寝ると悪化する子どもの耳の痛み—中耳炎の理解とケア
概要
これは、子どもの中耳に炎症が起きる病気です。「中耳」は鼓膜の内側にある小さな部屋で、感染や炎症が起こると液体がたまり痛みが出ます。横になると液体の圧力が高まり、耳の奥がズキズキと痛むため、寝ると症状が悪化します。
重要な事実
- 多くの場合、風邪をひいた後に起こります。
- 横になると耳の圧力が上がるため、痛みが強くなることがあります。
- きちんとケアすれば、ほとんどの場合は数日で回復します。
とてもよくある病気です。3歳までにほぼすべての子どもが少なくとも1回はかかると言われています。
特に6か月から2歳くらいの乳幼児に多く見られます。大人にも起こりますが、子どもほど頻繁ではありません。
症状
- けいれんが起きた
- 意識がもうろうとして呼びかけに反応しない
- 息が苦しそう
- 首が硬い(頭を前に曲げにくい)
- 激しい頭痛がある
- 耳の後ろが赤く腫れて熱を持つ
- ⚠高熱が続いている
- ⚠耳の痛みがひどく、医師や薬剤師に勧められた痛み止めを使っても治まらない
- ⚠耳から血やうみが出てきた
- ⚠4〜5日たってもよくならない
- ⚠子どもがぐったりしている
一般的な症状
- 耳の痛み(特に横になると悪化する)
- 泣いたり、機嫌が悪くなったりする
- 耳を触る・引っ張る
- 眠れない
- 耳だれ(耳から液体が出る)
子供の症状
- 年長の子どもは「耳が痛い」「耳が詰まった感じ」と話すことがあります。
- 聞こえにくくなる、耳のつまり感、頭痛、食欲がないといった症状も見られます。
- 乳幼児では、理由なく泣き続ける、ミルクや母乳を飲むのを嫌がる、といったサインだけのこともあります。
原因
主な原因
- 風邪やインフルエンザなどの後に、鼻やのどの細菌・ウイルスが耳管(耳と鼻をつなぐ管)を通って中耳に入り込む
- 中耳に液体がたまり、細菌が繁殖する
- 耳管の機能が未熟で、液体がうまく排出されない
リスク要因
- 年齢(特に6か月〜2歳)
- 哺乳瓶で飲みながらの授乳(寝かせたままの授乳)
- おしゃぶりの使用
- 受動喫煙(タバコの煙を吸う環境)
- 集団保育(保育園など)
- 兄弟姉妹がいる
- アレルギー性鼻炎や喘息の既往
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳の痛みが強く、夜も眠れない
- 高熱が出ている
- 耳だれが続く
- ぐったりしている
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の痛みが1日以上続く
- 中耳炎を頻繁に繰り返す
- 聞こえが悪くなったような気がする
診断
医師は耳の穴をライトで照らして鼓膜の状態を見ます。鼓膜が赤く腫れていたり、うみがたまって膨らんでいたら中耳炎と診断します。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡で鼓膜を観察
- 空気式耳鏡で鼓膜の動きを確認
- ティンパノメトリー(鼓膜の動き・中耳の圧力を測る検査)
- 必要に応じて聴力検査
診察で予想されること
お子さんが泣いたり動いたりしても、診察自体はすぐに終わります。看護師や医師が体を支えながら行いますので、安心してください。
治療
多くの急性中耳炎はウイルスが原因で自然に治ります。まずは痛みを和らげるケアをし、医師の指示に従って治療します。細菌感染が疑われ、症状が重い場合や小さいお子さんの場合は、抗菌薬が使われることもあります。
自宅でのセルフケア
- 痛みがつらいときは、医師や薬剤師に年齢に合った痛み止めを相談してください
- 冷却タオルや氷のうで耳のまわりを冷やす(気持ちよくない場合は無理にしない)
- 横になると痛い場合は、座らせたまま抱っこしたり、上体を少し起こした体勢で休ませる(乳児は安全な姿勢を守り、医師に相談を)
- 水分を十分にとらせる
- 耳の穴に何も入れない
医療治療
医師は、痛みを和らげる薬や、必要に応じて抗菌薬を処方します。抗菌薬は医師の指示通りに、最後まで飲み切ることが大切です。症状が軽い場合は抗菌薬を使わずに様子を見ることもあります。
手術が検討される場合
中耳に液体がたまったまま難聴のリスクがある場合や、繰り返す中耳炎で発育に影響がありそうな場合は、鼓膜に小さなチューブを入れる手術(鼓膜チューブ留置術)が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
痛みが続く間は、無理に寝かせず、抱っこやおんぶで安心させながら過ごすとよいでしょう。日中は静かに遊んで、体を休めます。
生活習慣のアドバイス
- 換気や手洗いなどの基本的な感染対策をする
- タバコの煙を避ける
- 周囲の大人も風邪をひいたらマスクをする
- 寝るときは、安全を確認した上で上体を少し高くする(ただし、乳児は安全面から医師に相談を)
食事と運動
具合が悪い時は、水分をこまめに与え、食べやすいものを少しずつ食べます。お子さんが食べたがったら、通常の食事やおやつを続けてかまいません。ただし、激しい運動は熱や痛みが治まるまで控えます。
精神的健康と心の健康
子どもの耳の痛みはつらく、ぐずったり泣いたりするので、保護者も疲れてしまいます。ときには誰かに助けを求めながら、無理をしすぎないようにしましょう。子ども自身も不安になっているので、優しく声をかけ、寄り添うことが大切です。
予防
完全に防ぐことはできませんが、リスクを減らすことはできます。風邪をひかないように、手洗いや十分な睡眠、バランスのよい食事を心がけましょう。
ワクチン
ワクチン接種は、中耳炎の原因になる細菌やウイルスから守る効果があります。日本では、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなどが中耳炎の予防に役立つと言われています。かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
症状がなくても、定期的な健診で耳の状態や聴力を確認することが大切です。特に中耳炎を繰り返す場合や鼻の病気がある場合は、医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 鼓膜が破れ、耳だれが出る(多くは自然に閉じるが、繰り返すと難聴のリスクがある)
- 中耳に液体がたまったままになる(貯留液)
- はっきりとした聴力低下
- まれに乳様突起炎(耳の後ろの骨の炎症)
- さらにまれに髄膜炎などの重い感染症
長期的な見通し
きちんと診断・治療すれば、ほとんどの中耳炎は数日で良くなります。乳幼児は成長とともに耳管の形も変化するため、年齢が上がるにつれてかかりにくくなります。再発しても、多くの場合、成長とともに自然に治ります。不安なことは医師に相談しましょう。
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最終更新: 2026年7月31日
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