Angina
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
狭心症(きょうしんしょう)は、心臓の筋肉に届く血液や酸素が一時的に足りなくなり、胸の痛みや圧迫感などが出る状態です。多くは、心臓に血液を送る血管である冠動脈(かんどうみゃく)が狭くなることで起こります。症状が似ていても原因は人により違うため、自己判断せず、医療機関で相談することが大切です。
重要な事実
- 胸の中央が締めつけられる、押される、重い感じがすることがあります。痛みが肩、腕、首、あご、背中、みぞおちに広がることもあります。
- 運動、階段、寒さ、強いストレス、食後など、心臓に負担がかかる場面で出やすく、休むと軽くなることがあります。
- 急に強い胸の痛みが続く、息苦しい、冷や汗が出る、意識がぼんやりする場合は、心筋梗塞(心臓の血管が詰まり心臓の筋肉が傷つく病気)の可能性もあるため、すぐに119へ電話してください。
狭心症は、特に中高年以降で比較的よくみられる心臓の病気です。日本でも高血圧、糖尿病、脂質異常症(血液中の脂のバランスが崩れる状態)、喫煙などがある人でリスクが高くなります。
主に40歳以降の人に多いですが、若い人でも起こることがあります。男性、閉経後の女性、家族に心臓病がある人、喫煙する人、血圧・血糖・コレステロールが高い人、腎臓の病気がある人は注意が必要です。
症状
- 胸の痛み、圧迫感、息苦しさが強い、または休んでもよくならない場合は、すぐに119へ電話してください。
- 胸の症状と一緒に冷や汗、吐き気、顔色の悪さ、強い不安感、意識がぼんやりする、失神がある場合は119へ電話してください。
- 痛みが胸から腕、肩、首、あご、背中へ広がる場合は119へ電話してください。
- 初めての強い胸痛、今までと違う胸痛、急に悪化した胸痛は119へ電話してください。
- 一人で運転して病院へ行かず、救急車を呼んでください。
- ⚠最近、胸の痛みや息切れが出始めた場合は、同じ日またはできるだけ早く医療機関に相談してください。
- ⚠以前より少ない運動で症状が出る、症状の回数が増えた、長く続くようになった場合は、当日中に相談してください。
- ⚠胸の不快感が軽くても、糖尿病、腎臓病、高血圧、喫煙歴、心臓病の家族歴がある場合は早めに受診してください。
一般的な症状
- 胸の中央が締めつけられる、押される、重い、焼けるように感じる
- 胸の不快感が左腕、両腕、肩、首、あご、背中、みぞおちに広がる
- 息切れ、息苦しさ
- 冷や汗、吐き気、胃もたれのような感じ
- 動いた時や階段を上った時に症状が出て、休むと数分で軽くなる
- 強い緊張、寒い場所、食後、喫煙後などに症状が出る
子供の症状
- 子どもの狭心症はまれです。胸の痛みの原因は筋肉、骨、胃腸、呼吸の問題などさまざまです。
- 運動中に胸痛、失神、強い息切れ、動悸(心臓がドキドキする感じ)がある場合は、早めに小児科または小児循環器の医師に相談してください。
- 先天性心疾患(生まれつきの心臓の病気)や川崎病の既往がある子どもは、胸の症状を医師に伝えることが大切です。
高齢者の症状
- 高齢の方では、典型的な胸の痛みがはっきり出ないことがあります。
- 息切れ、だるさ、食欲低下、吐き気、めまい、急な元気のなさだけで現れることがあります。
- 糖尿病がある方では痛みを感じにくいことがあり、いつもと違う体調変化にも注意が必要です。
原因
主な原因
- 冠動脈の動脈硬化:動脈硬化とは、血管の内側に脂質などがたまり、血管が硬く狭くなることです。心臓に届く血液が減ると狭心症の症状が出ます。
- 冠動脈のけいれん:血管が一時的に縮んで細くなることで、安静時や夜間、早朝に胸の症状が出ることがあります。
- 心臓への負担が急に増えること:強い運動、寒さ、発熱、貧血(血液が酸素を運びにくい状態)、強いストレスなどで症状が出やすくなることがあります。
- 冠動脈の血流が不安定になること:血管の狭さや血液の固まりやすさが関係し、症状が変化しやすくなることがあります。
リスク要因
- 脂質異常症
- 喫煙、受動喫煙
- 肥満、内臓脂肪の増加
- 運動不足
- 家族に若くして心臓病になった人がいる
- 慢性腎臓病(腎臓の働きが長く低下している状態)
- 強いストレス、睡眠不足
- 閉経後の女性
- 過度の飲酒
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや圧迫感が初めて出た、または今までと違う場合
- 症状の回数が増えた、軽い動作でも出るようになった場合
- 安静にしていても胸の症状が出る場合
- 息切れ、冷や汗、吐き気、めまいを伴う場合
- 119を呼ぶほどではないか迷う胸の症状がある場合は、迷わず医療機関や救急相談窓口に相談してください。強い症状なら119です。
定期受診を予約すべき場合:
- 血圧、血糖、コレステロールが高いと言われたことがある場合
- 喫煙している、または以前長く喫煙していた場合
- 家族に心筋梗塞や狭心症の人がいる場合
- 運動時の息切れや胸の違和感が気になる場合
- 健康診断で心電図の異常を指摘された場合
診断
狭心症が疑われる時は、医師が症状の出方、続く時間、きっかけ、持病、家族歴、生活習慣を詳しく確認します。そのうえで、心臓の電気の流れや血流、血管の状態を調べます。検査結果だけでなく、症状の話が診断の大きな手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 心電図:心臓の電気信号を調べる検査です。短時間で行えます。
- 血液検査:心臓の筋肉が傷ついていないか、貧血、腎臓の働き、血糖、脂質などを確認します。
- 胸部レントゲン:心臓の大きさや肺の状態を確認します。
- 心エコー検査:超音波で心臓の動きや弁の働きを見る検査です。
- 運動負荷検査:歩行や自転車こぎで心臓に負担をかけ、症状や心電図の変化を見ます。安全を確認しながら行います。
- 心臓CT検査:冠動脈の形や狭さを画像で確認します。
- 核医学検査:心臓の筋肉に血液が届いているかを画像で調べます。
- 冠動脈造影検査:細い管を血管に入れて、心臓の血管の狭さを詳しく見る検査です。必要な場合に行われます。
診察で予想されること
受診時には、いつ症状が出るか、何分くらい続くか、どこが痛むか、休むとどうなるかをメモして持参すると役立ちます。検査の種類は、症状の強さや体の状態によって選ばれます。不安なこと、検査の目的、注意点は遠慮なく医療者に聞いてください。
治療
治療の目標は、胸の症状を減らし、心筋梗塞などの大きな心臓のトラブルを防ぎ、安心して生活できるようにすることです。治療は、生活習慣の見直し、薬による治療、血管を広げる治療などを組み合わせます。内容は一人ひとりの状態で違うため、必ず医師と相談して決めます。
自宅でのセルフケア
- 症状が出たら、すぐに動作を止めて安全な場所で休んでください。強い、長い、いつもと違う症状なら119へ電話してください。
- 喫煙している場合は、禁煙について医療機関で相談してください。禁煙外来などの支援が役立つことがあります。
- 血圧、血糖、コレステロールを定期的に確認し、医師の指示に沿って管理しましょう。
- 寒い場所で急に動くことを避け、冬は体を冷やしすぎないようにしましょう。
- 睡眠を整え、無理な運動や強いストレスをため込まない工夫をしましょう。
- 自己判断で治療を中断しないでください。気になる副作用や不安があれば、医師や薬剤師に相談してください。
医療治療
薬による治療では、心臓の血管を広げる薬、心臓の負担を軽くする薬、血液の流れを保ちやすくする薬、血圧・血糖・脂質を整える薬などが使われることがあります。薬の種類は、症状、検査結果、持病、年齢、他に使っている薬によって変わります。特定の薬や量は自己判断せず、医師の説明を受けてください。
手術が検討される場合
血管の狭さが強い場合や、薬だけでは症状を十分に抑えられない場合は、カテーテル治療(細い管を使って血管を内側から広げる治療)やバイパス手術(別の血管で血液の通り道を作る手術)が検討されることがあります。どの治療がよいかは、血管の状態や全身の健康状態をもとに専門医と相談して決めます。
この病気と共に生きる
狭心症と上手に付き合うには、自分の症状のきっかけを知り、無理をしすぎないことが役立ちます。症状が出た時間、状況、続いた長さを記録しておくと、診察で伝えやすくなります。旅行や外出の前は、活動量や休憩の取り方を考え、心配がある場合は主治医に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を目指す。受動喫煙もできるだけ避ける。
- 血圧、血糖、脂質を定期的に確認する。
- 睡眠時間を確保し、疲れをためない。
- 寒暖差を避け、入浴や外出時は急な温度変化に注意する。
- 飲酒は控えめにし、医師から制限がある場合はそれに従う。
- 定期受診を続け、症状の変化を早めに伝える。
食事と運動
食事は、野菜、果物、魚、大豆製品、全粒穀物を取り入れ、塩分、飽和脂肪(肉の脂やバターなどに多い脂)、甘い飲み物を控えめにすることが基本です。厚生労働省は、生活習慣病予防のために、バランスのよい食事、身体活動、禁煙、適正体重の維持を大切にしています。運動は心臓の状態により安全な強さが違います。始める前に医師に相談し、可能であれば心臓リハビリテーション(心臓病の人が安全に体力を戻すための運動と学習のプログラム)を利用しましょう。
精神的健康と心の健康
胸の症状があると、『また起きたらどうしよう』と不安になるのは自然なことです。不安が強い、眠れない、外出が怖い、気分の落ち込みが続く場合は、主治医や心療内科、精神科、カウンセラーに相談してください。もし自分を傷つけたい気持ちがある、今すぐ危ないと感じる場合は、119へ電話するか、近くの救急窓口に行ってください。つらい気持ちは一人で抱えず、地域の相談窓口や危機支援につながってください。
予防
すべてを防げるわけではありませんが、リスクを下げることはできます。禁煙、血圧・血糖・脂質の管理、適度な運動、バランスのよい食事、適正体重、十分な睡眠、ストレス対策が大切です。厚生労働省の健康づくり情報でも、生活習慣病の予防としてこれらの取り組みがすすめられています。
ワクチン
ワクチンで狭心症そのものを防ぐことはできません。ただし、感染症は発熱や脱水で心臓に負担をかけることがあります。インフルエンザや新型コロナなどの予防接種については、年齢や持病によりすすめられる内容が違うため、主治医に相談してください。
検診プログラム
健康診断で血圧、血糖、脂質、腎臓の働き、心電図などを確認することは、心臓病のリスクを知る助けになります。胸の症状がある人やリスクが高い人は、健診だけでなく医師の診察を受けてください。
合併症
治療しない場合
- 症状が増え、日常生活や運動がしづらくなることがあります。
- 冠動脈の血流がさらに悪くなり、心筋梗塞につながることがあります。
- 心不全(心臓のポンプの力が弱くなり、息切れやむくみが出る状態)につながることがあります。
- 不整脈(心臓のリズムが乱れる状態)が起こることがあります。
- 不安や活動制限により、生活の質が下がることがあります。
長期的な見通し
狭心症は、早めに見つけて治療と生活習慣の見直しを続けることで、症状を抑えながら生活できる人が多くいます。大切なのは、症状の変化を放置しないこと、定期受診を続けること、医療者と一緒に自分に合った計画を作ることです。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。