Alcohol use disorder
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
アルコール使用障害(あるこーるしようしょうがい)は、お酒を飲むことを自分でコントロールできなくなる病気です。飲む量や回数を減らそうとしても難しく、仕事や人間関係に問題が起きてもやめられない状態が続きます。これは単なる「お酒の飲みすぎ」ではなく、脳の働きが変わる病気です。
重要な事実
- アルコール使用障害は、治療が必要な病気です。
- 飲酒量が多くなくても発症することがあります。
- 治療により回復が可能です。
アルコール使用障害は決して珍しい病気ではありません。日本では、ある程度の飲酒習慣がある方のうち、数パーセントから十数パーセントが該当するとされています(厚生労働省の調査による)。多くの人が悩んでいる病気です。
どの年代、性別でも発症する可能性があります。特に20~50代の働き盛りの世代に多く見られますが、高齢者や若年者にも起こります。遺伝的な要因や心理的なストレス、環境が関係します。
症状
- 飲酒後に意識がない・呼びかけに反応しない
- けいれん(ひきつけ)が起きている
- 激しい嘔吐で水分が取れない
- 幻覚(実際にはないものが見える・聞こえる)がある
- 激しい震えや混乱がある
- 自殺をほのめかす言葉がある
- ⚠飲酒を急にやめた後、強い離脱症状(発汗、心拍数の増加、不安、不眠、吐き気など)がある
- ⚠飲酒が原因でけがをした
- ⚠家族や周囲から強く心配されている
一般的な症状
- 飲酒量が増える
- 飲酒をコントロールできない
- 飲酒を減らそうとするとイライラ、不眠、汗などの離脱症状(りだつしょうじょう:飲酒をやめたときに現れる不快な症状)が出る
- 仕事や家事をおろそかにする
- 飲酒のために大切な活動をやめる
- トラブルがあっても飲酒を続ける
- 同じ酔いを得るために以前より多くの酒が必要になる(耐性)
- 飲酒に関する考えが頭から離れない
- 飲酒のための時間を多く取る
- 健康問題があっても飲酒を続ける
子供の症状
- 学校の成績低下
- 友人関係のトラブル
- 無断欠席
- 家庭内での問題
- アルコールを隠して飲むなどの行動
高齢者の症状
- 転倒や骨折のリスク増加
- 記憶障害や認知機能(にんちきのう:考える・覚える力)の低下
- 他の薬との相互作用
- 孤独感やうつ症状の悪化
- 少量の飲酒でも影響が出やすい
原因
主な原因
- 脳の報酬系(ほうしゅうけい:快感を感じる仕組み)の働きが変化すること
- 遺伝的な要因
- 心理的なストレスや不安
- 周囲の飲酒環境や文化
リスク要因
- 家族にアルコール使用障害の人がいる
- 幼少期のトラウマや虐待経験
- うつ病や不安障害などの精神疾患
- ストレスの多い環境
- 若い年齢での飲酒開始
- 大量飲酒の習慣
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
- 飲酒を止められずに日常生活が著しく困難になっている場合
- 自殺念慮(じさつねんりょ:自殺したいという考え)がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- もしかしたら自分はアルコール使用障害かもしれないと感じたら、早めに医療機関(内科、精神科、またはアルコール外来)に相談してください。
- 定期的な健康診断で肝機能などの異常を指摘された場合も相談のきっかけになります。
診断
医師があなたの飲酒習慣や症状、生活への影響について詳しく質問します。また、簡単な質問票(AUDITなど)を使うこともあります。身体的な検査や精神状態の評価も行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能や栄養状態の確認)
- 場合によっては脳画像検査(CTやMRI)
診察で予想されること
診断は一度の診察で完了することもあれば、数回の通院を要することもあります。医師はあなたの状況を理解し、あなたに合った治療計画を一緒に考えます。診断を受けることに不安があるかもしれませんが、それは回復への第一歩です。
治療
アルコール使用障害の治療は、断酒(お酒をまったく飲まないこと)を目指す方法と、飲酒量を減らすことを目指す方法があります。治療は医師やカウンセラー、自助グループなどのサポートを受けながら進めます。個人の状況に合わせて治療計画を立てます。
自宅でのセルフケア
- 飲酒のきっかけとなる場所や状況を避ける(例:お酒のあるパーティーに行かない)
- ストレス解消法を飲酒以外で見つける(散歩、趣味、運動)
- 信頼できる人に悩みを話す
- 飲酒日記をつけて自分の飲酒パターンを把握する
医療治療
治療には、外来でのカウンセリングや精神療法、断酒を支援するための薬物療法などがあります。薬物療法では、飲酒したい欲求を抑えたり、飲酒した場合に不快な反応を起こさせる薬が用いられることがありますが、医師の処方のもとで使用します。入院治療が必要な場合は、集中したプログラムが提供されます。
手術が検討される場合
手術が必要となるケースは一般的ではありませんが、アルコールが原因で肝臓などの臓器に深刻な障害が生じた場合、肝移植(かんいしょく:肝臓の移植手術)などの外科的治療が必要になることがあります。ただし、これは稀です。
この病気と共に生きる
アルコール使用障害と共に生きることは、日々の選択の連続です。断酒を続けるには、自分自身のトリガー(飲酒を誘発する状況)を理解し、対策を立てることが大切です。規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠と栄養を取るよう心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 飲酒以外の楽しみを見つける(新しい趣味、スポーツ、ボランティア)
- 飲酒を促す誘いを丁寧に断る方法を練習する
- 定期的にカウンセリングや自助グループに参加する
- ストレス管理(深呼吸、瞑想、リラクゼーション)を習慣にする
食事と運動
バランスの良い食事と適度な運動は、回復を支える土台です。特に、アルコールが原因で栄養不足になりがちな方は、ビタミンB群や葉酸を多く含む食品(野菜、果物、魚など)を意識して摂りましょう。運動はストレス軽減や気分の改善にも役立ちます。
精神的健康と心の健康
アルコール使用障害は、うつ病や不安障害などの他の精神疾患と合併しやすいことが知られています。また、罪悪感や自己嫌悪、孤立感を感じることもあります。これらの気持ちに対して、専門家のサポートや仲間の力を借りることが重要です。決して一人で抱え込まないでください。
予防
アルコール使用障害の完全な予防は難しいですが、リスクを減らすことはできます。適度な飲酒量を守る(厚生労働省の「健康日本21」では、1日あたり純アルコールで男性40g、女性20g程度が適量とされています)、週に2日以上の休肝日を設ける、ストレスへの対処法を複数持つ、早期に問題を認識して相談するなどの対策が有効です。
検診プログラム
定期的な健康診断や、かかりつけ医での簡単な質問(例:「お酒はどのくらい飲みますか?」)で早期発見が可能です。気になる方は、自分でAUDITテスト(インターネットでも見つけられます)を試してみることも一つの方法です。ただし、診断は医師が行います。
合併症
治療しない場合
- 肝硬変や肝炎などの肝臓病
- 膵炎(すいえん:膵臓の炎症)
- 高血圧や心臓病
- 脳萎縮や認知症
- うつ病や自殺リスクの増加
- 仕事の喪失や経済的問題
- 家族関係の破綻
- 交通事故やけがのリスク増加
長期的な見通し
希望を持ってください。アルコール使用障害は治療可能な病気です。多くの人が適切な治療とサポートを受けて回復し、充実した生活を取り戻しています。回復への道は人それぞれですが、一歩を踏み出せば必ず道は開けます。自分を責めずに、まずは専門家に相談することから始めましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月27日
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