乳児疝痛(赤ちゃんの突然の激しい泣き)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乳児疝痛(にゅうじせんつう)とは、健康な赤ちゃんが理由もなく突然激しく泣き出す発作を繰り返す状態です。泣き方は激しく、なかなか泣きやまないため、保護者の方がとても心配になりますが、多くの場合は特別な治療をしなくても自然に治まります。
重要な事実
- 目安は「1日3時間以上、週に3日以上、3週間以上続く泣き」とされます。
- 疝痛は病気というよりも、赤ちゃんの未熟な消化器官や神経の反応と捉えられています。
- 体重が順調に増えていれば、健康上の大きな問題はありません。
とても一般的な状態で、生後2~4か月までの赤ちゃんの約10~25パーセントにみられます。5人に1人から4人に1人ほどの赤ちゃんが経験すると言われています。
主に生後3週目から始まり、生後3~4か月までの赤ちゃんにみられます。元気で順調に成長している赤ちゃんに起こります。
症状
- ぐったりして意識がもうろうとしている
- 呼吸が苦しそう、または呼吸が止まるような間がある
- けいれんしている
- 顔色が青白い、または土色
- 生後3か月未満で38度以上の発熱がある
- 便に血が混じる、または黒いタールのような便が出る
- ⚠泣き続けて水分がとれない、おしっこがいつもより少ない
- ⚠噴水のように何度も吐く
- ⚠おなかが張って触るのを嫌がる
- ⚠泣き声や反応がいつもと違う(弱々しい、ぐずぐずしている)
- ⚠ミルクや母乳を飲まない
一般的な症状
- 夕方から夜にかけて突然、激しく泣く
- 声を限りに泣き続け、なかなか泣きやまない
- 顔が真っ赤になり、手足をバタバタさせる
- おなかが張っていて、足を曲げたり伸ばしたりする
- 泣いていないときは機嫌がよく、元気に過ごす
- ミルクや母乳を欲しがるが、飲むとまた泣く
子供の症状
- 生後3週~3か月の赤ちゃんに典型的な症状です。
- 泣き方の発作は1回につき数十分から数時間続くことがあります。
- 発作の間は機嫌よく、体重も増え続けるのが特徴です。
原因
主な原因
- 原因は完全には解明されていませんが、消化器官が未熟で、腸内にガスが溜まりやすいことが関係していると考えられています。
- 腸の動きや神経の発達が未熟なために、少しの刺激で痛みや不快感を感じやすいという説があります。
- 出生後の腸内細菌のバランスが整うまでの過程が関与しているとも言われています。
- 過敏な気質や、保護者の不安や緊張が赤ちゃんに伝わることが影響するという考え方もあります。
リスク要因
- 生後3週~3か月の時期
- 早産や低出生体重で生まれた赤ちゃん
- 家庭内でのタバコの煙(受動喫煙)
- 人工乳(粉ミルク)で育てられている赤ちゃんは母乳育児に比べてやや多いという研究があります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 泣き方が異常に激しく、なかなか治まらない
- 水分が取れない、おしっこが6時間以上出ない
- 発熱、嘔吐、下痢、血便がある
- ぐったりしていて反応が弱い
定期受診を予約すべき場合:
- 赤ちゃんの泣き方やおなかの状態について、かかりつけの小児科医に相談したい
- 健康診査や予防接種の際に、気になることをまとめて医師に相談する
診断
医療機関では、まず看護師や医師が赤ちゃんの様子を詳しく聞き、全身を診て、ほかの病気ではないことを確認します。典型的な経過と身体診察で「乳児疝痛」と診断されます。
行われる可能性のある検査
- 体重を測って成長のペースを確認
- おなかの触診(押して痛がらないか確認)
- 発熱や嘔吐がある場合は、尿検査、血液検査、腹部超音波検査(エコー)などを行うことがあります。
診察で予想されること
疝痛と診断されれば、特別な検査や入院が必要になることはほとんどありません。医師からは「時間とともに良くなりますよ」と説明され、自宅での過ごし方についてアドバイスがあります。
治療
乳児疝痛には、根本的に治す薬はありません。赤ちゃんをしっかり安全に抱っこし、揺らしたり、げっぷをさせたりなど、様々な方法を試しながら、赤ちゃんが落ち着く方法を探すことが治療の基本です。
自宅でのセルフケア
- 授乳後は必ずげっぷをさせ、ゲップが出たらまた抱っこして落ち着かせる
- 赤ちゃんをおなかの上にうつぶせにする(起きているときだけ、必ずそばで見守る)
- 部屋の温度を快適にし、締め付けのない服を着せる
- おしゃぶりを試してみる(本人が好む場合があります)
- 静かな環境で、ゆっくりと揺らしながら抱っこする
- 車やベビーカーで少し外の空気を吸う
- 肌の触れ合い(スキンシップ)や、包み込むようにタオルでくるむ(スワドル)
- 保護者が限界を感じたら、赤ちゃんを安全な場所(ベッドなど)に置き、別の部屋で深呼吸や休憩を取る
医療治療
医師は必要に応じて、ガスを排出しやすくする薬や、腸内細菌を整えるプロバイオティクスを提案することがあります。ただし、薬は医師の処方が必要です。市販薬を自己判断で使わないでください。点滴や入院が必要なことはほとんどありません。
手術が検討される場合
疝痛そのものに手術は必要ありません。ただし、激しい泣きのなかに「腸重積」という手術が必要になる病気が隠れていることがあるため、医師はその可能性を検査で除外します。
この病気と共に生きる
赤ちゃんの泣く時間帯や長さ、対処した方法、その後の様子をメモすることで、パターンが見えてくることがあります。保護者が「いつか終わる」と思えることが、毎日を乗り越える支えになります。
生活習慣のアドバイス
- 交代で赤ちゃんを見るなど、保護者自身の休息時間を確保する
- 気分転換に短時間の散歩をする
- 『親のせいではない』と自分を責めない
- 夫婦や家族、友人に気持ちを話す
食事と運動
授乳は赤ちゃんが欲しがるたびに続けましょう。母乳の場合は、保護者の方の食事が直接疝痛の原因になることはほとんどありません。赤ちゃん向けの食事や運動に関する特別な制限はありませんが、保護者の方は普段の食事や運動で気分転換を図るとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの泣きが続くと、保護者は疲れや不安、イライラ、無力感を感じることがあります。これは非常に自然な反応です。しかし、強いストレスから赤ちゃんを強く揺さぶることは絶対に避けなければなりません。限界を感じたら、赤ちゃんを安全な場所に置き、その場を離れて深呼吸や友人への連絡をしましょう。また、自分や赤ちゃんを傷つけたいという考えが浮かんだときは、1人で抱えず、すぐに119番(救急)に電話してください。
予防
疝痛を完全に予防する方法は、今のところありません。しかし、規則正しい授乳と睡眠、赤ちゃんの気質に合った落ち着く方法を見つけることや、家庭内のストレスを減らすことが、泣きの回数を減らす助けになる可能性があります。
ワクチン
ワクチンは疝痛を予防するものではありませんが、定期接種(生後2か月から)のスケジュールをかかりつけ医に確認し、受け漏れがないようにしましょう。
検診プログラム
新生児聴覚検査や、1か月・3か月の乳児健診は、疝痛ではなく別の病気を早期に見つけるために大切です。必ず受けてください。
合併症
治療しない場合
- 疝痛そのものは健康に重大な影響を及ぼしませんが、放置すると保護者の睡眠不足やストレスが蓄積し、日常生活に支障を来すことがあります。
- 最も注意したい合併症は「揺さぶられ症候群」です。強いストレスに耐えられず、赤ちゃんを激しく揺さぶってしまうことで、赤ちゃんが脳障害を負う恐れがあります。
- 非常にまれですが、疝痛と似た症状で「腸重積」や「ヘルニア」などの外科的病気が隠れている場合があります。
長期的な見通し
乳児疝痛は、赤ちゃんの成長とともに自然に良くなります。生後3か月を過ぎると目に見えて落ち着き、4~5か月頃にはほぼ解消します。赤ちゃんの脳や体が成熟する過程の一現象であり、長期的な発達に問題を残すことはまずありません。保護者の皆さんが心身ともに健康でいられることが、赤ちゃんにとって何よりの薬です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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