きる
耳の痛みが続く間は、激しい運動や水泳はひかえ、家の中で静かに過ごしましょう。治ったあとも、プールは医師の許可が出るまで待ちます。
生活習慣のアドバイス
- 耳を触る・こする習慣に注意し、爪を短く切っておく
- タオルやティッシュは清潔なものを使用する
- 寝るときは痛いほうの耳を上にする
- 部屋の乾燥を防ぐために加湿をする
食事と運動
水分補給をこまめにしましょう。食事は、痛みがあるときは無理に大きく噛ませず、柔らかいおかずやスープなどで食べやすく工夫してください。運動は耳の痛みが治まるまで休み、水泳は医師の許可が下りてから再開します。
精神的健康と心の健康
子どもは痛みや不安をうまく言葉で表現できないことがあり、不機嫌になったり夜泣きが続くこともあります。保護者の方も睡眠不足になりがちです。必要以上に心配しすぎず、かかりつけ医や学校の養護教諭、地域の子育て相談窓口に話を聞いてもらいましょう。
予防
すべての耳感染症を予防することはできませんが、リスクを減らすことはできます。手洗い・うがい、風邪の予防、プールのあとに耳の水分を拭き取る、指で耳の掃除をしないなどの工夫で、感染の可能性を下げられます。
ワクチン
日本では、小児の肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンが定期接種となっており、中耳炎の原因となる細菌への感染を減らす効果が期待できます。厚生労働省の予防接種スケジュールに沿って、かかりつけ医と相談しましょう。
検診プログラム
耳感染症のための特別な検診はありませんが、乳幼児健診や学校健診の聴力検査で見つかることもあります。耳の症状がなくても、気になることがあれば医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 中耳のうみが破れて鼓膜に穴が開く(鼓膜穿孔)
- 治りきらずに、うみが鼓膜の奥にたまり続ける「滲出性中耳炎」へ移行する
- まれに、耳の後ろの骨に炎症が広がる「乳様突起炎」を起こす
- 長引くと聞こえにくさが続くことがある
長期的な見通し
きちんと治療を受ければ、多くの子どもの耳感染症は1〜2週間以内によくなります。治療が遅れても、今は有効な治療法がたくさんあるので、心配しすぎなくて大丈夫です。医師と一緒に、お子さんの状態に合った治療を続けていきましょう。
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最終更新: 2026年7月31日
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