Crohn's Disease
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
クローン病は、口から肛門までの消化管(食べ物の通り道)のどこにでも炎症(はれや赤み)が起こる病気です。特に小腸や大腸に起こりやすく、炎症が続くと腹痛や下痢などの症状が現れます。原因ははっきりわかっていませんが、免疫の働きが関係していると考えられています。
重要な事実
- 慢性(長く続く)の病気で、症状が悪くなる「活動期」とよくなる「寛解期」をくり返すことが多いです。
- 根治する治療法はありませんが、適切な治療で症状をコントロールし、健康的な生活を送ることが可能です。
- 厚生労働省は難病(治療が難しい病気)に指定し、医療費の助成制度があります。
日本では約7万人の方がクローン病と潰瘍性大腸炎(同じ仲間の病気)と診断されています。クローン病だけではそれほど多くはありませんが、近年増加傾向にあります。
10代後半から30代の若い世代に多く見られますが、子どもや高齢者でも発症することがあります。
症状
- 急に激しいおなかの痛みがある(腸が詰まる可能性)
- 大量の出血(下血)がある
- 高熱(38.5度以上)が続く
- 便やガスがまったく出ず、おなかがはって痛い
- 意識がもうろうとする、冷や汗が出る
- ⚠下痢や腹痛が2週間以上続く、または急に悪化した
- ⚠原因不明の体重減少が続く
- ⚠血便が続く
- ⚠今までの症状と違う新しい症状が出た
一般的な症状
- 長く続く下痢(1日数回から十数回)
- おなかの痛み(特に右下腹部)
- 疲れやすさ(倦怠感)
- 体重減少
- 便に血が混じる(血便)
- 発熱(微熱が続くことも)
子供の症状
- 成長の遅れ(身長や体重の増加が悪い)
- 思春期の遅れ(第二次性徴が遅い)
- おなかの不調を言葉でうまく伝えられず、ぐずったり機嫌が悪くなることがある
高齢者の症状
- 関節の痛みやはれ
- 皮膚に赤いできものや潰瘍ができる
- 症状が若い人と違って非典型的(腹痛や下痢が目立たないことも)
原因
主な原因
- 正確な原因はまだわかっていませんが、遺伝的な要因(家族に患者がいる)と、何らかのきっかけ(細菌、食事、ストレスなど)で免疫システムが過剰に反応してしまうことが関係していると考えられています。
- 腸の中の細菌のバランスが崩れることも原因の一つとされています。
リスク要因
- 家族にクローン病や潰瘍性大腸炎の人がいる
- タバコを吸う(特に若い人の発症リスクを高める)
- 年齢(15~35歳に多い)
- ユダヤ系の人にやや多いが、日本人でも発症する
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛、高熱、大量出血がある
- 便がまったく出ず、おなかが張って痛い(腸閉塞の疑い)
- 意識がぼんやりする、冷や汗が出る(ショックの恐れ)
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢や腹痛が2週間以上続いている
- 便に血が混じる
- 体重が減った、疲れやすい
- 家族にクローン病の人がいて、症状が心配
診断
医師が問診(症状の聞き取り)と身体診察を行い、その後いくつかの検査を組み合わせて診断を確定します。他の病気(感染症や大腸がんなど)を除外することも重要です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症の程度や貧血の有無を調べる)
- 便検査(感染症や潜血の有無を確認)
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で直接腸の粘膜を見て、組織を取る(生検)
- 上部消化管内視鏡(胃カメラ)で食道・胃・十二指腸を調べる
- CTやMRIなどの画像検査で小腸や腸の外側の状態を確認
- カプセル内視鏡(飲み込むカメラ)で小腸全体を調べる
診察で予想されること
診断には数週間かかることがあります。大腸内視鏡検査は前日の食事制限や下剤が必要ですが、検査中は鎮静剤を使うので痛みはほとんど感じません。医師は結果をわかりやすく説明してくれますので、不安なことは何でも聞いてください。
治療
クローン病の治療の目標は、炎症を抑えて症状をなくし、長く良い状態(寛解)を維持することです。完全に治すことはできませんが、適切な治療で多くの人が日常生活を問題なく送れます。治療は患者さん一人ひとりの状態に合わせて組み立てられます。
自宅でのセルフケア
- 食事日記をつけて、自分の症状を悪くする食べ物(脂肪分の多いもの、乳製品、辛いものなど)を見つけ、避けるようにする
- 少しずつ頻繁に食べる(小食をこまめに)
- 水分をしっかりとる(下痢で失われる水分を補う)
- ストレスをためない(リラックス法、趣味、休養)
- 禁煙する(喫煙は症状悪化と再発のリスクを高めます)
医療治療
治療薬には、炎症を抑える抗炎症薬、免疫の働きを調整する免疫調節薬、生物学的製剤(特定の炎症のしくみをブロックする薬)などがあります。症状や重症度に応じて、医師が最適な薬を選択します。必ず医師の指示に従い、自己判断で薬をやめたり増やしたりしないでください。栄養状態が悪い場合は、栄養補給のために成分栄養(簡単に吸収できる栄養剤)や点滴を使うこともあります。
手術が検討される場合
薬でコントロールできない場合や、腸が狭くなって詰まりかけた(狭窄)、穴が開いた(穿孔)、わき道ができた(瘻孔)などの合併症が起きた場合は、手術が検討されます。手術で悪い部分を切除しても、病気そのものが完全に治るわけではありませんが、全身状態を改善できます。
この病気と共に生きる
クローン病は付き合い方のわかる病気です。症状の波(ゆれ)を理解し、自分の体と対話しながら生活リズムを作っていきましょう。定期通院と治療を続けることが基本です。
生活習慣のアドバイス
- バランスの良い食事(医師や管理栄養士に相談して個人に合った食生活を見つける)
- 規則正しい生活(睡眠をしっかりとる)
- 適度な運動(散歩、ヨガ、水泳など)
- アルコールはほどほどに
- 禁煙を徹底する
食事と運動
食事は症状に大きく影響します。脂肪の消化が難しい場合は低脂肪食、繊維の多い野菜や果物が腸を刺激する場合は避けるなど、自己管理が重要です。運動は血流を良くし、ストレス軽減にも役立ちますが、激しい運動は避け、症状が落ち着いているときに行いましょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気と向き合うことは、不安や落ち込み、孤独感を感じやすいものです。特に症状が悪いときは精神的につらいこともあります。周りの人に自分の状態を理解してもらうことや、専門のカウンセラーに話すことも助けになります。
予防
現時点では、クローン病を完全に予防する方法はありません。しかし、禁煙やバランスの良い食事、規則正しい生活などの健康的な習慣は、発症リスクを減らす可能性があります。また、早期発見・早期治療が症状の悪化を防ぐため、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
ワクチン
クローン病の治療で免疫を抑える薬を使う場合、免疫力が低下することがあります。そのため、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種(医師と相談の上、適切なタイミングで)が勧められます。生ワクチンは接種できないこともあるので、必ず医師に相談してください。
検診プログラム
クローン病そのものを早期に見つけるための定期的なスクリーニング検査は一般的ではありません。ただし、家族に患者がいる場合やおなかの不調が続く場合は、医師に相談して必要な検査を受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 腸の狭窄(狭くなり、詰まりやすくなる)
- 瘻孔(腸と腸、腸と膀胱や皮膚などに異常なトンネルができる)
- 膿瘍(うみのたまり)
- 栄養失調(ビタミンやミネラル不足)
- 大腸がんのリスク上昇(特に長期にわたって大腸に炎症が続く場合)
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、多くの方が症状をコントロールでき、仕事や学業、日常生活を続けることができます。寛解(症状のない状態)を長く維持できることも珍しくありません。将来の治療法の進歩にも期待が持てます。焦らず、医師と二人三脚で病気と向き合っていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。