Coeliac Disease
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
セリアック病(シリアック病とも呼ばれます)は、小麦や大麦、ライ麦などに含まれる「グルテン」というたんぱく質が原因で、小腸に炎症が起こる病気です。免疫の異常が関係していて、アレルギーとは違います。グルテンを食べると、小腸の内側にある「絨毛(じゅうもう)」という栄養を吸収する部分が傷つき、栄養がうまく吸収できなくなります。
重要な事実
- グルテンは小麦、大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質です。
- セリアック病は食物アレルギーではなく、自己免疫疾患(自分の体が自分を攻撃してしまう病気)です。
- グルテンを含む食品を完全に避けることが、唯一の治療法です。
世界的には約100人に1人の割合でいると言われています。日本ではこれまでまれと考えられてきましたが、最近の研究では実際にはもっと多くの人がいる可能性が指摘されています。ただし、診断されていない人が多いと考えられています。
どの年齢でも発症する可能性がありますが、特に家族にセリアック病の人がいる場合や、他の自己免疫疾患(例:1型糖尿病、橋本病など)を持っている人に多く見られます。子どもから高齢者まで、誰でもかかる可能性があります。
症状
- 激しい腹痛が続く
- 嘔吐や下痢がひどく、水分が取れない(脱水症状)
- 意識がもうろうとする
- 出血を伴う下痢
- ⚠数日間続く強い下痢
- ⚠急に体重が大きく減った
- ⚠激しい疲労感で日常生活が難しい
一般的な症状
- 慢性的な下痢
- 腹部の張りやガス
- 疲れやすさ(だるさ)
- 体重の減少
- 貧血(血液中の鉄分が不足する)
子供の症状
- 成長の遅れ(体重や身長がなかなか増えない)
- 慢性的な下痢や便秘
- イライラしやすい、落ち着きがない
- お腹が膨れて見える
- 歯のエナメル質の異常
高齢者の症状
- 原因不明の貧血
- 骨の痛みや骨折しやすくなる(骨粗しょう症)
- 慢性疲労
- 皮膚のかゆみを伴う発疹(疱疹状皮膚炎)
- 関節の痛み
原因
主な原因
- セリアック病の主な原因は、グルテン(小麦、大麦、ライ麦に含まれる)を食べることです。
- 遺伝的にかかりやすさ(HLA-DQ2やHLA-DQ8という遺伝子型)を持っている人がグルテンを摂取すると、免疫システムが自分の小腸を攻撃して炎症を起こします。
リスク要因
- 家族にセリアック病の人がいる(親子や兄弟)
- 1型糖尿病や橋本病など、他の自己免疫疾患を持っている
- ダウン症やターナー症候群などの染色体異常がある
- 白人の人に多いが、日本人を含むあらゆる人種で起こり得る
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下痢や腹痛がひどく、日常生活に支障をきたす
- 体重が急に減った
- 子どもがなかなか体重や身長が増えない
定期受診を予約すべき場合:
- 慢性的な腹部の不調(張り、ガス、便通異常)が続く
- 貧血や疲労感があるが原因がわからない
- 家族にセリアック病の人がいるので心配
診断
セリアック病の診断は、まず血液検査でセリアック病に関係する抗体(組織トランスグルタミナーゼ抗体など)を調べます。陽性だった場合、さらに胃カメラ(内視鏡)で小腸の組織を採取し(生検)、顕微鏡で調べることで確定診断します。検査の前はグルテンを普通に食べ続ける必要があります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(セリアック病関連抗体)
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と小腸の生検
- 遺伝子検査(HLA-DQ2/DQ8)— 補助的に使われることがある
診察で予想されること
血液検査は数日から1週間程度で結果が出ます。内視鏡検査は鎮静剤を使うことが多く、その日は帰宅できますが、結果が確定するまでに数日かかることがあります。診断がつけば、消化器内科の医師や管理栄養士から詳しい食事指導を受けられます。
治療
セリアック病の治療は、生涯にわたってグルテンを含まない食事(グルテンフリー食)を続けることが基本です。これにより小腸の炎症が治まり、症状が改善し、栄養の吸収も正常に戻ります。薬による治療は原則として必要ありません。
自宅でのセルフケア
- 小麦、大麦、ライ麦を含む食品を完全に避ける(パン、パスタ、うどん、ビール、醤油などに注意)
- グルテンフリーの食品を選ぶ(米粉、そば(100%そば粉)、とうもろこし、じゃがいもなど)
- 食品のラベルを必ず確認する(「小麦を含む」「グルテン」の表示に注意)
- 外食時は事前に店に相談し、グルテンフリー対応を確認する
- 調理器具やまな板を分けるなど、家庭での交差汚染(微量のグルテンが混ざること)を防ぐ
医療治療
一般的なセリアック病の治療は食事療法のみで、薬は必要ありません。ただし、ごくまれに食事療法だけでは改善しない「難治性セリアック病」の場合、医師が免疫を調整する薬や栄養補助食品を検討することがあります(個別の判断によります)。
この病気と共に生きる
セリアック病と診断されたら、毎日の食事に気をつけることが何より大切です。最初は大変に感じるかもしれませんが、慣れてくると自然にグルテンフリーの食品を選べるようになります。日本ではグルテンフリーの食品が少しずつ増えており、スーパーやオンラインで購入できます。食事の管理は大変ですが、症状が改善すれば生活の質は大きく向上します。
生活習慣のアドバイス
- 食品の原材料表示をチェックする習慣をつける
- 家族や友人にセリアック病について説明し、理解を得る
- 外食や旅行の際は事前に対応可能な店を調べておく
- 管理栄養士の指導を受けて、栄養バランスの良いグルテンフリー食を身につける
- 定期的に医療機関でフォローアップを受ける
食事と運動
グルテンフリー食を続けることが最も重要です。栄養不足になりやすいため、ビタミンB群や鉄分、カルシウムなどを積極的に摂るよう心がけましょう。食事の管理とともに、適度な運動(ウォーキングやストレッチなど)は全身の健康維持に役立ちます。
精神的健康と心の健康
食事制限があることはストレスになりやすく、社交の場で食べられないものがあると孤独感や不安を感じることがあります。また、学校や職場で理解を得られにくいこともあります。そうした気持ちは自然なことです。必要ならカウンセリングやサポートグループを利用してください。
予防
残念ながら、セリアック病の発症そのものを予防する方法は今のところありません。遺伝的な体質が関係するためです。しかし、早期に診断してグルテンフリー食を始めれば、症状の悪化や合併症を防ぐことができます。家族にセリアック病の人がいる場合は、症状がなくても一度検査を受けることを検討しても良いでしょう。
検診プログラム
一般的な集団検診は推奨されていませんが、リスクの高い人(家族歴がある、他の自己免疫疾患がある)に対しては、症状がなくても検査を考慮することがあります。厚生労働省のガイドラインでは特定のスクリーニングは定められていませんが、かかりつけ医と相談してください。
合併症
治療しない場合
- 栄養失調(鉄欠乏性貧血、ビタミン不足、骨粗しょう症など)
- 不妊や流産のリスク増加
- 小腸のリンパ腫(まれながん)のリスク上昇
- 他の自己免疫疾患(1型糖尿病や橋本病など)を併発しやすくなる
- 子どもの成長障害
長期的な見通し
セリアック病と診断されたら、生涯にわたって厳格なグルテンフリー食を続けることが必要ですが、多くの人は症状が改善し、健康な生活を送ることができます。食事療法をしっかり守れば、合併症のリスクも大幅に減り、平均余命は一般の人と変わらないという研究もあります。希望を持って治療に取り組みましょう。
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国際機関
地域の団体
- 日本セリアック病協会 ↗ · 日本全国
- 難病情報センター(セリアック病) ↗ · 日本全国
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。